九州大学 1966年 文系 第3問 解説

方針・初手
与えられた2つの条件 ①、② をそれぞれ計算し、$a, b$ についての不等式を導出する。 導かれた不等式を $ab$ 平面上(横軸を $a$ 軸、縦軸を $b$ 軸とする座標平面)に図示して領域を特定する。 (2) では、$f'(0)$ の値を $a, b$ で表し、それが (1) で求めた領域内で最大となるような点 $(a, b)$ を、領域の形状(境界線の傾きなど)から視覚的に判断して求める。
解法1
(1)
与えられた関数は $f(x) = ax^2 + bx$ である。 これを微分すると以下のようになる。
$$f'(x) = 2ax + b$$
$$f''(x) = 2a$$
条件 ① について考える。 $f(1) = a + b$、$f''(1) = 2a$ であるから、代入して整理する。
$$a + b \geqq (2a)^2$$
$$b \geqq 4a^2 - a \cdots \text{(A)}$$
次に、条件 ② について考える。 定積分の計算を行う。
$$\begin{aligned} \int_0^1 x^2 f(x) dx &= \int_0^1 x^2 (ax^2 + bx) dx \\ &= \int_0^1 (ax^4 + bx^3) dx \\ &= \left[ \frac{a}{5}x^5 + \frac{b}{4}x^4 \right]_0^1 \\ &= \frac{a}{5} + \frac{b}{4} \end{aligned}$$
条件 ② より、次の不等式が得られる。
$$1 \leqq \frac{a}{5} + \frac{b}{4} \leqq 2$$
各辺を20倍して整理する。
$$20 \leqq 4a + 5b \leqq 40 \cdots \text{(B)}$$
求める点 $(a, b)$ の存在する領域は、不等式 (A) かつ (B) を満たす領域である。 境界線となる放物線 $C: b = 4a^2 - a$ と 2直線 $l_1: 4a + 5b = 20$、$l_2: 4a + 5b = 40$ の交点を調べる。
$C$ と $l_1$ の交点の $a$ 座標は、$4a + 5(4a^2 - a) = 20$ より、
$$20a^2 - a - 20 = 0$$
$$a = \frac{1 \pm \sqrt{1601}}{40}$$
$C$ と $l_2$ の交点の $a$ 座標は、$4a + 5(4a^2 - a) = 40$ より、
$$20a^2 - a - 40 = 0$$
$$a = \frac{1 \pm \sqrt{3201}}{40}$$
$\frac{1 - \sqrt{3201}}{40} < \frac{1 - \sqrt{1601}}{40} < \frac{1 + \sqrt{1601}}{40} < \frac{1 + \sqrt{3201}}{40}$ であることに注意する。 以上から、領域を図示すると、放物線 $C$ の上側かつ 2直線 $l_1, l_2$ に挟まれた部分となる(境界線を含む)。
(2)
$f'(x) = 2ax + b$ より、$f'(0) = b$ である。 したがって、(1) で求めた領域内において、$b$ 座標が最大となる点 $(a, b)$ を求めればよい。
領域の形状から、$b$ が最大となるのは、領域の上端にあたる境界線 $l_2: 4a + 5b = 40$ 上の点である。 $l_2$ の式を変形すると、
$$b = -\frac{4}{5}a + 8$$
これは傾きが負の直線であるから、$a$ の値が小さいほど $b$ の値は大きくなる。 領域内で $l_2$ 上にある線分の $a$ 座標の範囲は、放物線 $C$ との交点の間であるから、
$$\frac{1 - \sqrt{3201}}{40} \leqq a \leqq \frac{1 + \sqrt{3201}}{40}$$
よって、$b$ は $a = \frac{1 - \sqrt{3201}}{40}$ のときに最大値をとる。 このときの $b$ の値は、直線 $l_2$ の方程式に代入して、
$$\begin{aligned} b &= 8 - \frac{4}{5} \cdot \frac{1 - \sqrt{3201}}{40} \\ &= 8 - \frac{1 - \sqrt{3201}}{50} \\ &= \frac{400 - 1 + \sqrt{3201}}{50} \\ &= \frac{399 + \sqrt{3201}}{50} \end{aligned}$$
解説
微積分を用いた基本的な条件処理と、不等式の表す領域における最大値・最小値問題(線形計画法に似た考え方)の融合問題である。 放物線と直線の交点の $a$ 座標に $\sqrt{3201}$ といった大きな数の平方根が現れるため計算に不安を覚えるかもしれないが、領域の図形的な特徴(直線の傾きと変域)を正確に捉えていれば、不必要な交点座標の計算や $b$ 座標の代入計算を省くことができる。 「最大化したいものが何か(今回は $b$)」を意識して、図上で視覚的に最大となる点を絞り込む手順が重要である。
答え
(1) 求める領域は、不等式 $b \geqq 4a^2 - a$ かつ $20 \leqq 4a + 5b \leqq 40$ の表す領域。 図示すると、$ab$ 平面において、放物線 $b = 4a^2 - a$ の上側かつ、2直線 $4a + 5b = 20$、$4a + 5b = 40$ に挟まれた部分となる(境界線を含む)。
(2)
$$(a, b) = \left( \frac{1 - \sqrt{3201}}{40}, \frac{399 + \sqrt{3201}}{50} \right)$$
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