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名古屋大学 1990年 理系 第2問 解説

数学C/平面ベクトル数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
名古屋大学 1990年 理系 第2問 解説

方針・初手

頂点 $B$、$C$ がそれぞれ半直線 $y=x \ (x \geqq 0)$、$y=-x \ (x \geqq 0)$ 上にあることから、$B(t, t)$、$C(s, -s)$ ($t \geqq 0, s \geqq 0$)とパラメータを設定する。底辺 $BC=2$ の条件から $s, t$ の関係式を導く。 次に、線分 $BC$ の中点 $M$ と、$\vec{BC}$ に垂直な法線ベクトルを用いて、頂点 $A$ の位置ベクトルを決定する。「原点 $O$ と反対側」という条件から、法線ベクトルの向きを特定できる。 最後に、$A(X, Y)$ の座標をパラメータの和 $u=s+t$ と差 $v=s-t$ を用いて表し、パラメータを消去して軌跡を求める。

解法1

頂点 $B$ は半直線 $y=x \ (x \geqq 0)$ 上にあるので、$B(t, t) \ (t \geqq 0)$ とおける。 頂点 $C$ は半直線 $y=-x \ (x \geqq 0)$ 上にあるので、$C(s, -s) \ (s \geqq 0)$ とおける。 底辺 $BC$ の長さが $2$ であるから、$BC^2 = 4$ より

$$ (s-t)^2 + (-s-t)^2 = 4 $$

$$ 2s^2 + 2t^2 = 4 \iff s^2 + t^2 = 2 \quad \dots (1) $$

線分 $BC$ の中点を $M$ とすると、$M$ の座標は $\left( \frac{s+t}{2}, \frac{t-s}{2} \right)$ である。 ベクトル $\vec{BC} = (s-t, -s-t)$ に対して、ベクトル $\vec{n} = (s+t, s-t)$ を考えると、

$$ \vec{BC} \cdot \vec{n} = (s-t)(s+t) + (-s-t)(s-t) = 0 $$

となるため、$\vec{n}$ は直線 $BC$ に垂直である。 また、$\vec{n}$ の大きさは、(1) より

$$ |\vec{n}|^2 = (s+t)^2 + (s-t)^2 = 2(s^2+t^2) = 4 $$

であるから、$|\vec{n}| = 2$ である。

直線 $BC$ の方程式は、中点 $M$ を通り $\vec{n}$ を法線ベクトルとする直線であるから、

$$ (s+t)\left(x - \frac{s+t}{2}\right) + (s-t)\left(y - \frac{t-s}{2}\right) = 0 $$

$$ (s+t)x + (s-t)y - \frac{(s+t)^2 - (s-t)^2}{2} = 0 $$

$$ (s+t)x + (s-t)y - 2st = 0 $$

となる。 原点 $O(0,0)$ におけるこの直線の式の左辺の値は $-2st$ である。$s \geqq 0, t \geqq 0$ であり、(1) より $s, t$ が同時に $0$ になることはないため、$-2st \leqq 0$ となる。 頂点 $A(X, Y)$ は直線 $BC$ に関して原点 $O$ と反対側にあるため、$(s+t)X + (s-t)Y - 2st > 0$ となる領域(原点と異符号の領域)に存在する。これは、法線ベクトル $\vec{n}$ と同じ向きに $A$ が存在することを意味する。

$\triangle ABC$ は $AB=AC$ の二等辺三角形であり、高さは $a$ である。幾何学的な高さであるから $a>0$ とする。したがって、$\vec{MA}$ は $\vec{n}$ と同じ向きで大きさが $a$ のベクトルとなる。

$$ \vec{MA} = a \frac{\vec{n}}{|\vec{n}|} = \frac{a}{2}(s+t, s-t) $$

よって、$A$ の位置ベクトルは

$$ \vec{OA} = \vec{OM} + \vec{MA} = \frac{1}{2}(s+t, t-s) + \frac{a}{2}(s+t, s-t) = \left( \frac{a+1}{2}(s+t), \frac{a-1}{2}(s-t) \right) $$

となり、$A$ の座標 $(X, Y)$ は次のように表される。

$$ X = \frac{a+1}{2}(s+t), \quad Y = \frac{a-1}{2}(s-t) \quad \dots (2) $$

ここで、$u = s+t, v = s-t$ とおく。 (1) より、

$$ u^2 + v^2 = (s+t)^2 + (s-t)^2 = 2(s^2+t^2) = 4 \quad \dots (3) $$

また、$s = \frac{u+v}{2} \geqq 0$ かつ $t = \frac{u-v}{2} \geqq 0$ であるから、

$$ u+v \geqq 0 \ \text{かつ} \ u-v \geqq 0 \iff u \geqq |v| $$

これと (3) を連立すると、$u \geqq 0$ より $u^2 \geqq v^2 = 4 - u^2$ となり、$2u^2 \geqq 4$ すなわち $u \geqq \sqrt{2}$ を得る。 (3) から $u \leqq 2$ であるため、$u$ の変域は

$$ \sqrt{2} \leqq u \leqq 2 \quad \dots (4) $$

となる。このとき、$v$ の変域は $-\sqrt{2} \leqq v \leqq \sqrt{2}$ である。

(2) を $u, v$ で表すと

$$ X = \frac{a+1}{2}u, \quad Y = \frac{a-1}{2}v $$

となる。ここで $a$ の値によって場合分けを行う。

(i) $a=1$ のとき $Y = 0$ となり、$X = u$ である。 (4) より、$\sqrt{2} \leqq X \leqq 2$ となるため、$A$ が描く図形は線分 $y=0 \ (\sqrt{2} \leqq x \leqq 2)$ である。

(ii) $a \neq 1 \ (a>0)$ のとき $u = \frac{2X}{a+1}, v = \frac{2Y}{a-1}$ を (3) に代入して整理する。

$$ \frac{4X^2}{(a+1)^2} + \frac{4Y^2}{(a-1)^2} = 4 \iff \frac{X^2}{(a+1)^2} + \frac{Y^2}{(a-1)^2} = 1 $$

(4) の $\sqrt{2} \leqq u \leqq 2$ より、

$$ \sqrt{2} \leqq \frac{2X}{a+1} \leqq 2 \iff \frac{a+1}{\sqrt{2}} \leqq X \leqq a+1 $$

この $X$ の範囲に対応する $Y$ の範囲は、$-\sqrt{2} \leqq v \leqq \sqrt{2}$ から得られる範囲 $-\frac{|a-1|}{\sqrt{2}} \leqq Y \leqq \frac{|a-1|}{\sqrt{2}}$ と一致する。 したがって、$A$ が描く図形は、楕円 $\frac{x^2}{(a+1)^2} + \frac{y^2}{(a-1)^2} = 1$ の $\frac{a+1}{\sqrt{2}} \leqq x \leqq a+1$ の部分である。

解説

ベクトルを用いて法線方向を考え、「原点と反対側」という領域条件を正負の判定に帰着させるのがポイントである。これにより、複雑な図形的考察を省略して機械的に $A$ の座標を決定できる。 また、得られた $A$ の座標のパラメータ $s, t$ をそのまま扱うのではなく、$u=s+t, v=s-t$ と置き換える(実質的に座標軸を45度回転させることに相当する)ことで、式が劇的に簡略化され、軌跡が見えやすくなる。文字の置き換えに伴う変域($\sqrt{2} \leqq u \leqq 2$)の導出には注意が必要である。

答え

高さ $a$ は $a>0$ と仮定する。

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