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九州大学 2002年 理系 第2問 解説

数学A/整数問題数学2/式と証明テーマ/整数の証明
九州大学 2002年 理系 第2問 解説

方針・初手

約数関数の性質に関する証明問題である。

(1) は約数の総和を求める基本的な考え方である。素因数分解の形から、奇数部分と $2$ の累乗部分の約数の和が独立して計算できることを示す。

(2) は「約数の和は、少なくとも特定の $2$ つの約数の和以上になる」という単純な事実を利用して下限を評価する。等号成立条件は「他に約数が存在しないこと」から導くことができる。

(3) は (1) と (2) の結果を組み合わせる誘導問題である。与えられた等式と (1) の結果から、それぞれの奇数部分 $r, s$ がどのような形になるかを絞り込み、そこに (2) の不等式を適用して矛盾なく等号が成立する条件を探すという流れになる。

解法1

(1)

$a = 2^m b$($b$ は正の奇数、$m$ は正の整数)とする。

$b$ の正の約数を $d_1, d_2, \dots, d_k$ とすると、$f(b)$ の定義より以下が成り立つ。

$$ f(b) = d_1 + d_2 + \dots + d_k $$

$a$ は $2^m$ と奇数 $b$ の積であり、$2^m$ と $b$ は互いに素である。したがって、$a$ の正の約数は $2^i d_j$($i = 0, 1, \dots, m$、$j = 1, 2, \dots, k$)とすべて一意に表される。 よって、$a$ の正の約数の総和 $f(a)$ は以下のように計算できる。

$$ \begin{aligned} f(a) &= \sum_{i=0}^m \sum_{j=1}^k 2^i d_j \\ &= \left( \sum_{i=0}^m 2^i \right) \left( \sum_{j=1}^k d_j \right) \\ &= (1 + 2 + 2^2 + \dots + 2^m) f(b) \\ &= \frac{2^{m+1}-1}{2-1} f(b) \\ &= (2^{m+1}-1)f(b) \end{aligned} $$

以上より、$f(a) = (2^{m+1}-1)f(b)$ が成り立つことが示された。

(2)

$a = pq$ ($p \geqq 2, q \geqq 1$)とする。

$a$ の約数として、$q$ と $pq$ を考える。 $p \geqq 2$ より $q < pq$ であるため、$q$ と $pq$ は互いに異なる $a$ の約数である。 $f(a)$ は $a$ のすべての正の約数の和であるから、少なくとも $q$ と $pq$ の和以上となる。すなわち、

$$ f(a) \geqq q + pq = (p+1)q $$

が成り立つ。

次に等号成立条件について考える。 等号が成り立つのは、$a$ の正の約数が $q$ と $pq$ の $2$ つのみである場合に限る。 もし $q > 1$ とすると、$a$ の約数には $1$ も含まれる。 このとき $1 < q < pq$ となり、$a$ は少なくとも $1, q, pq$ の $3$ つの約数をもつことになり矛盾する。 よって、等号が成り立つためには $q = 1$ が必要である。

$q = 1$ のとき $a = p$ であり、等号成立条件は「$p$ の正の約数が $1$ と $p$ の $2$ つのみであること」、すなわち「$p$ が素数であること」と同値である。 したがって、等号が成り立つのは $q = 1$ かつ $p$ が素数であるときに限る。

(3)

$a, b$ は正の偶数であるから、$a = 2^m r, b = 2^n s$ と表したとき、$m, n \geqq 1$ である。 条件より $f(a) = 2b, f(b) = 2a$ である。 (1) の結果を用いると、

$$ (2^{m+1}-1)f(r) = 2 \cdot 2^n s = 2^{n+1}s \quad \dots \text{①} $$

$$ (2^{n+1}-1)f(s) = 2 \cdot 2^m r = 2^{m+1}r \quad \dots \text{②} $$

が成り立つ。

①より、$2^{n+1}s$ は $2^{m+1}-1$ の倍数である。 $2^{m+1}-1$ は奇数であり $2^{n+1}$ と互いに素であるから、$s$ は $2^{m+1}-1$ の倍数でなければならない。 よって、ある正の整数 $k$ を用いて $s = (2^{m+1}-1)k$ と表せる。 これを①に代入すると、

$$ (2^{m+1}-1)f(r) = 2^{n+1}(2^{m+1}-1)k $$

となり、$f(r) = 2^{n+1}k$ を得る。

同様に、②より $r$ は $2^{n+1}-1$ の倍数であるから、ある正の整数 $l$ を用いて $r = (2^{n+1}-1)l$ と表せる。 これを②に代入すると、

$$ (2^{n+1}-1)f(s) = 2^{m+1}(2^{n+1}-1)l $$

となり、$f(s) = 2^{m+1}l$ を得る。

ここで、$r = (2^{n+1}-1)l$ に対して (2) を適用する。 $n \geqq 1$ より $2^{n+1}-1 \geqq 3 \geqq 2$ であるから、(2) の不等式において $p = 2^{n+1}-1, q = l$ とみなすことができる。

$$ f(r) \geqq (2^{n+1}-1+1)l = 2^{n+1}l $$

これに $f(r) = 2^{n+1}k$ を代入すると、

$$ 2^{n+1}k \geqq 2^{n+1}l \implies k \geqq l $$

同様に、$s = (2^{m+1}-1)k$ に対して (2) を適用する。 $m \geqq 1$ より $2^{m+1}-1 \geqq 3 \geqq 2$ であるから、(2) の不等式において $p = 2^{m+1}-1, q = k$ とみなすことができる。

$$ f(s) \geqq (2^{m+1}-1+1)k = 2^{m+1}k $$

これに $f(s) = 2^{m+1}l$ を代入すると、

$$ 2^{m+1}l \geqq 2^{m+1}k \implies l \geqq k $$

以上より、$k \geqq l$ かつ $l \geqq k$ であるから、$k = l$ が導かれる。

このとき、$f(r) = 2^{n+1}l$ となり、先ほどの不等式 $f(r) \geqq 2^{n+1}l$ において等号が成立している。 (2) より、等号が成立するのは $q = 1$ かつ $p$ が素数であるときに限るため、$q = l = 1$ であり、$p = 2^{n+1}-1$ は素数である。 ゆえに、$r = (2^{n+1}-1) \cdot 1 = 2^{n+1}-1$ であり、$r$ は素数である。 また、$k = l = 1$ であるから、$s = (2^{m+1}-1) \cdot 1 = 2^{m+1}-1$ であり、$s$ も素数である。

以上より、$r, s$ は素数であり、かつ $r=2^{n+1}-1, s=2^{m+1}-1$ となることが示された。

解説

本問は、自身を除く約数の和が互いに他方と等しくなるような数のペアである「友愛数(アミカブル数)」の一般化や、関連する整数論の性質を題材にしています。

(3)の証明において、(2)の不等式を $r$ と $s$ の両方に適用し、$k \geqq l$ と $l \geqq k$ という2つの不等式を導き出すことで $k = l$ を確定させる論法(挟み撃ちの原理のような考え方)が非常に鮮やかです。整数問題で不等式を用いて値を絞り込む手法は、難関大で頻出のテクニックです。

答え

(1) (2) (3) ともに証明問題のため、解答欄には各々の証明過程を記述する(解法1に示した通り)。

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