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九州大学 1993年 理系 第2問 解説

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九州大学 1993年 理系 第2問 解説

方針・初手

(1)と(2)は、与えられた座標から各ベクトルの成分を求め、内積の定義に従って素直に計算する。 (3)は2つの方針が考えられる。1つ目は、平面と球面の交わりとして定まる円 $K$ 上の点 $P$ を媒介変数表示し、球の方程式に代入して軌跡を導く代数的な方針である。2つ目は、図形の対称性に着目し、(1)と(2)の誘導を利用して $\angle QAC$ が一定となる性質を見出し、幾何的に軌跡を導く方針である。

解法1

(1)

与えられた座標は $A(0, 0, 2)$, $B(0, 1, 0)$, $C(0, 1, 1)$ である。 それぞれのベクトルは次のように計算できる。

$$\overrightarrow{AB} = (0 - 0, 1 - 0, 0 - 2) = (0, 1, -2)$$

$$\overrightarrow{AC} = (0 - 0, 1 - 0, 1 - 2) = (0, 1, -1)$$

よって、求める内積は以下のようになる。

$$\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC} = 0 \cdot 0 + 1 \cdot 1 + (-2) \cdot (-1) = 3$$

(2)

$Q(x, y, 0)$ より、ベクトル $\overrightarrow{AQ}$ は以下のようになる。

$$\overrightarrow{AQ} = (x - 0, y - 0, 0 - 2) = (x, y, -2)$$

$\angle QAC = \theta$ であるから、内積の定義より $\cos \theta$ は次のように表される。

$$\cos \theta = \frac{\overrightarrow{AQ} \cdot \overrightarrow{AC}}{|\overrightarrow{AQ}| |\overrightarrow{AC}|}$$

各値を計算する。

$$\overrightarrow{AQ} \cdot \overrightarrow{AC} = x \cdot 0 + y \cdot 1 + (-2) \cdot (-1) = y + 2$$

$$|\overrightarrow{AQ}| = \sqrt{x^2 + y^2 + (-2)^2} = \sqrt{x^2 + y^2 + 4}$$

$$|\overrightarrow{AC}| = \sqrt{0^2 + 1^2 + (-1)^2} = \sqrt{2}$$

これらを代入して、求める $\cos \theta$ は次のようになる。

$$\cos \theta = \frac{y + 2}{\sqrt{2(x^2 + y^2 + 4)}}$$

(3)

点 $P$ は直線 $AQ$ 上にあるため、実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{AP} = t\overrightarrow{AQ}$ と表せる。 これより点 $P$ の座標は次のように表される。

$$\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{AQ} = (0, 0, 2) + t(x, y, -2) = (tx, ty, 2 - 2t)$$

円 $K$ は、点 $B$ を通り $\overrightarrow{AC}$ に垂直な平面 $\alpha$ 上にある。点 $P$ は円 $K$ 上の点であるから、$\overrightarrow{BP} \cdot \overrightarrow{AC} = 0$ を満たす。

$$\overrightarrow{BP} = \overrightarrow{OP} - \overrightarrow{OB} = (tx, ty - 1, 2 - 2t)$$

$$\overrightarrow{BP} \cdot \overrightarrow{AC} = tx \cdot 0 + (ty - 1) \cdot 1 + (2 - 2t) \cdot (-1) = ty + 2t - 3$$

したがって、$t(y + 2) - 3 = 0$ となる。 ここで $y + 2 = 0$ とすると $-3 = 0$ となり矛盾するため、$y + 2 \neq 0$ である。

$$t = \frac{3}{y + 2}$$

これを点 $P$ の座標に代入する。

$$P \left( \frac{3x}{y+2}, \frac{3y}{y+2}, 2 - \frac{6}{y+2} \right) = P \left( \frac{3x}{y+2}, \frac{3y}{y+2}, \frac{2y-2}{y+2} \right)$$

また、点 $P$ は球 $S$ 上の点でもある。球 $S$ は中心 $C(0, 1, 1)$、半径 $1$ であるから、その方程式は $X^2 + (Y - 1)^2 + (Z - 1)^2 = 1$ である。 点 $P$ の座標を代入する。

$$\left( \frac{3x}{y+2} \right)^2 + \left( \frac{3y}{y+2} - 1 \right)^2 + \left( \frac{2y-2}{y+2} - 1 \right)^2 = 1$$

$$\left( \frac{3x}{y+2} \right)^2 + \left( \frac{2y-2}{y+2} \right)^2 + \left( \frac{y-4}{y+2} \right)^2 = 1$$

