九州大学 1964年 理系 第4問 解説

方針・初手
$f(x)$ の導関数 $f'(x)$ を計算し、極値をもつための $a$ の条件を調べることから始める。 (1)では、$f(x)$ が極値をもつという前提条件を $a$ の不等式として明らかにしたうえで、極大値・極小値を与える $x$ の値を求めて代入する。 (2)は(1)で求めた $M(a)$ および $m(a)$ の式から根号を外すように変形し、どのような図形の一部になるかを調べる。その際、$b$ の取り得る値の範囲(値域)に注意する。 (3)は $a$ の値によって $f(x)$ が極値をもつかどうかが変わるため場合分けを行う。極値をもつ場合は、3次方程式の実数解の個数のセオリー通り「極大値と極小値の積の符号」に着目する。
解法1
(1)
関数 $f(x) = x^3 - 3\sqrt[3]{4-a^2}x + 2$ を $x$ について微分すると、
$$f'(x) = 3x^2 - 3\sqrt[3]{4-a^2} = 3(x^2 - \sqrt[3]{4-a^2})$$
$f(x)$ が極大値および極小値をもつのは、方程式 $f'(x) = 0$ が異なる2つの実数解をもつときである。 すなわち、
$$\sqrt[3]{4-a^2} > 0$$
$$4 - a^2 > 0$$
$$-2 < a < 2$$
このとき、$f'(x) = 0$ の解は $x = \pm \sqrt{\sqrt[3]{4-a^2}} = \pm (4-a^2)^{\frac{1}{6}}$ である。 $\alpha = (4-a^2)^{\frac{1}{6}}$ とおくと、$\alpha > 0$ であり、$f'(x) = 3(x+\alpha)(x-\alpha)$ と因数分解できる。 $f(x)$ の増減は以下のようになる。 $x < -\alpha$ で $f'(x) > 0$ $x = -\alpha$ で $f'(x) = 0$ $-\alpha < x < \alpha$ で $f'(x) < 0$ $x = \alpha$ で $f'(x) = 0$ $x > \alpha$ で $f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ は $x = -\alpha$ で極大、$x = \alpha$ で極小となる。
極大値 $M(a)$ は、
$$M(a) = f(-\alpha) = (-\alpha)^3 - 3\alpha^2(-\alpha) + 2 = 2\alpha^3 + 2$$
ここで $\alpha^3 = (4-a^2)^{\frac{3}{6}} = \sqrt{4-a^2}$ であるから、
$$M(a) = 2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$$
極小値 $m(a)$ は、
$$m(a) = f(\alpha) = \alpha^3 - 3\alpha^2(\alpha) + 2 = -2\alpha^3 + 2$$
同様に、
$$m(a) = -2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$$
(2)
$b = M(a)$ のグラフについて考える。
$$b = 2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$$
これを変形すると $b - 2 = 2\sqrt{4-a^2}$ となる。$\sqrt{4-a^2} > 0$ より $b > 2$ である。 両辺を2乗して整理すると、
$$(b - 2)^2 = 4(4 - a^2)$$
$$4a^2 + (b - 2)^2 = 16$$
$$\frac{a^2}{4} + \frac{(b - 2)^2}{16} = 1$$
これは中心が $(0, 2)$ の楕円であり、条件 $b > 2$ および $-2 < a < 2$ より、上半分の弧(ただし両端の点 $(\pm 2, 2)$ は除く)を表す。
次に $b = m(a)$ のグラフについて考える。
$$b = -2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$$
これを変形すると $b - 2 = -2\sqrt{4-a^2}$ となる。$\sqrt{4-a^2} > 0$ より $b < 2$ である。 両辺を2乗して整理すると、同様に
$$\frac{a^2}{4} + \frac{(b - 2)^2}{16} = 1$$
が得られる。条件 $b < 2$ および $-2 < a < 2$ より、これは同じ楕円の下半分の弧(ただし両端の点 $(\pm 2, 2)$ は除く)を表す。
以上より、求めるグラフは横軸を $a$ 軸、縦軸を $b$ 軸とする座標平面上において、楕円 $\frac{a^2}{4} + \frac{(b - 2)^2}{16} = 1$ から2点 $(2, 2)$ および $(-2, 2)$ を除いた図形となる。
