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九州大学 2010年 文系 第4問 解説

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九州大学 2010年 文系 第4問 解説

方針・初手

自然数の累乗の和を求める基本的な方法を用いる。二項定理から得られる恒等式 $(k+1)^{m+1} - k^{m+1}$ の展開式において、$k=1, 2, \dots, n$ の和をとることで、次数が $m$ の累乗の和を求めることができる。また、求める結果が公式として既知であるため、その結果を予想した上で数学的帰納法を用いて証明することも可能である。

解法1

(1)

恒等式 $(k+1)^2 - k^2 = 2k + 1$ において、$k=1, 2, \dots, n$ を代入して辺々足し合わせる。

$$ \sum_{k=1}^n \{(k+1)^2 - k^2\} = \sum_{k=1}^n (2k + 1) $$

左辺は途中の項が打ち消し合い、次のように計算できる。

$$ \sum_{k=1}^n \{(k+1)^2 - k^2\} = (n+1)^2 - 1^2 = n^2 + 2n $$

一方、右辺は求める和 $\sum_{k=1}^n k$ を用いて次のように表せる。

$$ \sum_{k=1}^n (2k + 1) = 2 \sum_{k=1}^n k + n $$

これらが等しいから、

$$ n^2 + 2n = 2 \sum_{k=1}^n k + n $$

$$ 2 \sum_{k=1}^n k = n^2 + n = n(n+1) $$

よって、求める和は次のように表される。

$$ 1 + 2 + \dots + n = \frac{1}{2}n(n+1) $$

(2)

恒等式 $(k+1)^3 - k^3 = 3k^2 + 3k + 1$ において、$k=1, 2, \dots, n$ を代入して辺々足し合わせる。

$$ \sum_{k=1}^n \{(k+1)^3 - k^3\} = \sum_{k=1}^n (3k^2 + 3k + 1) $$

左辺は途中の項が打ち消し合い、次のようになる。

$$ (n+1)^3 - 1^3 = n^3 + 3n^2 + 3n $$

右辺は (1) の結果を用いて次のように計算できる。

$$ \sum_{k=1}^n (3k^2 + 3k + 1) = 3 \sum_{k=1}^n k^2 + 3 \sum_{k=1}^n k + n $$

$$ = 3 \sum_{k=1}^n k^2 + \frac{3}{2}n(n+1) + n $$

これらが等しいから、

$$ n^3 + 3n^2 + 3n = 3 \sum_{k=1}^n k^2 + \frac{3}{2}n(n+1) + n $$

$$ 3 \sum_{k=1}^n k^2 = n^3 + 3n^2 + 2n - \frac{3}{2}n(n+1) $$

右辺を整理する。

$$ n^3 + 3n^2 + 2n - \frac{3}{2}n^2 - \frac{3}{2}n = n^3 + \frac{3}{2}n^2 + \frac{1}{2}n $$

$$ = \frac{n(2n^2 + 3n + 1)}{2} = \frac{n(n+1)(2n+1)}{2} $$

したがって、求める和は次のように表される。

$$ 1^2 + 2^2 + \dots + n^2 = \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) $$

(3)

恒等式 $(k+1)^4 - k^4 = 4k^3 + 6k^2 + 4k + 1$ において、$k=1, 2, \dots, n$ を代入して辺々足し合わせる。

$$ \sum_{k=1}^n \{(k+1)^4 - k^4\} = \sum_{k=1}^n (4k^3 + 6k^2 + 4k + 1) $$

左辺は途中の項が打ち消し合い、次のようになる。

$$ (n+1)^4 - 1^4 = n^4 + 4n^3 + 6n^2 + 4n $$

右辺は (1)(2) の結果を用いて次のように計算できる。

$$ \sum_{k=1}^n (4k^3 + 6k^2 + 4k + 1) = 4 \sum_{k=1}^n k^3 + 6 \sum_{k=1}^n k^2 + 4 \sum_{k=1}^n k + n $$

$$ = 4 \sum_{k=1}^n k^3 + 6 \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) + 4 \cdot \frac{1}{2}n(n+1) + n $$

