九州大学 1967年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) は、反復試行の確率の公式を用いて、3問中2問正解する確率と3問中3問正解する確率の和を求める。 (2) は、(1) で求めた関数 $f(p)$ の式に代入して計算を行う。グラフの概形は、導関数を用いて関数の増減を調べるとともに、$f(p) + f(1-p) = 1$ という関係式が意味する図形的な対称性に注目する。 (3) は、$f(p) \geqq 0.9$ となる $p$ を求めるにあたり、(2) の結果を誘導として利用する。$f(p) + f(1-p) = 1$ と $f(0.2)$ の値から $f(0.8)$ の値がすぐに分かるため、これを足がかりにして $p$ の値を絞り込んでいく。
解法1
(1)
3問中2問以上正解すれば合格となるので、2問正解する確率と3問正解する確率の和を求めればよい。 各問題を正解する確率は $p$ であるから、反復試行の確率より、 2問正解する確率は
$${}_3\mathrm{C}_2 p^2 (1-p) = 3p^2(1-p)$$
3問正解する確率は
$${}_3\mathrm{C}_3 p^3 = p^3$$
これらは互いに排反であるから、求める合格の確率 $f(p)$ は
$$f(p) = 3p^2(1-p) + p^3 = -2p^3 + 3p^2$$
(2)
(1) の結果より、$f(p) = -2p^3 + 3p^2$ である。
$$\begin{aligned} f(1-p) &= -2(1-p)^3 + 3(1-p)^2 \\ &= -2(1 - 3p + 3p^2 - p^3) + 3(1 - 2p + p^2) \\ &= -2 + 6p - 6p^2 + 2p^3 + 3 - 6p + 3p^2 \\ &= 2p^3 - 3p^2 + 1 \end{aligned}$$
したがって、
$$f(p) + f(1-p) = (-2p^3 + 3p^2) + (2p^3 - 3p^2 + 1) = 1$$
また、$f(0.2)$ の値は、
$$\begin{aligned} f(0.2) &= -2 \cdot (0.2)^3 + 3 \cdot (0.2)^2 \\ &= -2 \cdot 0.008 + 3 \cdot 0.04 \\ &= -0.016 + 0.120 \\ &= 0.104 \end{aligned}$$
次に、$f(p)$ のグラフの概形について考える。 確率は $0 \leqq p \leqq 1$ の範囲をとるため、この区間で増減を調べる。
$$f'(p) = -6p^2 + 6p = -6p(p-1)$$
$0 \leqq p \leqq 1$ において常に $f'(p) \geqq 0$ となり、$f(p)$ は単調に増加する。 両端の値は $f(0) = 0, \ f(1) = 1$ である。 また、$f''(p) = -12p + 6 = -6(2p - 1)$ より、$0 < p < 0.5$ で下に凸、$0.5 < p < 1$ で上に凸である。 さらに、$f(p) + f(1-p) = 1$ より
$$\frac{f(p) + f(1-p)}{2} = \frac{1}{2}$$
が成り立つため、このグラフは点 $(0.5, 0.5)$ に関して点対称である。 以上のことから、グラフは以下のような特徴を持つ。
- 原点 $(0, 0)$ から点 $(1, 1)$ に向かって単調に増加する曲線。
- $p=0$ および $p=1$ における接線の傾きは $0$ である。
- 点 $(0.5, 0.5)$ を変曲点とし、この点に関して点対称な S字型の曲線となる。
(3)
$f(p)$ は区間 $0 \leqq p \leqq 1$ で単調増加であり、連続な関数である。 したがって、$f(p) \geqq 0.9$ となる $p$ の最小値 $p_0$ は、$f(p_0) = 0.9$ を満たす。 (2) の結果 $f(p) + f(1-p) = 1$ より、$p=0.8$ とすると
$$f(0.8) + f(0.2) = 1$$
$f(0.2) = 0.104$ であるから、
$$f(0.8) = 1 - 0.104 = 0.896$$
$f(0.8) = 0.896 < 0.9$ であるため、$p_0 > 0.8$ であることがわかる。 ここで、$p_0$ を小数第2位まで求める(小数第3位を四捨五入する)ために、$p=0.805$ のときの $f(p)$ の値を調べる。
$$\begin{aligned} f(0.805) &= (0.805)^2 (3 - 2 \cdot 0.805) \\ &= 0.648025 \times 1.39 \\ &= 0.90075475 \end{aligned}$$
$f(0.805) > 0.9$ となるため、$f(p)$ の単調増加性から
$$0.8 < p_0 < 0.805$$
であることが示された。 したがって、$p_0$ の値を小数第3位で四捨五入して小数第2位まで求めると、$0.80$ となる。
解説
関数の対称性と、それを利用した値の評価がテーマとなる問題である。 (2) で $f(p) + f(1-p) = 1$ を示させていること、そして $f(0.2)$ を計算させていることが、(3) への強力な誘導となっている。これに気づけば、$f(0.8) = 0.896$ を直ちに導くことができ、$0.9$ という目標値に近い値の検討を $p=0.8$ 付近から始めればよいことが分かる。 「小数第2位まで求めよ」という要求に対しては、真の値が $0.80$ と $0.805$ の間にあることを示し、四捨五入によって小数第2位が確定することを論証するアプローチが確実である。
答え
(1)
$$f(p) = -2p^3 + 3p^2$$
(2)
$$f(p) + f(1-p) = 1, \quad f(0.2) = 0.104$$
グラフの概形は、$(0,0)$ から $(1,1)$ へ単調増加し、$(0.5, 0.5)$ に関して点対称な S字型の曲線($p=0, 1$ で傾き $0$)。
(3)
$$0.80$$
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