(3)
方程式 $f(x) = 0$ の実数解の個数は、関数 $y = f(x)$ のグラフと $x$ 軸との共有点の個数に等しい。
(i) $a \leqq -2$ または $a \geqq 2$ のとき
$4 - a^2 \leqq 0$ より $\sqrt[3]{4-a^2} \leqq 0$ である。 したがって、任意の $x$ に対して $f'(x) = 3x^2 - 3\sqrt[3]{4-a^2} \geqq 0$ となり(等号成立は $x=0$ かつ $a=\pm 2$ のときのみ)、$f(x)$ は単調に増加する。 また、$\lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty$、$\lim_{x \to \infty} f(x) = \infty$ であるから、$y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸とただ1点で交わる。 よって、実数解の個数は 1個である。
(ii) $-2 < a < 2$ のとき
(1)より、$f(x)$ は極大値 $M(a)$ と極小値 $m(a)$ をもつ。 実数解の個数は、極値の積 $M(a)m(a)$ の符号によって分類できる。
$$M(a)m(a) = (2\sqrt{4-a^2} + 2)(-2\sqrt{4-a^2} + 2)$$
$$M(a)m(a) = 4 - 4(4 - a^2) = 4a^2 - 12 = 4(a^2 - 3)$$
(ア) $M(a)m(a) < 0$ のとき
$4(a^2 - 3) < 0$ より $-\sqrt{3} < a < \sqrt{3}$ である。(これは $-2 < a < 2$ を満たす。) 極大値が正、極小値が負となるため、$y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸と3点で交わる。 よって、実数解の個数は 3個である。
(イ) $M(a)m(a) = 0$ のとき
$4(a^2 - 3) = 0$ より $a = \pm \sqrt{3}$ である。(これも $-2 < a < 2$ を満たす。) 極値のいずれかが $0$ となるため、$y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸と接し、共有点は2個となる。 よって、実数解の個数は 2個である。
(ウ) $M(a)m(a) > 0$ のとき
$4(a^2 - 3) > 0$ より $a < -\sqrt{3}$ または $a > \sqrt{3}$ である。 前提条件 $-2 < a < 2$ と合わせると、$-2 < a < -\sqrt{3}$ または $\sqrt{3} < a < 2$ である。 極大値と極小値が同符号となるため、$y = f(x)$ のグラフは $x$ 軸と1点で交わる。 よって、実数解の個数は 1個である。
(i) と (ii) の結果をまとめると、以下のようになる。
- $a < -\sqrt{3}$ または $a > \sqrt{3}$ のとき 1個
- $a = \pm \sqrt{3}$ のとき 2個
- $-\sqrt{3} < a < \sqrt{3}$ のとき 3個
解説
3次関数の極値と方程式の実数解の個数を問う標準的な問題である。 (1)では、「極大値と極小値をもつとき」という問題文の暗黙の前提を数式($f'(x)=0$ が異なる2つの実数解をもつ条件)に翻訳し、$a$ の定義域を明示してから計算を進めることが重要である。 (2)の軌跡では、平方して楕円の方程式を導いた後に、元の式の符号($\sqrt{4-a^2} > 0$ であることによる $b-2$ の正負)から値域を制限し、図形の一部であることを特定する必要がある。 (3)は「3次方程式の実数解の個数」の基本方針通り、極値をもつ場合は極大値と極小値の積の符号で場合分けを行う。極値をもたない場合についても単調増加であることを示し、議論の漏れがないようにする。
答え
(1) 極大値 $M(a) = 2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$ 極小値 $m(a) = -2\sqrt{4-a^2} + 2 \quad (-2 < a < 2)$
(2) 横軸を $a$ 軸、縦軸を $b$ 軸とする座標平面上において、楕円 $\frac{a^2}{4} + \frac{(b - 2)^2}{16} = 1$ から2点 $(2, 2)$ および $(-2, 2)$ を除いた曲線。
(3) $a < -\sqrt{3}$ または $a > \sqrt{3}$ のとき、1個 $a = \pm \sqrt{3}$ のとき、2個 $-\sqrt{3} < a < \sqrt{3}$ のとき、3個
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