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九州大学 2019年 理系 第3問 解説

数学C/複素数平面数学A/確率数学A/場合の数数学2/複素数と方程式テーマ/図形総合
九州大学 2019年 理系 第3問 解説

方針・初手

サイコロを3回投げるので、起こりうる全ての場合の数は $6^3 = 216$ 通りであり、これらは同様に確からしい。 与えられた2次方程式の係数はすべて実数(正の整数)であるから、解が実数になるか虚数になるかで複素数平面上での解の配置が大きく変わる。 まずは判別式 $D = b^2 - 4ac$ を考え、(1) は $D = 0$ の条件を処理し、(2) は実数解の場合と虚数解の場合に分けて単位円周上にある条件を調べ、(3) は虚数解をもつ条件のもとで直線の傾き(偏角)に注目して解き進める。

解法1

(1)

$P_1$ と $P_2$ が一致するための条件は、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ が重解をもつことである。 判別式を $D$ とすると、$D = 0$ が条件である。

$$ D = b^2 - 4ac = 0 \iff b^2 = 4ac $$

$a, c$ は整数であるから、$b^2$ は偶数であり、$b$ も偶数となる。 サイコロの目であることから $b \in \{2, 4, 6\}$ である。

(i) $b = 2$ のとき $4ac = 4 \iff ac = 1$ となり、これを満たすのは $(a, c) = (1, 1)$ の $1$ 通りである。

(ii) $b = 4$ のとき $4ac = 16 \iff ac = 4$ となり、これを満たすのは $(a, c) = (1, 4), (2, 2), (4, 1)$ の $3$ 通りである。

(iii) $b = 6$ のとき $4ac = 36 \iff ac = 9$ となり、これを満たすのは $(a, c) = (3, 3)$ の $1$ 通りである。

(i), (ii), (iii) より、条件を満たす組 $(a, b, c)$ は $1 + 3 + 1 = 5$ 通り存在する。 したがって、求める確率は

$$ \frac{5}{216} $$

である。

(2)

$P_1, P_2$ がともに単位円周上にあるということは、$|z_1| = |z_2| = 1$ が成り立つことである。 2次方程式が実数解をもつ場合と、虚数解をもつ場合に分けて考える。

(i) 実数解をもつ場合($b^2 - 4ac \geqq 0$) 解は実数であるから、$|z_1| = |z_2| = 1$ より $z_1, z_2 \in \{1, -1\}$ である。 解と係数の関係より、2つの解の和は $-\frac{b}{a} < 0$ となるため、2解がともに正となることはない。 よって、考えられる解の組み合わせは、「ともに $-1$」か「$1$ と $-1$」である。 2解がともに $-1$ のとき、$(x+1)^2 = x^2+2x+1=0$ と係数を比較し、$b = 2a$ かつ $c = a$ を得る。これを満たす $(a, b, c)$ は $(1, 2, 1), (2, 4, 2), (3, 6, 3)$ の $3$ 通りである。 2解が $1, -1$ のとき、$x^2 - 1 = 0$ となり $b = 0$ となるが、サイコロの目に $0$ はないため不適である。

(ii) 虚数解をもつ場合($b^2 - 4ac < 0$) 2つの解 $z_1, z_2$ は互いに共役な複素数となり、$z_2 = \bar{z_1}$ である。 解と係数の関係より $z_1 z_2 = \frac{c}{a}$ が成り立つ。 条件 $|z_1| = 1$ より、

$$ |z_1|^2 = z_1 \bar{z_1} = z_1 z_2 = \frac{c}{a} = 1 \iff a = c $$

となる。このとき、虚数解をもつ条件 $b^2 - 4ac < 0$ に $a = c$ を代入すると、

$$ b^2 - 4a^2 < 0 \iff b^2 < 4a^2 \iff b < 2a $$

を満たす必要がある。$a = c$ なので、$a$ と $b$ の条件だけ考えればよい。 $a = 1$ のとき、$b < 2$ より $b = 1$ ($1$ 通り) $a = 2$ のとき、$b < 4$ より $b = 1, 2, 3$ ($3$ 通り) $a = 3$ のとき、$b < 6$ より $b = 1, 2, 3, 4, 5$ ($5$ 通り) $a = 4$ のとき、$b < 8$ より $b = 1, 2, \dots, 6$ ($6$ 通り) $a = 5$ のとき、$b < 10$ より $b = 1, 2, \dots, 6$ ($6$ 通り) $a = 6$ のとき、$b < 12$ より $b = 1, 2, \dots, 6$ ($6$ 通り) 合計で $1 + 3 + 5 + 6 + 6 + 6 = 27$ 通りである。

