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九州大学 1986年 理系 第3問 解説

数学B/数列数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/漸化式
九州大学 1986年 理系 第3問 解説

方針・初手

数列 $\{a_n\}$ の漸化式は絶対値を含むため、値が正か負かで振る舞いが変わる。与えられた条件 $9 < a < 10$ に基づいて、最初の数項を具体的に計算し、絶対値がどのように外れるかを追跡する。 ある項から値が負に転じ、そこから先は一定の周期を持つ数列になることが予想されるため、まずは一般項 $a_n$ の規則性を正確に把握してから和 $S_n$ を計算する。

解法1

(1)

条件 $9 < a < 10$ に注意して、数列 $\{a_n\}$ の各項を順に調べる。

$a_1 = a > 0$ であるから、$a_2 = a - 1 > 0$ となる。同様に、$a_3 = a - 2 > 0$ と続く。 一般に、$1 \le n \le 10$ のとき $a_n = a - n + 1 > 0$ と推測できる。これを数学的帰納法で示す。 $n=1$ のときは $a_1 = a$ より成り立つ。 $n=k$ ($1 \le k \le 9$) のとき、$a_k = a - k + 1$ が成り立つと仮定する。 $9 < a < 10$ および $k \le 9$ より、

$$a_k = a - k + 1 > 9 - 9 + 1 = 1 > 0$$

したがって、$a_{k+1} = |a_k| - 1 = a_k - 1 = a - k$ となり、$n=k+1$ のときも成立する。 よって、$1 \le n \le 10$ のとき $a_n = a - n + 1$ が成り立つ。

特に $a_{10} = a - 9 \in (0, 1)$ である。これ以降の項を順に計算すると、

$$a_{11} = |a-9| - 1 = a - 10 \in (-1, 0)$$

$$a_{12} = |a-10| - 1 = -(a-10) - 1 = 9 - a \in (-1, 0)$$

$$a_{13} = |9-a| - 1 = -(9-a) - 1 = a - 10$$

$$a_{14} = |a-10| - 1 = 9 - a$$

となり、$n \ge 11$ 以降は $a - 10$ と $9 - a$ が交互に現れる。 すなわち、$m \ge 6$ なる自然数 $m$ を用いて、$a_{2m-1} = a - 10$、$a_{2m} = 9 - a$ と表される。

次に和 $S_n$ を求める。

(i) $1 \le n \le 10$ のとき 数列 $\{a_n\}$ は初項 $a$、公差 $-1$ の等差数列であるから、

$$S_n = \frac{n}{2} \{2a + (n - 1)(-1)\} = na - \frac{n(n - 1)}{2}$$

(ii) $n \ge 11$ のとき $S_{10} = 10a - 45$ である。また、$m \ge 6$ のとき $a_{2m-1} + a_{2m} = (a - 10) + (9 - a) = -1$ である。 $n$ が偶数、すなわち $n = 2m$ ($m \ge 6$) のとき、

$$S_{n} = S_{10} + \sum_{k=6}^m (a_{2k-1} + a_{2k}) = 10a - 45 + (-1)(m - 5) = 10a - 40 - m$$

$m = \frac{n}{2}$ を代入して、

$$S_n = 10a - \frac{n}{2} - 40$$

$n$ が奇数、すなわち $n = 2m - 1$ ($m \ge 6$) のとき、

$$S_{n} = S_{2m} - a_{2m} = \left( 10a - m - 40 \right) - (9 - a) = 11a - m - 49$$

$m = \frac{n + 1}{2}$ を代入して、

$$S_n = 11a - \frac{n + 1}{2} - 49 = 11a - \frac{n + 99}{2}$$

(2)

$S_n = 0$ となる $n$ が存在する $a$ の条件を、$n$ の範囲と偶奇によって場合分けして調べる。

(i) $1 \le n \le 10$ のとき $S_n = na - \frac{n(n-1)}{2} = 0$ より、

$$n \left( a - \frac{n-1}{2} \right) = 0$$

$n \ge 1$ であるから $a = \frac{n-1}{2}$ となる。 $1 \le n \le 10$ より $0 \le a \le \frac{9}{2}$ となるが、これは条件 $9 < a < 10$ を満たさない。

(ii) $n \ge 11$ かつ $n$ が偶数のとき $10a - \frac{n}{2} - 40 = 0$ より $a = \frac{n}{20} + 4$ となる。 これを $9 < a < 10$ に代入すると、

$$9 < \frac{n}{20} + 4 < 10$$

$$100 < n < 120$$

$n$ は偶数であるから、これを満たす最大の $n$ は $n = 118$ である。 このとき、$a$ の値は、

$$a = \frac{118}{20} + 4 = \frac{59}{10} + 4 = \frac{99}{10}$$

(iii) $n \ge 11$ かつ $n$ が奇数のとき $11a - \frac{n+99}{2} = 0$ より $a = \frac{n+99}{22}$ となる。 これを $9 < a < 10$ に代入すると、

$$9 < \frac{n+99}{22} < 10$$

$$198 < n + 99 < 220$$

$$99 < n < 121$$

$n$ は奇数であるから、これを満たす最大の $n$ は $n = 119$ である。 このとき、$a$ の値は、

$$a = \frac{119+99}{22} = \frac{218}{22} = \frac{109}{11}$$

最後に、(ii)(iii) で求めた $a$ の値を比較する。 通分すると $\frac{99}{10} = \frac{1089}{110}$、$\frac{109}{11} = \frac{1090}{110}$ となるため、$\frac{99}{10} < \frac{109}{11}$ である。 したがって、$S_n = 0$ が成り立つ $n$ が存在するような $a$ の最大値は $\frac{109}{11}$ である。

解説

絶対値を含む漸化式で定まる数列の問題である。パラメータ $a$ の値の範囲が限定されているため、具体的に書き下して絶対値を外していくことで数列の規則性を見抜くことができる。 最初はある一定の期間まで等差数列として減少し、値が負に転じた時点から周期数列に移行するというのがこのタイプの典型的な構造である。和 $S_n$ を求める際は、周期に入った後の項の和をペアにして考えると計算が容易になる。(2)では $n$ の偶奇で場合分けを行い、それぞれの条件下で不等式を解き $a$ の最大値を求めて比較する。最後の分数同士の大小比較でケアレスミスをしないよう注意したい。

答え

(1)

$$S_n = \begin{cases} na - \frac{n(n-1)}{2} & (1 \le n \le 10) \\ 10a - \frac{n}{2} - 40 & (n \ge 11 \text{ かつ } n \text{ は偶数}) \\ 11a - \frac{n+99}{2} & (n \ge 11 \text{ かつ } n \text{ は奇数}) \end{cases}$$

(2) $\frac{109}{11}$

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