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京都大学 2025年 理系 第2問 解説

数学A/整数問題数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
京都大学 2025年 理系 第2問 解説

方針・初手

$N = x^6 + y^4 = 9z^2$ という方程式から条件を満たす正の整数の組 $(x, y, z)$ を見つけ、$N$ の最小値を求める問題です。

$x^6$ の項は $x$ が大きくなると急速に値が大きくなるため、$N$ を最小にするには $x$ がかなり小さい値になることが予想されます。そこで、$9z^2 - y^4 = x^6$ と移項し、左辺を平方の差とみなして $(3z - y^2)(3z + y^2) = x^6$ と因数分解するアプローチが有効です。ここから $x$ に小さい正の整数から順に代入して調べる解法(解法1)と、両辺を $3$ で割った余りに着目して $x, y$ の候補を絞り込む解法(解法2)を示します。

解法1

与式から $y^4$ を移項して因数分解すると、以下のようになる。

$$ 9z^2 - y^4 = x^6 $$

$$ (3z - y^2)(3z + y^2) = x^6 $$

$y, z$ は正の整数であるから、$3z + y^2 > 0$ である。積が $x^6 (>0)$ となるため、$3z - y^2 > 0$ も成り立つ。また、$3z + y^2 > 3z - y^2$ である。

$N$ の最小値を求めるため、$x$ が小さい順に正の整数を代入して調べる。

[1] $x=1$ のとき

$(3z - y^2)(3z + y^2) = 1$

両方の因数は正の整数であるから、ともに $1$ となるしかない。

$3z - y^2 = 1$ かつ $3z + y^2 = 1$

辺々引くと $2y^2 = 0$ となり $y=0$ となるが、これは $y$ が正の整数であることに矛盾する。よって不適。

[2] $x=2$ のとき

$(3z - y^2)(3z + y^2) = 64$

$(3z + y^2) + (3z - y^2) = 6z$(偶数)であるから、2つの因数の和は偶数となり、両者の偶奇は一致する。積が $64$ であるから、両方とも偶数である。

大小関係 $3z - y^2 < 3z + y^2$ に注意して、積が $64$ になる正の偶数の組を挙げると、

$(3z - y^2,\ 3z + y^2) = (2, 32),\ (4, 16)$

よって $x=2$ のときは不適。

[3] $x=3$ のとき

$(3z - y^2)(3z + y^2) = 729 = 3^6$

[2] と同様に和は $6z$ で偶数となるため、2つの因数の偶奇は一致する。積が $729$(奇数)であるから、両方とも奇数である。

積が $729$ になる奇数の組は以下の3通り。

$(3z - y^2,\ 3z + y^2) = (1, 729),\ (3, 243),\ (9, 81)$

それぞれについて差をとることで $y$ を求める。$(3z + y^2) - (3z - y^2) = 2y^2$ である。

したがって、正の整数の組 $(x, y, z) = (3, 6, 15)$ が見つかった。

このときの $N$ の値は $N = 9 \cdot 15^2 = 2025$ である。($3^6 + 6^4 = 729 + 1296 = 2025$ と一致する)

[4] $x \geqq 4$ のとき

もし $x \geqq 4$ で条件を満たす組があったとしても、そのときの $N$ は

$$ N = x^6 + y^4 > x^6 \geqq 4^6 = 4096 $$

となる。これは[3]で見つけた $N = 2025$ よりも大きいため、最小値にはなり得ない。

以上より、$N$ の最小値は $\boldsymbol{2025}$ である。

解法2

$3$ を法とする合同式を用いて考える。

すべての整数 $k$ に対して、$k^2 \equiv 0$ または $1 \pmod 3$ である。したがって、$k^4 \equiv 0$ または $1 \pmod 3$、さらに $k^6 \equiv 0$ または $1 \pmod 3$ が成り立つ。

与えられた方程式 $x^6 + y^4 = 9z^2$ において、右辺は $3$ の倍数であるから、

$$ x^6 + y^4 \equiv 0 \pmod 3 $$

これを満たすのは、$x^6 \equiv 0$ かつ $y^4 \equiv 0 \pmod 3$ のときに限られる(一方が $1$ で他方が $0$、あるいは両方 $1$ の場合は和が $3$ の倍数にならないため)。

よって、$x, y$ はともに $3$ の倍数である。

正の整数 $X, Y$ を用いて $x = 3X,\ y = 3Y$ とおき、与式に代入すると、

$$ (3X)^6 + (3Y)^4 = 9z^2 $$

$$ 729X^6 + 81Y^4 = 9z^2 $$

両辺を $9$ で割ると、

$$ 81X^6 + 9Y^4 = z^2 $$

$$ 9(9X^6 + Y^4) = z^2 $$

左辺の $9$ は $3^2$ で平方数であるから、$z^2$ が平方数となるためには $9X^6 + Y^4$ もある正の整数 $W$ を用いて $W^2$ と表されなければならない。

$$ 9X^6 + Y^4 = W^2 $$

$$ W^2 - Y^4 = 9X^6 $$

$$ (W - Y^2)(W + Y^2) = 9X^6 $$

$N$ の値を最小にしたいので、$X = 1$ の場合から調べる。

$X=1$ のとき

$(W - Y^2)(W + Y^2) = 9$

$Y, W$ は正の整数より $0 < W - Y^2 < W + Y^2$ であるから、積が $9$ になる組は $(1, 9)$ のみである。

$W - Y^2 = 1$ かつ $W + Y^2 = 9$

辺々引くと $2Y^2 = 8 \implies Y = 2$、辺々足すと $2W = 10 \implies W = 5$。

このとき $x = 3X = 3,\ y = 3Y = 6$ であり、

$$ N = x^6 + y^4 = 3^6 + 6^4 = 729 + 1296 = 2025 $$

$X \geqq 2$ のとき

もし解が存在したとしても $N > 81 \cdot 9 \cdot 2^6 = 46656 > 2025$ となり、最小値ではない。

よって、$N$ の最小値は $\boldsymbol{2025}$ である。

解説

整数解を求めるディオファントス方程式の典型的な手法である「因数分解による積の形への変形」と「大小関係や偶奇による候補の絞り込み」を組み合わせる問題です。

解法1のように文字のまま因数分解して地道に探しても十分解けますが、解法2のように方程式が $9$ の倍数であることに着目し、$3$ を法とする剰余類を考えることで $x$ と $y$ が $3$ の倍数であることを導き出せると、探索範囲が一気に狭まり非常にエレガントに解くことができます。

答え

$2025$

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