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九州大学 1968年 理系 第2問 解説

数学2/指数対数数学1/方程式不等式テーマ/場合分け
九州大学 1968年 理系 第2問 解説

方針・初手

常用対数の「指標(characteristic)」に関する問題である。正数 $a$ の常用対数 $\log_{10} a$ の指標が $u$ であるとは、$u$ が整数であり、かつ以下の不等式を満たすことを意味する。

$$u \leqq \log_{10} a < u + 1$$

与えられた等式 $a^{25} = 10^{26u + \frac{36}{u} + 12}$ の両辺を底を $10$ とする対数にとり、$\log_{10} a$ を $u$ の式で表す。これを上記の不等式に代入して、整数 $u$ の満たすべき条件を求めればよい。

解法1

$a > 0$ の常用対数の指標が $u$ ($u$ は整数)であるから、次の不等式が成り立つ。

$$u \leqq \log_{10} a < u + 1 \quad \cdots \text{①}$$

また、与えられた関係式 $a^{25} = 10^{26u + \frac{36}{u} + 12}$ の両辺の常用対数をとると、

$$\log_{10} a^{25} = \log_{10} 10^{26u + \frac{36}{u} + 12}$$

$$25 \log_{10} a = 26u + \frac{36}{u} + 12$$

$$\log_{10} a = \frac{26u}{25} + \frac{36}{25u} + \frac{12}{25} \quad \cdots \text{②}$$

②を①に代入すると、

$$u \leqq \frac{26u}{25} + \frac{36}{25u} + \frac{12}{25} < u + 1$$

各辺に $25$ を掛けて整理する。

$$25u \leqq 26u + \frac{36}{u} + 12 < 25u + 25$$

$$0 \leqq u + \frac{36}{u} + 12 < 25 \quad \cdots \text{③}$$

分母に $u$ があることから $u \neq 0$ である。$u$ の符号によって場合分けをして、不等式③を解く。

(i) $u > 0$ のとき

各辺に $u$ を掛けても不等号の向きは変わらない。

$$0 \leqq u^2 + 12u + 36 < 25u$$

左側の不等式 $u^2 + 12u + 36 \geqq 0$ について、

$$(u+6)^2 \geqq 0$$

これは実数 $u$ に対して常に成り立つため、$u > 0$ を満たすすべての整数で成立する。

右側の不等式 $u^2 + 12u + 36 < 25u$ について、

$$u^2 - 13u + 36 < 0$$

$$(u-4)(u-9) < 0$$

これを解くと $4 < u < 9$ となる。$u$ は整数であるから、この範囲にある整数は以下の通り。

$$u = 5, 6, 7, 8$$

(ii) $u < 0$ のとき

不等式③の各辺に $u$ を掛けると、不等号の向きが逆転する。

$$0 \geqq u^2 + 12u + 36 > 25u$$

左側の不等式 $u^2 + 12u + 36 \leqq 0$ について、

$$(u+6)^2 \leqq 0$$

実数の2乗は $0$ 以上であるから、これを満たす実数 $u$ は $u = -6$ のみである。これは $u < 0$ を満たす。

このとき、右側の不等式に $u = -6$ を代入して確認すると、

$$(-6)^2 + 12(-6) + 36 = 0$$

$$25(-6) = -150$$

となり、$0 > -150$ は成立している。したがって、$u = -6$ は条件を満たす。

(i), (ii) より、条件を満たす整数 $u$ は $u = -6, 5, 6, 7, 8$ である。これらの $u$ の値を②式に代入して $\log_{10} a$ の値を求める。

$u = -6$ のとき

$$\log_{10} a = \frac{26(-6)}{25} + \frac{36}{25(-6)} + \frac{12}{25} = \frac{-156}{25} - \frac{6}{25} + \frac{12}{25} = \frac{-150}{25} = -6$$

$u = 5$ のとき

$$\log_{10} a = \frac{26 \cdot 5}{25} + \frac{36}{25 \cdot 5} + \frac{12}{25} = \frac{130}{25} + \frac{36}{125} + \frac{12}{25} = \frac{650 + 36 + 60}{125} = \frac{746}{125}$$

$u = 6$ のとき

$$\log_{10} a = \frac{26 \cdot 6}{25} + \frac{36}{25 \cdot 6} + \frac{12}{25} = \frac{156}{25} + \frac{6}{25} + \frac{12}{25} = \frac{174}{25}$$

$u = 7$ のとき

$$\log_{10} a = \frac{26 \cdot 7}{25} + \frac{36}{25 \cdot 7} + \frac{12}{25} = \frac{182}{25} + \frac{36}{175} + \frac{12}{25} = \frac{1274 + 36 + 84}{175} = \frac{1394}{175}$$

$u = 8$ のとき

$$\log_{10} a = \frac{26 \cdot 8}{25} + \frac{36}{25 \cdot 8} + \frac{12}{25} = \frac{208}{25} + \frac{9}{50} + \frac{12}{25} = \frac{416 + 9 + 24}{50} = \frac{449}{50}$$

解説

「常用対数の指標」という用語は、正の実数 $x$ に対する $\log_{10} x$ の整数部分を指す、かつての教育課程で用いられていた言葉である。(小数部分は「仮数」と呼ばれる)。すなわち、$\log_{10} x = n + \alpha$($n$ は整数、$0 \leqq \alpha < 1$)と表したときの $n$ が指標であり、不等式 $n \leqq \log_{10} x < n + 1$ が成立する。

本問は、この定義を忠実に不等式に翻訳し、文字 $u$ を含む分数不等式を解くというオーソドックスな整数・不等式の問題である。分母を払う際に、$u$ の正負による場合分けを忘れると $u = -6$ の解を落としてしまうため、注意が必要である。

答え

$$\log_{10} a = -6, \ \frac{746}{125}, \ \frac{174}{25}, \ \frac{1394}{175}, \ \frac{449}{50}$$

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