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京都大学 1991年 理系 第6問 解説

数学3/積分法数学3/微分法数学3/極限テーマ/最大・最小テーマ/定積分計算
京都大学 1991年 理系 第6問 解説

方針・初手

(1) は定積分で表された関数の微分の基本公式 $\frac{d}{dx} \int_c^x g(t) dt = g(x)$ を用いて、等式の両辺を $x$ で微分する。また、$x=0$ を代入して積分区間を $0$ にすることで $f(0)$ の値を求める。 (2) は(1)で求めた微分方程式から $f'(x)$ を $f(x)$ の式で表し、その式の分母の性質や極限を考えることで不等式を証明する。指数関数とべき乗の積の極限 $\lim_{y \to \infty} y^k e^{-\frac{y^2}{2}} = 0$ を用い、連続関数が有界であることを利用して正の定数 $b, c$ の存在を示す。 (3) は(2)の結果から $f(x)$ が無限大に発散することを示し、極限を計算する。最小値については関数 $y^a e^{-\frac{y^2}{2}}$ の増減を微分で調べるが、定義域 $y \geqq f(0)$ と極大値をとる $y$ の位置関係が定数 $a$ によって変わるため、場合分けが必要になることに注意する。

解法1

(1) 与えられた等式

$$ \int_0^x (f(t))^{-a} dt = \int_a^{f(x)} (e^{-\frac{t^2}{2}} + t^{-a}) dt $$

の両辺を $x$ について微分すると、合成関数の微分法より以下のようになる。

$$ (f(x))^{-a} = \left( e^{-\frac{(f(x))^2}{2}} + (f(x))^{-a} \right) f'(x) $$

$y = f(x)$ とおくと、$y$ の満たす微分方程式は

$$ y^{-a} = (e^{-\frac{y^2}{2}} + y^{-a}) y' $$

または

$$ y' = \frac{y^{-a}}{e^{-\frac{y^2}{2}} + y^{-a}} = \frac{1}{y^a e^{-\frac{y^2}{2}} + 1} $$

となる。 また、与式に $x=0$ を代入すると、左辺は $0$ となる。

$$ 0 = \int_a^{f(0)} (e^{-\frac{t^2}{2}} + t^{-a}) dt $$

$t > 0$ において被積分関数 $e^{-\frac{t^2}{2}} + t^{-a}$ は常に正であるため、積分値が $0$ になるのは積分区間の上限と下限が一致するときのみである。 したがって、$f(0) = a$ である。

(2) 微分方程式より、

$$ f'(x) = \frac{1}{f(x)^a e^{-\frac{f(x)^2}{2}} + 1} $$

$f(x) > 0$ より $f'(x) > 0$ であるから、$f(x)$ は単調増加関数である。 よって、$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq f(0) = a$ が成り立つ。$a$ は正の定数であるから、$f(x) > 0$ である。

(イ) $f(x) > 0$ より $f(x)^a e^{-\frac{f(x)^2}{2}} > 0$ であるから、分母は $1$ より大きい。 したがって、$f'(x) < 1 \leqq 1$ が成り立つ。 一方、$g(y) = y^a e^{-\frac{y^2}{2}}$ とおく。 $y \geqq a$ において $g(y)$ は連続であり、$\lim_{y \to \infty} g(y) = 0$ であるから、$g(y)$ は有界で最大値をもつ。 その最大値を $M$ とすると、$M > 0$ であり、$g(f(x)) \leqq M$ が成り立つ。 よって、$f'(x) = \frac{1}{g(f(x)) + 1} \geqq \frac{1}{M + 1}$。 $b = \frac{1}{M + 1}$ とおくと、$b$ は正の定数であり、$b \leqq f'(x)$ が成り立つ。 以上より、$b \leqq f'(x) \leqq 1$ が示された。

