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京都大学 1994年 理系 第3問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/軌跡・領域テーマ/空間図形
京都大学 1994年 理系 第3問 解説

方針・初手

空間座標またはベクトルを用いて、平面 $EFG$ と平面 $BCD$ の交線を求めることが第一歩である。四面体が正四面体であるため、頂点 $A$ からのベクトルを用いて対称性を活かしつつ平面の方程式を立てる。交線が求まれば、底面である正三角形 $BCD$ 上の2次元の問題に帰着できる。その後、点と直線の距離などを利用して、交線と円(正三角形の外接円)が共有点を持つための不等式を導出する。

解法1

$\vec{AB} = \vec{b}$, $\vec{AC} = \vec{c}$, $\vec{AD} = \vec{d}$ とする。 条件より、点 $E, F, G$ の位置ベクトルは次のように表される。

$$ \vec{AE} = s\vec{b}, \quad \vec{AF} = t\vec{c}, \quad \vec{AG} = t\vec{d} $$

平面 $EFG$ 上の点 $P$ は、実数 $p, q, r$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{AP} = p\vec{AE} + q\vec{AF} + r\vec{AG} = ps\vec{b} + qt\vec{c} + rt\vec{d} \quad (p+q+r=1) $$

また、点 $P$ が平面 $BCD$ 上にもあるとき、実数 $x, y, z$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{AP} = x\vec{b} + y\vec{c} + z\vec{d} \quad (x+y+z=1) $$

係数を比較すると、$x=ps, y=qt, z=rt$ となる。 $s \neq 0, t \neq 0$ であるから、$p = \frac{x}{s}, q = \frac{y}{t}, r = \frac{z}{t}$。 $p+q+r=1$ に代入して、平面 $EFG$ と平面 $BCD$ の交線の方程式を得る。

$$ \frac{x}{s} + \frac{y}{t} + \frac{z}{t} = 1 $$

$x+y+z=1$ より $y+z = 1-x$ であるから、これを代入する。

$$ \frac{x}{s} + \frac{1-x}{t} = 1 $$

$$ tx + s(1-x) = st $$

$$ (t-s)x = s(t-1) $$

(i)

$s = t$ のとき $0 = s(s-1)$ となるが、$0 < s < 1$ よりこれを満たす実数 $s$ は存在しない。 このとき、平面 $EFG$ と平面 $BCD$ は平行となり交線を持たないため、円との共有点も存在しない。

(ii)

$s \neq t$ のとき $x = \frac{s(t-1)}{t-s}$ となる。このとき、$y+z = 1 - \frac{s(t-1)}{t-s} = \frac{t(1-s)}{t-s}$ である。 交線上の点 $P$ について、頂点 $B$ を基準とした位置ベクトル $\vec{BP}$ を考える。

$$ \vec{BP} = \vec{AP} - \vec{AB} = x\vec{b} + y\vec{c} + z\vec{d} - \vec{b} = (x-1)\vec{b} + y\vec{c} + z\vec{d} $$

ここで、$\vec{c} = \vec{b} + \vec{BC}$, $\vec{d} = \vec{b} + \vec{BD}$ を代入する。

$$ \vec{BP} = (x-1)\vec{b} + y(\vec{b}+\vec{BC}) + z(\vec{b}+\vec{BD}) = (x+y+z-1)\vec{b} + y\vec{BC} + z\vec{BD} $$

$x+y+z=1$ より第1項は $\vec{0}$ となるため、

$$ \vec{BP} = y\vec{BC} + z\vec{BD} $$

したがって、平面 $BCD$ と平面 $EFG$ の交線 $l$ は、平面 $BCD$ 上において

$$ y+z = k \quad \left( k = \frac{t(1-s)}{t-s} \right) $$

を満たす点 $P$ の軌跡である。 辺 $CD$ の中点を $M$ とすると、$\vec{BM} = \frac{1}{2}\vec{BC} + \frac{1}{2}\vec{BD}$ である。 交線 $l$ 上の任意の2点間のベクトルは $\vec{DC}$ と平行になるため、交線 $l$ は辺 $CD$ と平行である。正三角形において中線 $BM$ は辺 $CD$ と直交するため、交線 $l$ は直線 $BM$ と直交する。 交線 $l$ と直線 $BM$ の交点を $H$ とすると、$y=z=\frac{k}{2}$ より $\vec{BH} = \frac{k}{2}\vec{BC} + \frac{k}{2}\vec{BD} = k\vec{BM}$ となる。

