九州大学 2016年 理系 第3問 解説

方針・初手
各頂点から1回の操作で $P_0$ に移動する条件と確率を調べる。どの頂点からスタートしても $P_0$ に移る確率が等しくなることに気付けば、漸化式を立てて解くという通常の定石をショートカットして、すべての問いに直ちに解答することができる。
解法1
$n$ 回サイコロを投げた後に、コインが $P_k$ ($k=0, 1, 2, 3, 4, 5$) の位置にある確率を $p_n(k)$ とする。ただし、初期状態として $p_0(0) = 1$、$p_0(k) = 0 \ (k \neq 0)$ とする。
コインが $P_k$ にあるとき、1回のサイコロの操作で $P_0$ に移動する条件を $k$ ごとに調べる。
(k=0 のとき) $P_0$ は $x$ 軸上にあるため、6の目が出たときのみ動かず $P_0$ にとどまる。1から5の目が出た場合は他の頂点へ移動する。したがって、$P_0$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
(k=1 のとき) 5の目が出たときのみ、反時計回りに5つ進んで $P_0$ に移動する。6の目では $x$ 軸に関して対称な $P_5$ に移動する。したがって、$P_1$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
(k=2 のとき) 4の目が出たときのみ、反時計回りに4つ進んで $P_0$ に移動する。6の目では対称な $P_4$ に移動する。したがって、$P_2$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
(k=3 のとき) 3の目が出たときのみ、反時計回りに3つ進んで $P_0$ に移動する。6の目では $x$ 軸上にあるため動かず $P_3$ にとどまる。したがって、$P_3$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
(k=4 のとき) 2の目が出たときのみ、反時計回りに2つ進んで $P_0$ に移動する。6の目では対称な $P_2$ に移動する。したがって、$P_4$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
(k=5 のとき) 1の目が出たときのみ、反時計回りに1つ進んで $P_0$ に移動する。6の目では対称な $P_1$ に移動する。したがって、$P_5$ から $P_0$ へ移動する確率は $\frac{1}{6}$ である。
以上より、コインがどの頂点にあっても、1回の操作で $P_0$ に移動する確率は常に $\frac{1}{6}$ である。
したがって、$n$ を自然数とするとき、$n$ 回投げた後に $P_0$ にある確率 $p_n(0)$ は、事象の排反性より $n-1$ 回目の各状態からの遷移確率の和として表せる。
$$ p_n(0) = \sum_{k=0}^{5} \left\{ p_{n-1}(k) \times (\text{点 } P_k \text{ から } P_0 \text{ へ移動する確率}) \right\} $$
上で確認した通り、括弧内の確率はすべて $\frac{1}{6}$ であるため、
$$ p_n(0) = \sum_{k=0}^{5} p_{n-1}(k) \times \frac{1}{6} = \frac{1}{6} \sum_{k=0}^{5} p_{n-1}(k) $$
となる。ここで、コインはいずれかの頂点に必ず存在するため、全確率の和は常に $1$ である。すなわち、
$$ \sum_{k=0}^{5} p_{n-1}(k) = 1 $$
が成り立つ。これを用いると、
$$ p_n(0) = \frac{1}{6} \times 1 = \frac{1}{6} $$
となり、$n$ に依らず、サイコロを投げた後に $P_0$ にある確率は常に $\frac{1}{6}$ であることがわかる。
(1) 上記の議論において $n=2$ としたものであるから、求める確率は $\frac{1}{6}$ である。
(2) 上記の議論において $n=3$ としたものであるから、求める確率は $\frac{1}{6}$ である。
(3) 上記の議論で示した通り、すべての自然数 $n$ において確率は $\frac{1}{6}$ である。
解説
状態遷移(マルコフ連鎖)の確率問題である。通常、このような問題では状態ごとに確率の漸化式を立てて解くことが多い。しかし本問は、「どの状態からでも目的の状態($P_0$)に遷移する確率が等しい」という非常に特殊な構造を持っている。
この性質に気づくことができれば、漸化式を解くといった複雑な計算を一切行うことなく、直前の確率の総和が $1$ になることを利用して瞬時に結論を得ることができる。対称性や規則性を手早く丁寧に確認することの重要性を教えてくれる良問である。
答え
(1)
$$ \frac{1}{6} $$
(2)
$$ \frac{1}{6} $$
(3)
$$ \frac{1}{6} $$
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