九州大学 1965年 文系 第8問 解説

方針・初手
曲線と直線の交点の条件をどのように文字でおくかが第一歩となる。 直線の式を $y=mx+n$ とおいて解と係数の関係を利用する方法と、曲線の式が $y=\frac{1}{x}$ と簡潔であることを活かして交点の座標を直接 $(a, \frac{1}{a}), (b, \frac{1}{b})$ とおく方法の2つが考えられる。 いずれの方針でも、正射影の長さの条件を数式化して文字を減らし、$x=k$ における $y$ 座標の最大値を求める関数問題へと帰着させる。
解法1
直線の式を $y = mx + n$ とする。 これが $x>0$ の範囲にある曲線 $y = \frac{1}{x}$ と異なる2点で交わるとする。 2つの式から $y$ を消去すると、
$$\frac{1}{x} = mx + n$$
$$mx^2 + nx - 1 = 0$$
直線から曲線によって切り取られる線分が存在するためには、この2次方程式が $x>0$ の範囲に異なる2つの実数解を持つ必要がある。 その解を $\alpha, \beta$ ($0 < \alpha < \beta$)とする。 解と係数の関係より、
$$\begin{cases} \alpha + \beta = -\frac{n}{m} \\ \alpha \beta = -\frac{1}{m} \end{cases}$$
$\alpha > 0, \beta > 0$ であるための条件は、$\alpha + \beta > 0$ かつ $\alpha \beta > 0$ かつ 判別式 $D = n^2 + 4m > 0$ である。 $\alpha \beta = -\frac{1}{m} > 0$ より $m < 0$ である。 $\alpha + \beta = -\frac{n}{m} > 0$ と $m < 0$ より $n > 0$ である。
切り取られる線分の両端の座標は $(\alpha, m\alpha + n)$ と $(\beta, m\beta + n)$ である。 $x$ 軸上への正射影の長さは $\beta - \alpha$ であり、$y$ 軸上への正射影の長さは $(m\alpha + n) - (m\beta + n) = -m(\beta - \alpha)$ である($m < 0$ より $-m > 0$ であるため、これが正の長さとなる)。 これらの積が $1$ に等しいので、
$$(\beta - \alpha) \times \{-m(\beta - \alpha)\} = 1$$
$$-m(\beta - \alpha)^2 = 1$$
ここで、$(\beta - \alpha)^2$ を基本対称式で表すと、
$$(\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha \beta = \left(-\frac{n}{m}\right)^2 - 4\left(-\frac{1}{m}\right) = \frac{n^2 + 4m}{m^2}$$
これを先ほどの式に代入する。
$$-m \cdot \frac{n^2 + 4m}{m^2} = 1$$
$$-\frac{n^2 + 4m}{m} = 1$$
$$n^2 + 4m = -m$$
$$m = -\frac{1}{5}n^2$$
このとき、判別式 $D = n^2 + 4m = -m > 0$ も満たされている。 したがって、条件を満たす直線の全体は、任意の正の実数 $n$ を用いて次のように表される。
$$y = -\frac{n^2}{5}x + n$$
この直線と直線 $x=k$ ($k>0$) との交点の $y$ 座標を考える。 これを $y$ についての $n$ の関数とみて、平方完成により最大値を求める。
$$\begin{aligned} y &= -\frac{k}{5}n^2 + n \\ &= -\frac{k}{5}\left(n^2 - \frac{5}{k}n\right) \\ &= -\frac{k}{5}\left(n - \frac{5}{2k}\right)^2 + \frac{k}{5} \cdot \frac{25}{4k^2} \\ &= -\frac{k}{5}\left(n - \frac{5}{2k}\right)^2 + \frac{5}{4k} \end{aligned}$$
$n$ は $n>0$ の範囲を動き、$k>0$ より $\frac{5}{2k} > 0$ であるから、$n = \frac{5}{2k}$ のときに $y$ 座標は最大値 $\frac{5}{4k}$ をとる。 軌跡上の点を $(x, y)$ とすると、$x = k, y = \frac{5}{4k}$ であるから、$k$ を消去して、
$$y = \frac{5}{4x}$$
