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九州大学 1986年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学2/三角関数テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
九州大学 1986年 理系 第2問 解説

方針・初手

点 $P, Q, R$ が正四面体の辺上を往復する運動を数式で表すことから始めます。頂点 $A$ から各点までの距離を時間 $t$ の関数として定式化します。

(1) では、速さの異なる3点の距離が等しくなる条件を求めます。往復運動を絶対値や周期関数として表し、グラフの交点から方程式を解くか、三角関数を用いて簡潔に表現する工夫が有効です。

(2) では、線分の長さの2乗の和を求めます。空間ベクトルの内積を利用し、余弦定理と同じ要領で対象の式を展開します。指定された $t$ の範囲において各点の位置を具体的に $t$ の式で表し、二次関数の最大・最小問題に帰着させます。

解法1

$t$ 秒後における頂点 $A$ から点 $P, Q, R$ までの距離を、それぞれ $p(t), q(t), r(t)$ とおく。各点は長さ $1$ の辺上を往復運動するため、これらの関数は以下の性質を持つ。

$p(t)$ は速さ $1$ で周期 $2$ の関数であり、$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲で次のように表せる。

$$p(t) = \begin{cases} t & (0 \leqq t \leqq 1) \\ 2 - t & (1 \leqq t \leqq 2) \end{cases}$$

$q(t)$ は速さ $2$ で周期 $1$ の関数であり、$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲で次のように表せる。

$$q(t) = \begin{cases} 2t & (0 \leqq t \leqq 0.5) \\ 2 - 2t & (0.5 \leqq t \leqq 1) \\ 2t - 2 & (1 \leqq t \leqq 1.5) \\ 4 - 2t & (1.5 \leqq t \leqq 2) \end{cases}$$

$r(t)$ は速さ $4$ で周期 $0.5$ の関数である。

$\overline{AP} = \overline{AQ} = \overline{AR}$ となるのは $p(t) = q(t) = r(t)$ のときである。まず、$0 \leqq t \leqq 2$ の範囲で $p(t) = q(t)$ となる $t$ を探す。

(i) $0 \leqq t \leqq 1$ のとき

$p(t) = t$ と $q(t)$ のグラフの交点を求める。 $0 \leqq t \leqq 0.5$ では $t = 2t$ より $t = 0$。 $0.5 \leqq t \leqq 1$ では $t = 2 - 2t$ より $t = \frac{2}{3}$。

(ii) $1 \leqq t \leqq 2$ のとき

$p(t) = 2 - t$ と $q(t)$ のグラフの交点を求める。 $1 \leqq t \leqq 1.5$ では $2 - t = 2t - 2$ より $t = \frac{4}{3}$。 $1.5 \leqq t \leqq 2$ では $2 - t = 4 - 2t$ より $t = 2$。

得られた $t = 0, \frac{2}{3}, \frac{4}{3}$ について、$r(t)$ の値が一致するか確認する。($t = 2$ は周期の端点であり $t = 0$ と同じ状態である)

$t = 0$ のとき、出発点なので $p(0) = q(0) = r(0) = 0$ であり適する。

$t = \frac{2}{3}$ のとき、$p(2/3) = q(2/3) = \frac{2}{3}$ である。$r(t)$ は周期 $0.5$ であるから、

$$r\left(\frac{2}{3}\right) = r\left(\frac{2}{3} - 0.5\right) = r\left(\frac{1}{6}\right)$$

$0 \leqq \frac{1}{6} \leqq 0.25$ より、この区間では $r(t) = 4t$ であるため $r(1/6) = 4 \times \frac{1}{6} = \frac{2}{3}$ となり適する。

$t = \frac{4}{3}$ のとき、$p(4/3) = q(4/3) = \frac{2}{3}$ である。周期性より、

$$r\left(\frac{4}{3}\right) = r\left(\frac{4}{3} - 1\right) = r\left(\frac{1}{3}\right)$$

$0.25 \leqq \frac{1}{3} \leqq 0.5$ より、この区間では $r(t) = 2 - 4t$ であるため $r(1/3) = 2 - 4 \times \frac{1}{3} = \frac{2}{3}$ となり適する。

以上より、$0 \leqq t < 2$ における解は $t = 0, \frac{2}{3}, \frac{4}{3}$ である。これらは周期 $2$ ごとに繰り返されるため、求める $t$ ($t \geqq 0$) は $0$ 以上の整数 $n$ を用いて $2n, 2n + \frac{2}{3}, 2n + \frac{4}{3}$ と表せる。

これを一つの式にまとめると $t = \frac{2k}{3}$ ($k$ は $0$ 以上の整数) となる。

次に (2) について考える。

正四面体の頂点 $A$ を始点とするベクトルを $\vec{b} = \vec{AB}, \vec{c} = \vec{AC}, \vec{d} = \vec{AD}$ とおく。これらは長さ $1$ であり、互いのなす角は $60^\circ$ であるから、内積はすべて $\frac{1}{2}$ である。

点 $P, Q, R$ の位置ベクトルは、

$$\vec{AP} = p(t)\vec{b}, \quad \vec{AQ} = q(t)\vec{c}, \quad \vec{AR} = r(t)\vec{d}$$

と表せる。$\overline{PQ}^2$ を計算すると、

$$\begin{aligned} \overline{PQ}^2 &= |\vec{AQ} - \vec{AP}|^2 \\ &= |q(t)\vec{c} - p(t)\vec{b}|^2 \\ &= q(t)^2 - 2p(t)q(t)(\vec{b} \cdot \vec{c}) + p(t)^2 \\ &= p(t)^2 + q(t)^2 - p(t)q(t) \end{aligned}$$

