九州大学 2020年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) 四面体 $OABC$ が正四面体であるため、すべての辺の長さが等しいことを利用する。既知の頂点 $O$ と $A$ から1辺の長さを求め、他の頂点間の距離の2乗がそれに等しいという条件から連立方程式を立てる。 (2) $z$ 軸に垂直な平面 $z=t$ で四面体を切断する。平面の方程式から、交点を持つ辺を見つけてその座標を $t$ を用いて表す。断面の形状をベクトルを用いて特定し、面積を $t$ の関数として立式する。
解法1
(1) 四面体 $OABC$ は正四面体であるから、すべての辺の長さは等しい。 辺 $OA$ の長さの2乗は
$$ OA^2 = (1 - 0)^2 + (1 - 0)^2 + (0 - 0)^2 = 2 $$
であるから、正四面体の1辺の長さの2乗は $2$ である。 辺 $OB$ の長さの2乗について
$$ OB^2 = 1^2 + 0^2 + p^2 = 1 + p^2 $$
これが $2$ に等しいので
$$ 1 + p^2 = 2 $$
$$ p^2 = 1 $$
$p > 0$ より、$p = 1$ である。これより $B(1, 0, 1)$ となる。 念のため $AB^2$ を確認すると
$$ AB^2 = (1 - 1)^2 + (0 - 1)^2 + (1 - 0)^2 = 2 $$
となり、条件を満たしている。
次に、頂点 $C(q, r, s)$ について考える。 $OC^2 = 2$, $AC^2 = 2$, $BC^2 = 2$ より、以下の連立方程式を得る。
$$ \begin{cases} q^2 + r^2 + s^2 = 2 & \cdots ① \\ (q - 1)^2 + (r - 1)^2 + s^2 = 2 & \cdots ② \\ (q - 1)^2 + r^2 + (s - 1)^2 = 2 & \cdots ③ \end{cases} $$
②を展開し、①を代入する。
$$ (q^2 + r^2 + s^2) - 2q - 2r + 2 = 2 $$
$$ 2 - 2q - 2r + 2 = 2 $$
$$ q + r = 1 \quad \cdots ④ $$
同様に、③を展開し、①を代入する。
$$ (q^2 + r^2 + s^2) - 2q - 2s + 2 = 2 $$
$$ 2 - 2q - 2s + 2 = 2 $$
$$ q + s = 1 \quad \cdots ⑤ $$
④、⑤より、$r = 1 - q$, $s = 1 - q$ と表せる。これらを①に代入する。
$$ q^2 + (1 - q)^2 + (1 - q)^2 = 2 $$
展開して整理すると
$$ q^2 + 1 - 2q + q^2 + 1 - 2q + q^2 = 2 $$
$$ 3q^2 - 4q = 0 $$
$$ q(3q - 4) = 0 $$
これより、$q = 0$ または $q = \frac{4}{3}$ を得る。 ここで条件 $s > 0$ を確認する。 $q = \frac{4}{3}$ のとき、$s = 1 - \frac{4}{3} = -\frac{1}{3} < 0$ となり不適。 $q = 0$ のとき、$s = 1 > 0$ となり条件を満たす。このとき $r = 1$ である。 以上より、$p, q, r, s$ の値が定まる。
(2) (1) より、各頂点の座標は $O(0,0,0)$, $A(1,1,0)$, $B(1,0,1)$, $C(0,1,1)$ である。 すべての頂点の $z$ 座標は $0$ または $1$ であるため、正四面体 $OABC$ と $z$ 軸に垂直な平面 $z=t$ が交わるのは $0 \leqq t \leqq 1$ の範囲である。 $t=0, 1$ のとき断面は線分または点となり面積は $0$ であるから、$0 < t < 1$ の場合を考える。
平面 $z=t$ と正四面体の各辺との交点を調べる。 両端点の $z$ 座標が $0$ と $1$ である辺は、$OB, OC, AB, AC$ の4本である。(辺 $OA$ は平面 $z=0$ 上、辺 $BC$ は平面 $z=1$ 上にあり、$0 < t < 1$ の平面とは交わらない)
各辺を媒介変数を用いて表し、$z=t$ となる点(交点)の座標を求める。 辺 $OB$ 上の点 $P$ : $O(0,0,0)$ と $B(1,0,1)$ を結ぶ線分上より、$P(t, 0, t)$ 辺 $OC$ 上の点 $Q$ : $O(0,0,0)$ と $C(0,1,1)$ を結ぶ線分上より、$Q(0, t, t)$ 辺 $AC$ 上の点 $S$ : $A(1,1,0)$ と $C(0,1,1)$ を $(1-t) : t$ に内分する点より、$S(1-t, 1, t)$ 辺 $AB$ 上の点 $R$ : $A(1,1,0)$ と $B(1,0,1)$ を $(1-t) : t$ に内分する点より、$R(1, 1-t, t)$
これら4点 $P, Q, S, R$ が断面の頂点となる。すべての点の $z$ 座標が等しいため、$xy$ 座標のみで図形の形状や長さを考えることができる。 各辺のベクトルは以下のようになる。
$$ \vec{PQ} = (0 - t, t - 0, 0) = (-t, t, 0) $$
$$ \vec{RS} = (1 - t - 1, 1 - (1 - t), 0) = (-t, t, 0) $$
よって、$\vec{PQ} = \vec{RS}$ となり、四角形 $PQSR$ は平行四辺形である。 さらに、隣り合う辺のベクトル $\vec{PR}$ を求めると
$$ \vec{PR} = (1 - t, 1 - t, 0) $$
となり、内積を計算すると
$$ \vec{PQ} \cdot \vec{PR} = (-t)(1 - t) + t(1 - t) + 0 = 0 $$
したがって、$\vec{PQ} \perp \vec{PR}$ であり、四角形 $PQSR$ は長方形であることがわかる。 この長方形の隣り合う2辺の長さは
$$ |\vec{PQ}| = \sqrt{(-t)^2 + t^2} = \sqrt{2}t $$
$$ |\vec{PR}| = \sqrt{(1 - t)^2 + (1 - t)^2} = \sqrt{2}(1 - t) $$
である。ゆえに、断面の面積を $S(t)$ とすると
$$ S(t) = |\vec{PQ}| |\vec{PR}| = \sqrt{2}t \cdot \sqrt{2}(1 - t) = 2t(1 - t) $$
これを平方完成すると
$$ S(t) = -2(t^2 - t) = -2\left(t - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{2} $$
$0 < t < 1$ において、面積 $S(t)$ は $t = \frac{1}{2}$ のとき最大値 $\frac{1}{2}$ をとる。 $t=0, 1$ のとき $S(0)=S(1)=0$ であるため、これを含めても最大値は変わらない。
解説
空間図形における座標設定と断面積の最大化を問う標準的な問題である。 (1) では「正四面体のすべての辺の長さが等しい」という条件を素直に立式して連立方程式を解けばよい。 (2) は立体の切り口を考える問題であり、各辺をパラメータ表示して切断面の平面の方程式(今回は $z=t$)と連立することで、切り口の頂点の座標を具体的に求める手法が有効である。断面が長方形になることは、空間ベクトルの成分計算によって容易に示すことができる。
答え
(1) $p = 1, q = 0, r = 1, s = 1$ (2) $\frac{1}{2}$
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