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九州大学 2012年 文系 第1問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学1/図形計量テーマ/面積・体積テーマ/空間図形
九州大学 2012年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 三角形の内角が $\frac{\pi}{2}$ より大きい(鈍角である)ことを示すには、ベクトルを用いて $\cos \angle B < 0$、すなわち内積 $\vec{BA} \cdot \vec{BC} < 0$ を示せばよい。

(2) 点 H は直線 BC 上にあるため、実数 $t$ を用いて $\vec{OH} = \vec{OB} + t\vec{BC}$ と表せる。さらに $AH \perp BC$ であることから、$\vec{AH} \cdot \vec{BC} = 0$ の条件を用いて $t$ を決定する。

(3) 三角形の面積公式 $S = \frac{1}{2}\sqrt{|\vec{OA}|^2|\vec{OH}|^2 - (\vec{OA} \cdot \vec{OH})^2}$ を用いる。または、点 A が x軸上にあることに着目し、底辺と高さを直接求めて計算することもできる。

解法1

(1) 点 $A(1, 0, 0)$, $B(0, 0, 2)$, $C(-2, 1, 3)$ より、ベクトル $\vec{BA}$, $\vec{BC}$ の成分はそれぞれ以下のようになる。

$$ \vec{BA} = (1-0, 0-0, 0-2) = (1, 0, -2) $$

$$ \vec{BC} = (-2-0, 1-0, 3-2) = (-2, 1, 1) $$

これより、内積 $\vec{BA} \cdot \vec{BC}$ は、

$$ \vec{BA} \cdot \vec{BC} = 1 \cdot (-2) + 0 \cdot 1 + (-2) \cdot 1 = -4 $$

内積の定義より、$\vec{BA} \cdot \vec{BC} = |\vec{BA}||\vec{BC}| \cos \angle B$ である。

$A, B, C$ は相異なる点であるから $|\vec{BA}| > 0$, $|\vec{BC}| > 0$ であり、$\vec{BA} \cdot \vec{BC} < 0$ より $\cos \angle B < 0$ が成り立つ。

$\triangle ABC$ の内角より $0 < \angle B < \pi$ であるから、$\cos \angle B < 0$ を満たす $\angle B$ の範囲は $\frac{\pi}{2} < \angle B < \pi$ となる。

したがって、$\angle B$ は $\frac{\pi}{2}$ より大きいことが示された。

(2) 点 H は直線 BC 上にあるため、実数 $t$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OH} = \vec{OB} + t\vec{BC} = (0, 0, 2) + t(-2, 1, 1) = (-2t, t, t+2) $$

点 A から直線 BC に下ろした垂線の足が H であるから、$AH \perp BC$ すなわち $\vec{AH} \cdot \vec{BC} = 0$ が成り立つ。

ここで、$\vec{AH}$ の成分は、

$$ \vec{AH} = \vec{OH} - \vec{OA} = (-2t, t, t+2) - (1, 0, 0) = (-2t-1, t, t+2) $$

である。$\vec{AH} \cdot \vec{BC} = 0$ より、

$$ (-2t-1) \cdot (-2) + t \cdot 1 + (t+2) \cdot 1 = 0 $$

$$ 4t + 2 + t + t + 2 = 0 $$

$$ 6t + 4 = 0 $$

$$ t = -\frac{2}{3} $$

これを $\vec{OH}$ の式に代入して、

$$ \vec{OH} = \left(-2\left(-\frac{2}{3}\right), -\frac{2}{3}, -\frac{2}{3}+2\right) = \left(\frac{4}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{4}{3}\right) $$

よって、点 H の座標は $\left(\frac{4}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{4}{3}\right)$ である。

(3) $\vec{OA} = (1, 0, 0)$、$\vec{OH} = \left(\frac{4}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{4}{3}\right)$ より、それぞれの大きさの2乗と内積を求める。

$$ |\vec{OA}|^2 = 1^2 + 0^2 + 0^2 = 1 $$

$$ |\vec{OH}|^2 = \left(\frac{4}{3}\right)^2 + \left(-\frac{2}{3}\right)^2 + \left(\frac{4}{3}\right)^2 = \frac{16}{9} + \frac{4}{9} + \frac{16}{9} = \frac{36}{9} = 4 $$

$$ \vec{OA} \cdot \vec{OH} = 1 \cdot \frac{4}{3} + 0 \cdot \left(-\frac{2}{3}\right) + 0 \cdot \frac{4}{3} = \frac{4}{3} $$

$\triangle OAH$ の面積を $S$ とすると、

$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{OA}|^2|\vec{OH}|^2 - (\vec{OA} \cdot \vec{OH})^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{1 \cdot 4 - \left(\frac{4}{3}\right)^2} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{4 - \frac{16}{9}} \\ &= \frac{1}{2} \sqrt{\frac{20}{9}} \\ &= \frac{1}{2} \cdot \frac{2\sqrt{5}}{3} \\ &= \frac{\sqrt{5}}{3} \end{aligned} $$

解法2

(3) の別解

点 $A(1, 0, 0)$ は x軸上の点である。したがって、$\triangle OAH$ において線分 OA を底辺とみると、その長さは $OA = 1$ である。

このときの三角形の高さ $h$ は、点 H から直線 OA(x軸)に下ろした垂線の長さに等しい。

点 $H\left(\frac{4}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{4}{3}\right)$ から x軸に下ろした垂線の足の座標は、y座標とz座標を $0$ にした点 $\left(\frac{4}{3}, 0, 0\right)$ となるため、高さ $h$ は点 H の y座標と z座標から次のように計算できる。

$$ h = \sqrt{\left(-\frac{2}{3}\right)^2 + \left(\frac{4}{3}\right)^2} = \sqrt{\frac{4}{9} + \frac{16}{9}} = \sqrt{\frac{20}{9}} = \frac{2\sqrt{5}}{3} $$

よって、$\triangle OAH$ の面積 $S$ は、

$$ S = \frac{1}{2} \cdot OA \cdot h = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \frac{2\sqrt{5}}{3} = \frac{\sqrt{5}}{3} $$

解説

空間ベクトルにおける角度の評価、垂線の足の座標の決定、三角形の面積計算という、基本から標準的な手法を問う問題である。

(1) は、角度の大きさを内積の符号に帰着させる典型的な処理である。ベクトルの始点を B に揃えて計算することがポイントである。

(2) は、「直線上にある」ことを実数パラメータで表し、「垂直である」ことを内積がゼロであることに結びつける基本手順を踏む。計算ミスのないように処理したい。

(3) は、ベクトルの成分を用いた面積公式を利用する解法(解法1)が最も標準的で迷いが少ない。一方で、点 A が x軸上の点であるという座標の特殊性に気づけば、解法2のように底辺と高さを直接求めることで計算量を大きく減らすことができる。

答え

(1) $\vec{BA} \cdot \vec{BC} = -4 < 0$ より $\cos \angle B < 0$ となり、$\angle B$ は $\frac{\pi}{2}$ より大きいことが示された。(証明の詳細は解法1を参照)

(2) $H\left(\frac{4}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{4}{3}\right)$

(3) $\triangle OAH$ の面積は $\frac{\sqrt{5}}{3}$

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