京都大学 1990年 理系 第1問 解説

方針・初手
2つの曲線が点 $\text{P}$ で共通の接線をもつ条件は、点 $\text{P}$ の $x$ 座標を $t$ とおいたとき、2つの関数の $x=t$ における関数値($y$ 座標)が等しく、かつ微分係数(接線の傾き)が等しいことです。 これらを立式して接点の $x$ 座標 $t$ と定数 $a$ の値を求めます。求まった $a$ の値に対して2曲線の交点を求め、区間内における上下関係を把握したうえで、定積分により面積を計算します。
解法1
$f(x) = x^3 - x$、$g(x) = x^2 - a$ とおく。 これらを微分すると
$$ f'(x) = 3x^2 - 1, \quad g'(x) = 2x $$
である。 2つの曲線が点 $\text{P}$ を通り、そこで共通の接線をもつための条件は、点 $\text{P}$ の $x$ 座標を $t$ とすると
$$ \begin{cases} f(t) = g(t) \\ f'(t) = g'(t) \end{cases} $$
が成り立つことである。したがって
$$ \begin{cases} t^3 - t = t^2 - a & \dots (1) \\ 3t^2 - 1 = 2t & \dots (2) \end{cases} $$
(2) より
$$ 3t^2 - 2t - 1 = 0 $$
$$ (t - 1)(3t + 1) = 0 $$
$$ t = 1, -\frac{1}{3} $$
(i)
$t=1$ のとき
(1) より
$$ a = -1^3 + 1^2 + 1 = 1 $$
このとき、2曲線の方程式は $y = x^3 - x$ と $y = x^2 - 1$ である。 共有点の $x$ 座標は
$$ x^3 - x = x^2 - 1 $$
$$ x^3 - x^2 - x + 1 = 0 $$
$x=1$ で接することから $(x-1)^2$ を因数にもつため
$$ (x-1)^2(x+1) = 0 $$
$$ x = 1, -1 $$
区間 $-1 \leqq x \leqq 1$ において、例えば $x=0$ を代入すると $f(0)=0, g(0)=-1$ より $x^3 - x \geqq x^2 - 1$ である。 よって、求める面積 $S$ は
$$ S = \int_{-1}^1 \{ (x^3 - x) - (x^2 - 1) \} dx $$
$$ S = \int_{-1}^1 (x^3 - x^2 - x + 1) dx $$
偶関数・奇関数の性質を利用して計算すると
$$ S = 2 \int_0^1 (-x^2 + 1) dx = 2 \left[ -\frac{1}{3}x^3 + x \right]_0^1 = 2 \left( -\frac{1}{3} + 1 \right) = \frac{4}{3} $$
(ii)
$t=-\frac{1}{3}$ のとき
(1) より
$$ a = -\left(-\frac{1}{3}\right)^3 + \left(-\frac{1}{3}\right)^2 + \left(-\frac{1}{3}\right) = \frac{1}{27} + \frac{1}{9} - \frac{1}{3} = -\frac{5}{27} $$
このとき、2曲線の方程式は $y = x^3 - x$ と $y = x^2 + \frac{5}{27}$ である。 共有点の $x$ 座標は
$$ x^3 - x = x^2 + \frac{5}{27} $$
$$ x^3 - x^2 - x - \frac{5}{27} = 0 $$
$x=-\frac{1}{3}$ で接することから $\left(x+\frac{1}{3}\right)^2$ を因数にもつため
$$ \left(x+\frac{1}{3}\right)^2 \left(x-\frac{5}{3}\right) = 0 $$
$$ x = -\frac{1}{3}, \frac{5}{3} $$
区間 $-\frac{1}{3} \leqq x \leqq \frac{5}{3}$ において、例えば $x=0$ を代入すると $f(0)=0, g(0)=\frac{5}{27}$ より $x^2 + \frac{5}{27} \geqq x^3 - x$ である。 よって、求める面積 $S$ は
$$ S = \int_{-\frac{1}{3}}^{\frac{5}{3}} \left\{ \left( x^2 + \frac{5}{27} \right) - (x^3 - x) \right\} dx $$
$$ S = \int_{-\frac{1}{3}}^{\frac{5}{3}} - \left( x + \frac{1}{3} \right)^2 \left( x - \frac{5}{3} \right) dx $$
ここで、定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2 (\beta-x) dx = \frac{(\beta-\alpha)^4}{12}$ を用いると