同様に $\overline{QR}^2 = q(t)^2 + r(t)^2 - q(t)r(t)$、$\overline{RP}^2 = r(t)^2 + p(t)^2 - r(t)p(t)$ が得られる。

これらを足し合わせたものを $L$ とおくと、

$$L = 2\{p(t)^2 + q(t)^2 + r(t)^2\} - \{p(t)q(t) + q(t)r(t) + r(t)p(t)\}$$

ここで、$\frac{1}{4} \leqq t \leqq \frac{1}{2}$ における $p(t), q(t), r(t)$ を $t$ の式で表す。 点 $P$ は片道 $1$ 秒であるため、この区間は最初の往路であり、$p(t) = t$ である。 点 $Q$ は片道 $0.5$ 秒であるため、この区間は最初の往路であり、$q(t) = 2t$ である。 点 $R$ は片道 $0.25$ 秒であるため、この区間は最初の復路であり、$r(t) = 2 - 4t$ である。

これらを $L$ に代入して計算する。

$$p(t)^2 + q(t)^2 + r(t)^2 = t^2 + 4t^2 + (2-4t)^2 = 21t^2 - 16t + 4$$

$$p(t)q(t) + q(t)r(t) + r(t)p(t) = 2t^2 + 2t(2-4t) + t(2-4t) = -10t^2 + 6t$$

したがって $L$ は $t$ の二次関数となる。

$$\begin{aligned} L &= 2(21t^2 - 16t + 4) - (-10t^2 + 6t) \\ &= 52t^2 - 38t + 8 \\ &= 52\left(t^2 - \frac{19}{26}t\right) + 8 \\ &= 52\left(t - \frac{19}{52}\right)^2 - 52\left(\frac{19}{52}\right)^2 + 8 \\ &= 52\left(t - \frac{19}{52}\right)^2 + \frac{55}{52} \end{aligned}$$

定義域は $\frac{1}{4} \leqq t \leqq \frac{1}{2}$、すなわち $\frac{13}{52} \leqq t \leqq \frac{26}{52}$ である。 放物線の頂点 $t = \frac{19}{52}$ はこの区間に含まれる。

また、区間の両端から軸までの距離を比較すると、 $t = \frac{13}{52}$ との距離は $\frac{6}{52}$ $t = \frac{26}{52}$ との距離は $\frac{7}{52}$ であるから、$t = \frac{1}{2}$ のときに最大値をとる。

最大値は、

$$L\left(\frac{1}{2}\right) = 52\left(\frac{1}{4}\right) - 38\left(\frac{1}{2}\right) + 8 = 13 - 19 + 8 = 2$$

最小値は頂点における値 $\frac{55}{52}$ である。

解法2

(1) の別解を示す。

$A$ から $P, Q, R$ までの距離を $p(t), q(t), r(t)$ とおく。 点 $P$ は長さ $1$ の線分を速さ $1$ で往復するため、$p(t)$ の値域は $0 \leqq p(t) \leqq 1$ であり、すべての $t \geqq 0$ において

$$\cos(\pi p(t)) = \cos(\pi t)$$

が成り立つ(往路 $p(t)=t$、復路 $p(t)=2-t$ のいずれでも等式を満たす)。 同様に、点 $Q, R$ はそれぞれ速さ $2, 4$ で往復するため、

$$\cos(\pi q(t)) = \cos(2\pi t), \quad \cos(\pi r(t)) = \cos(4\pi t)$$

が成り立つ。 $0 \leqq x \leqq 1$ の範囲で $\cos(\pi x)$ は単調に減少するため、$p(t) = q(t) = r(t)$ であることは以下の等式が成り立つことと同値である。

$$\cos(\pi t) = \cos(2\pi t) = \cos(4\pi t)$$

前半の $\cos(\pi t) = \cos(2\pi t)$ を解くと、$k$ を整数として、

$$2\pi t = \pm \pi t + 2k\pi$$

$t \geqq 0$ であることを考慮すると、$t = 2k$ または $t = \frac{2k}{3}$ ($k$ は $0$ 以上の整数) となる。これらはまとめて $t = \frac{2k}{3}$ ($k = 0, 1, 2, \dots$) と表せる。

このとき、後半の式について確認すると、

$$\cos(4\pi t) = \cos\left( \frac{8k\pi}{3} \right) = \cos\left( 2k\pi + \frac{2k\pi}{3} \right) = \cos\left( \frac{2k\pi}{3} \right) = \cos(\pi t)$$

となり、$\cos(\pi t) = \cos(4\pi t)$ も満たすことがわかる。 したがって、求める条件は $t = \frac{2k}{3}$ ($k$ は $0$ 以上の整数) である。

解説

(1) は周期の異なる往復運動をどう扱うかが鍵となります。場合分けをしてグラフを考える解法1が標準的ですが、折れ線の往復運動をコサイン関数を用いた同値変形に持ち込む解法2は、場合分けを完全に回避できる非常にエレガントな手法です。

(2) は空間図形の距離の基本であるベクトルを利用します。指定された $t$ の範囲において各点が往路と復路のどちらにいるかを正確に把握し、$t$ の一次式として代入して二次関数の最大・最小に帰着させる典型的な処理です。

答え

(1) $t = \frac{2k}{3}$ ($k$ は $0$ 以上の整数)

(2) 最大値 $2$、最小値 $\frac{55}{52}$

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