(ロ) $f'(x) = \frac{1}{f(x)^a e^{-\frac{f(x)^2}{2}} + 1}$ を変形すると、

$$ \frac{1}{f'(x)} - 1 = f(x)^a e^{-\frac{f(x)^2}{2}} $$

両辺に $f(x)$ を掛けると、

$$ f(x) \left( \frac{1}{f'(x)} - 1 \right) = f(x)^{a+1} e^{-\frac{f(x)^2}{2}} $$

$f(x) > 0$ であるから、この値は正であり $0 \leqq f(x) \left( \frac{1}{f'(x)} - 1 \right)$ を満たす。 また、$h(y) = y^{a+1} e^{-\frac{y^2}{2}}$ とおく。 $y \geqq a$ において $h(y)$ は連続であり、極限公式より $\lim_{y \to \infty} h(y) = 0$ であるから、$h(y)$ は有界で最大値をもつ。 その最大値を $c$ とおくと、$c > 0$ であり、$h(f(x)) \leqq c$ が成り立つ。 以上より、$0 \leqq f(x) \left( \frac{1}{f'(x)} - 1 \right) \leqq c$ が示された。

(3) (2)の(イ)より、$f'(x) \geqq b > 0$ であるから、$x \to \infty$ のとき $f(x) \to \infty$ となる。 したがって、

$$ \lim_{x \to \infty} f'(x) = \lim_{f(x) \to \infty} \frac{1}{f(x)^a e^{-\frac{f(x)^2}{2}} + 1} = \frac{1}{0 + 1} = 1 $$

次に、$f'(x)$ の最小値を求める。 $f'(x) = \frac{1}{g(f(x)) + 1}$ が最小になるのは、$g(y) = y^a e^{-\frac{y^2}{2}}$ が $y \geqq a$ の範囲で最大になるときである。 $g(y)$ を微分すると、

$$ g'(y) = a y^{a-1} e^{-\frac{y^2}{2}} + y^a \left( -y e^{-\frac{y^2}{2}} \right) = y^{a-1} e^{-\frac{y^2}{2}} (a - y^2) $$

$y > 0$ において $g'(y) = 0$ となるのは $y = \sqrt{a}$ のときである。 ここで、$a$ と $\sqrt{a}$ の大小関係によって最大値をとる $y$ の値が変わるため、場合分けを行う。

(i) $0 < a \leqq 1$ のとき $a \leqq \sqrt{a}$ であり、区間 $y \geqq a$ に $y = \sqrt{a}$ が含まれる。 増減表を考えると、$g(y)$ は $y = \sqrt{a}$ で極大かつ最大となる。

$$ g(\sqrt{a}) = (\sqrt{a})^a e^{-\frac{(\sqrt{a})^2}{2}} = a^{\frac{a}{2}} e^{-\frac{a}{2}} $$

よって、$f'(x)$ の最小値は $\frac{1}{a^{\frac{a}{2}} e^{-\frac{a}{2}} + 1}$。

(ii) $a > 1$ のとき $\sqrt{a} < a$ であり、区間 $y \geqq a$ において $g'(y) < 0$ となる。 よって、$g(y)$ は $y \geqq a$ で単調に減少するため、$y = a$ で最大となる。

$$ g(a) = a^a e^{-\frac{a^2}{2}} $$

よって、$f'(x)$ の最小値は $\frac{1}{a^a e^{-\frac{a^2}{2}} + 1}$。

解説

積分方程式から微分方程式を導き、関数の極限や評価を行う、微積分を総合的に問う良問である。 (2)における定数 $b, c$ の存在証明では、「無限遠で $0$ に収束する連続関数は有界である(最大値・最小値をもつ)」という解析学の基本的な性質を用いる。高校数学の範囲では厳密な証明は要求されないため、極限が $0$ になることを示した上で「最大値をもつ」と記述すれば十分である。 (3)の最小値の計算では、関数 $f(x)$ の定義域(値域) $f(x) \geqq a$ と、極値をとる $x = \sqrt{a}$ との大小関係による場合分けがポイントとなる。ここを見落とさずに処理できるかが完答の鍵を握る。

答え

(1)

微分方程式: $y^{-a} = (e^{-\frac{y^2}{2}} + y^{-a}) y'$ (または $y' = \frac{1}{y^a e^{-\frac{y^2}{2}} + 1}$ など) $f(0) = a$

(2)

略(解法1の証明を参照)

(3)

$\lim_{x \to \infty} f'(x) = 1$ 最小値は、 $0 < a \leqq 1$ のとき、$\frac{1}{a^{\frac{a}{2}} e^{-\frac{a}{2}} + 1}$ $a > 1$ のとき、$\frac{1}{a^a e^{-\frac{a^2}{2}} + 1}$

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