$$ S = \frac{1}{12} \left( \frac{5}{3} - \left(-\frac{1}{3}\right) \right)^4 = \frac{1}{12} \cdot 2^4 = \frac{16}{12} = \frac{4}{3} $$
(i), (ii) いずれの場合も面積は $\frac{4}{3}$ となる。
解法2
2つの曲線 $y=x^3-x$ と $y=x^2-a$ が $x=\alpha$ で共通の接線をもつとする。 このとき、方程式 $x^3-x = x^2-a$ すなわち $x^3 - x^2 - x + a = 0$ は $x=\alpha$ を重解にもつ。 もう1つの実数解(接点以外の交点の $x$ 座標)を $\beta$ とおくと、因数定理より
$$ x^3 - x^2 - x + a = (x-\alpha)^2(x-\beta) $$
が $x$ についての恒等式となる。 右辺を展開すると
$$ (x^2 - 2\alpha x + \alpha^2)(x-\beta) = x^3 - (2\alpha + \beta)x^2 + (\alpha^2 + 2\alpha\beta)x - \alpha^2\beta $$
両辺の係数を比較して
$$ \begin{cases} 1 = 2\alpha + \beta \\ -1 = \alpha^2 + 2\alpha\beta \\ a = -\alpha^2\beta \end{cases} $$
第1式より $\beta = 1 - 2\alpha$ これを第2式に代入すると
$$ \alpha^2 + 2\alpha(1 - 2\alpha) = -1 $$
$$ -3\alpha^2 + 2\alpha + 1 = 0 $$
$$ 3\alpha^2 - 2\alpha - 1 = 0 $$
$$ (3\alpha + 1)(\alpha - 1) = 0 $$
よって $\alpha = 1, -\frac{1}{3}$
(i)
$\alpha = 1$ のとき
$\beta = 1 - 2\cdot 1 = -1$ $a = -1^2 \cdot (-1) = 1$ このとき、積分区間は $-1 \leqq x \leqq 1$ であり、区間内で $x^3 - x^2 - x + 1 = (x-1)^2(x+1) \geqq 0$ となることから $x^3-x \geqq x^2-1$ である。 求める面積 $S$ は
$$ S = \int_{-1}^{1} (x-1)^2(x+1) dx = \frac{\{1 - (-1)\}^4}{12} = \frac{16}{12} = \frac{4}{3} $$
(ii)
$\alpha = -\frac{1}{3}$ のとき
$\beta = 1 - 2\left(-\frac{1}{3}\right) = \frac{5}{3}$ $a = -\left(-\frac{1}{3}\right)^2 \cdot \frac{5}{3} = -\frac{5}{27}$ このとき、積分区間は $-\frac{1}{3} \leqq x \leqq \frac{5}{3}$ であり、区間内で $x^3 - x^2 - x - \frac{5}{27} = \left(x+\frac{1}{3}\right)^2\left(x-\frac{5}{3}\right) \leqq 0$ となることから $x^2-\frac{5}{27} \geqq x^3-x$ である。 求める面積 $S$ は
$$ S = \int_{-\frac{1}{3}}^{\frac{5}{3}} \left\{ -\left(x+\frac{1}{3}\right)^2 \left(x-\frac{5}{3}\right) \right\} dx = \frac{\left\{ \frac{5}{3} - \left(-\frac{1}{3}\right) \right\}^4}{12} = \frac{2^4}{12} = \frac{4}{3} $$
いずれの場合も面積は $\frac{4}{3}$ となる。
解説
共通接線の問題は、接点の $x$ 座標を文字でおき、「$y$ 座標が等しい」かつ「微係数が等しい」ことの2式を立てるのが定石です。 本問では条件を満たす接点が2つ存在し、それに伴って定数 $a$ の値も2つ定まりますが、それぞれの場合において計算される面積が等しくなるという美しい構造を持っています。 定積分の計算においては、$\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2 (\beta-x) dx = \frac{(\beta-\alpha)^4}{12}$ などの公式(いわゆる $\frac{1}{12}$ 公式)を用いることで、大幅に計算量を減らすことができます。特に分数が絡む後者の場合分けでは、展開してそのまま積分するよりも、この公式の恩恵が大きいです。 解法2のように、恒等式(係数比較)を用いて接点と交点を一気に求める手法も、文字消去の見通しが良く強力です。
答え
$$ \frac{4}{3} $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