両辺に $(y + 2)^2$ を掛ける。

$$9x^2 + (2y - 2)^2 + (y - 4)^2 = (y + 2)^2$$

展開して整理する。

$$9x^2 + 4y^2 - 8y + 4 + y^2 - 8y + 16 = y^2 + 4y + 4$$

$$9x^2 + 4y^2 - 20y + 16 = 0$$

$y$ について平方完成を行う。

$$9x^2 + 4 \left( y - \frac{5}{2} \right)^2 = 9$$

この方程式を満たす点 $(x, y)$ において、$- \frac{3}{2} \le y - \frac{5}{2} \le \frac{3}{2}$ すなわち $1 \le y \le 4$ であり、条件 $y + 2 \neq 0$ を満たす。 よって、点 $P$ が円 $K$ 上を動くとき、点 $Q$ はこの楕円全体を動くため、求める軌跡の方程式は $xy$ 平面上で $9x^2 + 4\left(y - \frac{5}{2}\right)^2 = 9$ である。

解法2

(1), (2) をそのまま利用し、(3) の別解を示す。

(3)の別解

円 $K$ は、球 $S$ を点 $B$ を通り直線 $AC$ に垂直な平面 $\alpha$ で切った断面である。 点 $B$ と点 $P$ はともにこの円 $K$ 上にあるため、直線 $AC$ を軸とする回転対称性から $\triangle APC \cong \triangle ABC$ が成り立つ。 したがって、$\angle PAC = \angle BAC$ である。

(1) の結果を用いると、$\cos \angle BAC$ は次のように求められる。

$$|\overrightarrow{AB}| = \sqrt{0^2 + 1^2 + (-2)^2} = \sqrt{5}$$

$$\cos \angle BAC = \frac{\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC}}{|\overrightarrow{AB}| |\overrightarrow{AC}|} = \frac{3}{\sqrt{5}\sqrt{2}} = \frac{3}{\sqrt{10}}$$

点 $P$ は線分 $AQ$ 上にあり、ベクトル $\overrightarrow{AQ}$ と $\overrightarrow{AP}$ は同じ向きであるため、$\angle QAC = \angle PAC = \theta$ である。 よって、$\cos \theta = \frac{3}{\sqrt{10}}$ となる。 これを (2) の結果に代入する。

$$\frac{y + 2}{\sqrt{2(x^2 + y^2 + 4)}} = \frac{3}{\sqrt{10}}$$

$\sqrt{10} > 0$ かつ $\sqrt{2(x^2 + y^2 + 4)} > 0$ より $y + 2 > 0$ である。両辺を2乗して整理する。

$$\frac{(y + 2)^2}{2(x^2 + y^2 + 4)} = \frac{9}{10}$$

$$5(y + 2)^2 = 9(x^2 + y^2 + 4)$$

$$5(y^2 + 4y + 4) = 9x^2 + 9y^2 + 36$$

$$9x^2 + 4y^2 - 20y + 16 = 0$$

$$9x^2 + 4\left(y - \frac{5}{2}\right)^2 = 9$$

この方程式が表す図形上の点 $(x, y)$ は $1 \le y \le 4$ に存在し、$y + 2 > 0$ を満たす。 よって、求める軌跡の方程式は $xy$ 平面上で $9x^2 + 4\left(y - \frac{5}{2}\right)^2 = 9$ である。

解説

空間図形とベクトルの融合問題である。(1)と(2)は成分計算と内積の定義による基本的な問題であり、落とさずに得点したい。 (3)は、平面や球面の式を立式して代数的に押し切る解法(解法1)と、図形の対称性や性質を見抜いて(1)、(2)の誘導を鮮やかに用いる解法(解法2)が存在する。 円錐曲線の定義(円錐面を平面で切断したときの切り口)の観点から見ると、直線 $AQ$ が母線、直線 $AC$ が円錐の軸、角 $\theta$ が半頂角に相当し、平面 $z=0$ による切断面が楕円として現れている構図になっている。図形的性質に気づけると計算量を大幅に削減できる良問である。

答え

(1) $3$

(2) $\cos \theta = \frac{y + 2}{\sqrt{2(x^2 + y^2 + 4)}}$

(3) $9x^2 + 4\left(y - \frac{5}{2}\right)^2 = 9$ (または $9x^2 + 4y^2 - 20y + 16 = 0$)

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