京都大学 1992年 理系 第4問 解説

方針・初手
出た目の積 $X$ が特定の数で割り切れるかどうかは、$X$ の素因数分解における特定の素因数の個数に依存する。サイコロの目は $1, 2, 3, 4, 5, 6$ であり、素因数として考えるべきは $2$ と $3$ である($5$ は今回関係ない)。 「〜で割り切れる確率」を直接求めるのは場合分けが複雑になりやすいため、「〜で割り切れない確率」という余事象を考えるのが定石である。
解法1
(1) $X$ が $3$ で割り切れる事象を $A$ とする。 事象 $A$ の余事象 $\bar{A}$ は、$X$ が $3$ で割り切れないことである。 $X$ が $3$ で割り切れないための条件は、$n$ 回のサイコロ投げすべてにおいて、$3$ の倍数以外の目(すなわち $1, 2, 4, 5$)が出ることである。
$1$ 回サイコロを振って $1, 2, 4, 5$ の目が出る確率は $\frac{4}{6} = \frac{2}{3}$ である。 これが $n$ 回連続して起こる確率 $P(\bar{A})$ は、
$$ P(\bar{A}) = \left(\frac{2}{3}\right)^n $$
したがって、求める確率 $p_n$ は、
$$ p_n = P(A) = 1 - P(\bar{A}) = 1 - \left(\frac{2}{3}\right)^n $$
(2) $X$ が $6$ で割り切れるための条件は、$X$ が $2$ の倍数であり、かつ $3$ の倍数であることである。 ここでも余事象を考える。 $X$ が $2$ の倍数となる事象を $B$、 $3$ の倍数となる事象を $A$ とする($A$ は(1)と同じ)。 求める確率は $P(A \cap B)$ であり、$q_n = P(A \cap B)$ と表せる。 これは、全体の確率 $1$ から、「$2$ の倍数でない、または $3$ の倍数でない」確率を引くことで求められる。 すなわち、ド・モルガンの法則により $P(\bar{A} \cup \bar{B})$ を引けばよい。
$$ q_n = P(A \cap B) = 1 - P(\overline{A \cap B}) = 1 - P(\bar{A} \cup \bar{B}) $$
確率の加法定理より、
$$ P(\bar{A} \cup \bar{B}) = P(\bar{A}) + P(\bar{B}) - P(\bar{A} \cap \bar{B}) $$
それぞれの確率を計算する。
- $P(\bar{A})$: $X$ が $3$ の倍数でない($n$ 回とも $1, 2, 4, 5$ が出る)確率。これは(1)で求めた通り $\left(\frac{2}{3}\right)^n$。
- $P(\bar{B})$: $X$ が $2$ の倍数でない(奇数である)、すなわち $n$ 回とも奇数($1, 3, 5$)の目が出る確率。
$$ P(\bar{B}) = \left(\frac{3}{6}\right)^n = \left(\frac{1}{2}\right)^n $$
- $P(\bar{A} \cap \bar{B})$: $X$ が $3$ の倍数でも $2$ の倍数でもない確率。つまり、$n$ 回とも「$1, 2, 4, 5$」かつ「$1, 3, 5$」の目、すなわち $1, 5$ の目が出る確率。
$$ P(\bar{A} \cap \bar{B}) = \left(\frac{2}{6}\right)^n = \left(\frac{1}{3}\right)^n $$
これらを代入して $P(\bar{A} \cup \bar{B})$ を求める。
$$ P(\bar{A} \cup \bar{B}) = \left(\frac{2}{3}\right)^n + \left(\frac{1}{2}\right)^n - \left(\frac{1}{3}\right)^n $$
したがって、求める確率 $q_n$ は
$$ \begin{aligned} q_n &= 1 - P(\bar{A} \cup \bar{B}) \\ &= 1 - \left\{ \left(\frac{2}{3}\right)^n + \left(\frac{1}{2}\right)^n - \left(\frac{1}{3}\right)^n \right\} \\ &= 1 - \left(\frac{2}{3}\right)^n - \left(\frac{1}{2}\right)^n + \left(\frac{1}{3}\right)^n \end{aligned} $$
解説
「サイコロの目の積が指定の数の倍数になる確率」を問う典型的な問題である。積が特定の数で割り切れない条件を考え、余事象を利用して解くのが鉄則である。(2)で $6$ の倍数である確率を求める際、$2$ の倍数かつ $3$ の倍数と考え、集合のベン図をイメージして $P(A \cap B) = 1 - P(\bar{A} \cup \bar{B})$ と変形できるかがポイントとなる。
答え
(1)
$p_n = 1 - \left(\frac{2}{3}\right)^n$
(2)
$q_n = 1 - \left(\frac{2}{3}\right)^n - \left(\frac{1}{2}\right)^n + \left(\frac{1}{3}\right)^n$
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