トップ 九州大学 2010年 文系 第3問

九州大学 2010年 文系 第3問 解説

数学2/三角関数数学2/図形と式数学A/図形の性質テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
九州大学 2010年 文系 第3問 解説

方針・初手

本問は、座標平面上の円と図形の性質を用いて、与えられた条件を三角関数の式として立式し、最終的に微分法を利用して解の個数を調べる問題である。 角 $\theta$ を用いて点 $M, N$ の座標や線分の長さを表すことから始める。三角関数の倍角・半角の公式を活用して方程式を整理し、(3) で求めた変域付きの 3次方程式の解の個数を (4) で判定する、という見通しを立てる。

解法1

(1)

線分 $AB$ は円 $C$ の直径であるから、半円の弧に対する円周角の定理より、$\angle AMB = \frac{\pi}{2}$ である。 直角三角形 $AMB$ において、斜辺 $AB = 2$ であるから、

$$ MB = AB \sin \theta = 2 \sin \theta $$

となる。 また、点 $M$ は原点 $O$ を中心とする単位円上の点である。中心角と円周角の関係より、動径 $OM$ が $x$ 軸の正の向きと成す角は $\angle MOB = 2 \angle MAB = 2\theta$ である。 したがって、点 $M$ の座標は

$$ (\cos 2\theta, \sin 2\theta) $$

と表される。

(2)

条件 $NM = MB$ より、弦の長さが等しいので対応する中心角の大きさも等しくなる。

$$ \angle NOM = \angle MOB = 2\theta $$

ここで、$N \neq B$ であるため、点 $N$ は点 $M$ を基準にして点 $B$ とは反対側に位置する。よって、動径 $ON$ の偏角 $\angle NOB$ は

$$ \angle NOB = \angle NOM + \angle MOB = 4\theta $$

となる。したがって、点 $N$ の座標は $(\cos 4\theta, \sin 4\theta)$ である。 点 $N$ から $x$ 軸におろした垂線の足 $P$ の座標は $(\cos 4\theta, 0)$ となる。 点 $B$ の座標は $(1, 0)$ であるため、線分 $PB$ の長さは

$$ PB = |1 - \cos 4\theta| $$

$-1 \le \cos 4\theta \le 1$ より $1 - \cos 4\theta \ge 0$ であるから、

$$ PB = 1 - \cos 4\theta $$

となる。

(3)

(1), (2) の結果を条件 $MB = PB$ に代入すると、

$$ 2 \sin \theta = 1 - \cos 4\theta $$

右辺について、半角の公式(または倍角の公式)を用いて変形する。

$$ 1 - \cos 4\theta = 2 \sin^2 2\theta $$

さらに、$\sin 2\theta = 2 \sin \theta \cos \theta$ を用いると、

$$ \begin{aligned} 2 \sin^2 2\theta &= 2(2 \sin \theta \cos \theta)^2 \\ &= 8 \sin^2 \theta \cos^2 \theta \\ &= 8 \sin^2 \theta (1 - \sin^2 \theta) \end{aligned} $$

よって、方程式は

$$ 2 \sin \theta = 8 \sin^2 \theta (1 - \sin^2 \theta) $$

となる。 次に $\theta$ の変域について考える。 点 $N(\cos 4\theta, \sin 4\theta)$ は上半分の円 $C$ 上の点であるため、$y$ 座標について $\sin 4\theta \ge 0$ が成り立つ。 よって $0 \le 4\theta \le \pi$ となり、$0 \le \theta \le \frac{\pi}{4}$ を得る。 また、$N \neq B$ より $MB \neq 0$ であるため $\theta > 0$ である。 したがって $\theta$ の範囲は $0 < \theta \le \frac{\pi}{4}$ となり、$t = \sin \theta$ の取りうる値の範囲は

$$ 0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}} $$

となる。 $t > 0$ であるため、方程式 $2t = 8t^2(1 - t^2)$ の両辺を $2t$ で割って整理すると、

$$ 1 = 4t(1 - t^2) $$

$$ 4t^3 - 4t + 1 = 0 $$

これが求める条件である(条件として変域も付すのが適切である)。

(4)

$MB = PB$ となる点 $M$ がただ一つ存在する条件は、(3) で求めた方程式 $4t^3 - 4t + 1 = 0$ が $0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}}$ の範囲で実数解をただ一つ持つことと同値である。 $f(t) = 4t^3 - 4t + 1$ とおく。

$$ f'(t) = 12t^2 - 4 = 4(3t^2 - 1) $$

$f'(t) = 0$ とすると、$t > 0$ の範囲では $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 $0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}}$ における $f(t)$ の増減表は以下のようになる。

$t$ $(0)$ $\cdots$ $\frac{1}{\sqrt{3}}$ $\cdots$ $\frac{1}{\sqrt{2}}$
$f'(t)$ $-$ $0$ $+$
$f(t)$ $(1)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$ $1-\sqrt{2}$

ここで、極小値と区間右端の値を評価する。 $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき、

$$ \begin{aligned} f\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right) &= 4 \cdot \frac{1}{3\sqrt{3}} - \frac{4}{\sqrt{3}} + 1 \\ &= 1 - \frac{8}{3\sqrt{3}} \\ &= 1 - \frac{8\sqrt{3}}{9} \end{aligned} $$

$(8\sqrt{3})^2 = 192$、$9^2 = 81$ より $8\sqrt{3} > 9$ であるから、$1 - \frac{8\sqrt{3}}{9} < 0$ である。 $t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき、

$$ \begin{aligned} f\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) &= 4 \cdot \frac{1}{2\sqrt{2}} - \frac{4}{\sqrt{2}} + 1 \\ &= 1 - \frac{2}{\sqrt{2}} \\ &= 1 - \sqrt{2} < 0 \end{aligned} $$

増減表より、$f(t)$ は区間 $\left(0, \frac{1}{\sqrt{3}}\right)$ において単調に減少し、$f(0) = 1 > 0$ かつ $f\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right) < 0$ であるため、中間値の定理よりこの区間に $f(t) = 0$ を満たす $t$ がただ一つ存在する。 一方、区間 $\left[\frac{1}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{2}}\right]$ においては単調に増加するが、極小値も区間右端の値も負であるため、$f(t) = 0$ を満たす $t$ は存在しない。 以上より、$0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}}$ を満たす $t$ はただ一つ存在する。 $t = \sin \theta$ は $0 < \theta \le \frac{\pi}{4}$ の範囲において $\theta$ に対して単調増加するため、$t$ の値が一つに定まれば $\theta$ も一つに定まり、対応する点 $M(\cos 2\theta, \sin 2\theta)$ もただ一つに定まる。 よって、条件を満たす点 $M$ がただ一つあることが示された。

解説

図形の計量を三角関数を用いて座標・数式の問題に帰着させる標準的な問題である。 最大のポイントは、点 $N$ が半円 $C$ 上に存在するという条件から「$\theta$ の取りうる値の範囲」を正確に導出できるか否かにある。変域を $0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}}$ に絞り込む手順を欠かしてしまうと、(4) で不適な解を排除できなくなるため注意が必要である。 三角関数の変形においては、$1 - \cos 4\theta \to 2\sin^2 2\theta$ のような次数下げ・角の統一の公式利用が必須となる。

答え

(1) $MB = 2 \sin \theta$, 点 $M$ の座標は $(\cos 2\theta, \sin 2\theta)$

(2) $PB = 1 - \cos 4\theta$

(3) $4t^3 - 4t + 1 = 0 \quad \left(0 < t \le \frac{1}{\sqrt{2}}\right)$

(4) (証明略)

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。