次に、3点 $B, C, D$ を通る円(正三角形 $BCD$ の外接円)について考える。 外接円の中心 $O'$ は直線 $BM$ 上にあり、$\vec{BO'} = \frac{2}{3}\vec{BM}$ を満たす。また、円の半径 $R$ は $O'B$ の長さであるから $R = \frac{2}{3}|\vec{BM}|$ である。 直線 $l$ と円が共有点を持つ条件は、中心 $O'$ と直線 $l$ との距離 $d$ が半径 $R$ 以下になることである。 直線 $l$ と直線 $BM$ は点 $H$ で直交しているため、$d = |\vec{O'H}|$ である。

$$ \vec{O'H} = \vec{BH} - \vec{BO'} = k\vec{BM} - \frac{2}{3}\vec{BM} = \left( k - \frac{2}{3} \right)\vec{BM} $$

したがって、$|\vec{O'H}| \le R$ は次のように計算できる。

$$ \left| k - \frac{2}{3} \right| |\vec{BM}| \le \frac{2}{3}|\vec{BM}| $$

$$ \left| k - \frac{2}{3} \right| \le \frac{2}{3} $$

$$ -\frac{2}{3} \le k - \frac{2}{3} \le \frac{2}{3} \iff 0 \le k \le \frac{4}{3} $$

$k = \frac{t(1-s)}{t-s}$ を代入する。条件 $0 < s < 1, 0 < t < 1$ より、分子 $t(1-s) > 0$ である。 したがって、$k \ge 0$ となるためには分母が正、すなわち $t - s > 0 \iff t > s$ が必要である。 このとき、$t - s > 0$ であるから、各辺に $3(t-s)$ を掛けて解く。

$$ 0 \le 3t(1-s) \le 4(t-s) $$

$$ 3t - 3st \le 4t - 4s $$

$$ 4s \le t(1+3s) $$

$s > 0$ より $1+3s > 0$ であるから、両辺を割って

$$ t \ge \frac{4s}{1+3s} $$

ここで、$t \ge \frac{4s}{1+3s}$ のとき、 $\frac{4s}{1+3s} - s = \frac{4s - s(1+3s)}{1+3s} = \frac{3s(1-s)}{1+3s} > 0$ ($\because 0<s<1$) が成り立つため、$t > s$ は自動的に満たされる。 また、$0<s<1$ の範囲において $\frac{4s}{1+3s} < 1 \iff 4s < 1+3s \iff s < 1$ は常に成り立つため、$t<1$ の条件と矛盾しない。

以上より、求める条件は $0 < s < 1, 0 < t < 1$ かつ $t \ge \frac{4s}{1+3s}$ である。

解説

空間の平面と底面の交わりを捉える典型的な問題である。ベクトルを用いて「係数の和が1」という共面条件から交線の方程式を導く処理が非常に有効である。 交線の方程式 $y+z=k$ が得られたあとは、正三角形の幾何学的性質を用いて、「中心と直線の距離と半径の比較」に帰着させることで計算量を大きく減らすことができる。不等式を解く際に、分母 $t-s$ の正負によって場合分けが発生するように見えるが、条件 $k \ge 0$ から $t > s$ が必然的に要求されることを見抜けると解答がスムーズにまとまる。

答え

条件: $s, t$ の満たすべき条件は、

$$ t \ge \frac{4s}{1+3s} \quad (\text{ただし } 0 < s < 1, 0 < t < 1) $$

図示: $st$ 平面上において、求める点 $(s, t)$ の範囲は、正方形 $0 < s < 1, 0 < t < 1$ の内部における、曲線 $t = \frac{4s}{1+3s}$ およびその上側の領域である。 この曲線は原点 $(0,0)$ と点 $(1,1)$ を結ぶ上に凸の曲線である。 境界線については、曲線 $t = \frac{4s}{1+3s}$ の部分(ただし両端の $(0,0), (1,1)$ を除く)のみを含み、正方形の辺上の点($s=0, s=1, t=1$)は含まない。

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