$k>0$ より $x>0$ である。
解法2
直線が曲線 $y = \frac{1}{x}$ ($x>0$) から切り取る線分の両端の点を $A(a, \frac{1}{a}), B(b, \frac{1}{b})$ とおく。 ただし、$0 < a < b$ とする。 このとき、線分の $x$ 軸上への正射影の長さは $b - a$ である。 また、$0 < a < b$ より $\frac{1}{a} > \frac{1}{b}$ であるから、$y$ 軸上への正射影の長さは $\frac{1}{a} - \frac{1}{b} = \frac{b - a}{ab}$ である。 これら2つの正射影の長さの積が $1$ に等しいので、
$$(b - a) \cdot \frac{b - a}{ab} = 1$$
$$(b - a)^2 = ab$$
$$a^2 - 3ab + b^2 = 0$$
両辺を $a^2$ ($>0$) で割り、$t = \frac{b}{a}$ とおくと、
$$t^2 - 3t + 1 = 0$$
$b > a > 0$ より $t > 1$ である。方程式を解くと $t = \frac{3+\sqrt{5}}{2}$ となり、$t>1$ を満たす唯一の $t$ が定まる。 これにより、$b = ta$ と表せる。 次に、2点 $A, B$ を通る直線の方程式を求める。 傾きは、
$$\frac{\frac{1}{b} - \frac{1}{a}}{b - a} = \frac{\frac{a - b}{ab}}{b - a} = -\frac{1}{ab}$$
したがって、直線の方程式は、
$$y - \frac{1}{a} = -\frac{1}{ab}(x - a)$$
$$y = -\frac{1}{ab}x + \frac{1}{b} + \frac{1}{a}$$
$$y = -\frac{1}{ab}x + \frac{a+b}{ab}$$
これに $b = ta$ を代入する。
$$y = -\frac{1}{ta^2}x + \frac{1+t}{ta}$$
この直線と直線 $x=k$ ($k>0$) との交点の $y$ 座標は、
$$y = -\frac{k}{ta^2} + \frac{1+t}{ta}$$
これを $a>0$ が動いたときの $y$ の最大値を求める問題として扱う。 扱いやすくするため、$X = \frac{1}{a}$ ($X>0$) とおく。
$$\begin{aligned} y &= -\frac{k}{t}X^2 + \frac{1+t}{t}X \\ &= -\frac{k}{t}\left(X^2 - \frac{1+t}{k}X\right) \\ &= -\frac{k}{t}\left(X - \frac{1+t}{2k}\right)^2 + \frac{k}{t} \cdot \frac{(1+t)^2}{4k^2} \\ &= -\frac{k}{t}\left(X - \frac{1+t}{2k}\right)^2 + \frac{(1+t)^2}{4tk} \end{aligned}$$
$k>0, t>1$ より $\frac{1+t}{2k} > 0$ であるから、$X>0$ の範囲で $X = \frac{1+t}{2k}$ をとることができ、そのとき $y$ は最大となる。 最大値は $\frac{(1+t)^2}{4tk}$ である。 ここで、$t^2 - 3t + 1 = 0$ より $t^2 + 1 = 3t$ であるから、
$$\frac{(1+t)^2}{t} = \frac{t^2 + 2t + 1}{t} = \frac{3t + 2t}{t} = \frac{5t}{t} = 5$$
よって、最大値は次のように求まる。
$$\frac{(1+t)^2}{4tk} = \frac{1}{4k} \cdot 5 = \frac{5}{4k}$$
点 $(x, y)$ の軌跡は、$x=k, y=\frac{5}{4k}$ から $k$ を消去して、
$$y = \frac{5}{4x}$$
$k>0$ より $x>0$ である。
解説
2交点の条件が与えられた際に、それを数式化する手法として2つのアプローチを示した。 解法1のように解と係数の関係を用いる手法は、文字の対称性を保ったまま計算が進むため、計算ミスを防ぎやすく、非常に強力な手段である。 一方、解法2のように交点の座標を直接おく手法も自然な発想であるが、計算が煩雑になることを避けるために、比 $t=\frac{b}{a}$ を新たなパラメータとして導入する工夫が鍵となる。どちらの方針を選択しても、最終的に2次関数の最大値問題に帰着するという流れは同じである。
答え
曲線 $y = \frac{5}{4x}$ ($x>0$)
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