$$ = 4 \sum_{k=1}^n k^3 + n(n+1)(2n+1) + 2n(n+1) + n $$

これらが等しいから、

$$ 4 \sum_{k=1}^n k^3 = n^4 + 4n^3 + 6n^2 + 3n - n(n+1)(2n+1) - 2n(n+1) $$

右辺を整理する。

$$ n(n+1)(2n+1) + 2n(n+1) = n(n+1)\{(2n+1) + 2\} $$

$$ = n(n+1)(2n+3) = n(2n^2 + 5n + 3) = 2n^3 + 5n^2 + 3n $$

よって、

$$ 4 \sum_{k=1}^n k^3 = (n^4 + 4n^3 + 6n^2 + 3n) - (2n^3 + 5n^2 + 3n) $$

$$ = n^4 + 2n^3 + n^2 = n^2(n+1)^2 $$

したがって、求める和は次のように表される。

$$ 1^3 + 2^3 + \dots + n^3 = \frac{1}{4}n^2(n+1)^2 $$

解法2

求める和の結果を公式として予想し、数学的帰納法により証明する。

(1)

和が $\frac{1}{2}n(n+1)$ であることを、数学的帰納法で示す。 $n$ までの和を $S_n$ とおく。

(i) $n=1$ のとき

$S_1 = 1$。 公式に $n=1$ を代入すると、$\frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 2 = 1$ となり成立する。

(ii) $n=m$ のとき

$S_m = \frac{1}{2}m(m+1)$ が成り立つと仮定する。 $n=m+1$ のとき、

$$ S_{m+1} = S_m + (m+1) = \frac{1}{2}m(m+1) + (m+1) $$

$$ = (m+1)\left(\frac{1}{2}m + 1\right) = \frac{1}{2}(m+1)(m+2) $$

となり、$n=m+1$ のときも成立する。

以上より、すべての自然数 $n$ について、和は $\frac{1}{2}n(n+1)$ である。

(2)

和が $\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$ であることを、数学的帰納法で示す。 $n$ までの和を $T_n$ とおく。

(i) $n=1$ のとき

$T_1 = 1^2 = 1$。 公式に $n=1$ を代入すると、$\frac{1}{6} \cdot 1 \cdot 2 \cdot 3 = 1$ となり成立する。

(ii) $n=m$ のとき

$T_m = \frac{1}{6}m(m+1)(2m+1)$ が成り立つと仮定する。 $n=m+1$ のとき、

$$ T_{m+1} = T_m + (m+1)^2 = \frac{1}{6}m(m+1)(2m+1) + (m+1)^2 $$

$$ = \frac{1}{6}(m+1)\{m(2m+1) + 6(m+1)\} = \frac{1}{6}(m+1)(2m^2 + 7m + 6) $$

$$ = \frac{1}{6}(m+1)(m+2)(2m+3) $$

となり、$n=m+1$ のときも成立する。

以上より、すべての自然数 $n$ について、和は $\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$ である。

(3)

和が $\frac{1}{4}n^2(n+1)^2$ であることを、数学的帰納法で示す。 $n$ までの和を $U_n$ とおく。

(i) $n=1$ のとき

$U_1 = 1^3 = 1$。 公式に $n=1$ を代入すると、$\frac{1}{4} \cdot 1^2 \cdot 2^2 = 1$ となり成立する。

(ii) $n=m$ のとき

$U_m = \frac{1}{4}m^2(m+1)^2$ が成り立つと仮定する。 $n=m+1$ のとき、

$$ U_{m+1} = U_m + (m+1)^3 = \frac{1}{4}m^2(m+1)^2 + (m+1)^3 $$

$$ = \frac{1}{4}(m+1)^2\{m^2 + 4(m+1)\} = \frac{1}{4}(m+1)^2(m^2 + 4m + 4) $$

$$ = \frac{1}{4}(m+1)^2(m+2)^2 $$

となり、$n=m+1$ のときも成立する。

以上より、すべての自然数 $n$ について、和は $\frac{1}{4}n^2(n+1)^2$ である。

解説

自然数の累乗の和の公式を導出する有名問題である。解法1のように、求める和の次数よりも1つ高い次数の二項展開の恒等式を利用して階差の和をとる手法は、一般的な $m$ 乗の和を求める際にも通用する標準的で強力な解法である。

一方で、本問のように求めるべき式が公式として広く知られている場合は、解法2のように初めから結論を予想し、数学的帰納法を用いてその正しさを示すアプローチも有効である。この方法では計算量が少なく済むことが多い。

答え

(1)

$$ \frac{1}{2}n(n+1) $$

(証明は解答参照)

(2)

$$ \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) $$

(証明は解答参照)

(3)

$$ \frac{1}{4}n^2(n+1)^2 $$

(証明は解答参照)

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