(i)(ii) は排反であるから、条件を満たす組は全部で $3 + 27 = 30$ 通りとなる。 したがって、求める確率は

$$ \frac{30}{216} = \frac{5}{36} $$

である。

(3)

2次方程式が実数解をもつ場合、$P_1, P_2$ は実軸上にあり、$l_1, l_2$ はともに実軸と一致するため、なす角は $0^\circ$ となり条件を満たさない($z_1, z_2 \neq 0$ であるため、直線は必ず定まる)。 したがって、方程式は虚数解をもつ($b^2 - 4ac < 0$)。

このとき $z_1, z_2$ は互いに共役な複素数となり、解の公式より

$$ z_1, z_2 = \frac{-b \pm \sqrt{4ac - b^2}i}{2a} $$

と表せる。$P_1, P_2$ は実軸に関して対称であり、直線 $l_1, l_2$ が実軸となす角をそれぞれ $\theta, -\theta$ ($0^\circ < \theta < 180^\circ$)とする。 $l_1$ と $l_2$ のなす鋭角が $60^\circ$ となるのは、実軸となす角が $30^\circ$ または $60^\circ$ (およびその補角)のときである。 すなわち、$l_1, l_2$ の傾きの絶対値が $\tan 30^\circ = \frac{1}{\sqrt{3}}$ または $\tan 60^\circ = \sqrt{3}$ になればよい。 直線 $OP_1$ の傾きは実部と虚部の比で与えられるため、

$$ \left| \frac{\frac{\sqrt{4ac - b^2}}{2a}}{-\frac{b}{2a}} \right| = \frac{\sqrt{4ac - b^2}}{b} $$

となる。これが $\frac{1}{\sqrt{3}}$ または $\sqrt{3}$ に等しければよい。

(i) 傾きの絶対値が $\frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき

$$ \frac{\sqrt{4ac - b^2}}{b} = \frac{1}{\sqrt{3}} \iff \frac{4ac - b^2}{b^2} = \frac{1}{3} \iff 12ac - 3b^2 = b^2 \iff 3ac = b^2 $$

このとき $D = b^2 - 4ac = 3ac - 4ac = -ac < 0$ となり、虚数解をもつ条件を満たしている。 $b^2 = 3ac$ を満たすサイコロの目を数える。$b^2$ は $3$ の倍数となるため、$b$ は $3$ の倍数である。 $b = 3$ のとき、$ac = 3$ となり、$(a, c) = (1, 3), (3, 1)$ の $2$ 通りである。 $b = 6$ のとき、$ac = 12$ となり、$(a, c) = (2, 6), (3, 4), (4, 3), (6, 2)$ の $4$ 通りである。 合計 $6$ 通りとなる。

(ii) 傾きの絶対値が $\sqrt{3}$ のとき

$$ \frac{\sqrt{4ac - b^2}}{b} = \sqrt{3} \iff \frac{4ac - b^2}{b^2} = 3 \iff 4ac - b^2 = 3b^2 \iff ac = b^2 $$

このとき $D = b^2 - 4ac = b^2 - 4b^2 = -3b^2 < 0$ となり、虚数解をもつ条件を満たしている。 $ac = b^2$ を満たすサイコロの目を数える。 $b = 1$ のとき、$ac = 1$ より $(a, c) = (1, 1)$ ($1$ 通り) $b = 2$ のとき、$ac = 4$ より $(a, c) = (1, 4), (2, 2), (4, 1)$ ($3$ 通り) $b = 3$ のとき、$ac = 9$ より $(a, c) = (3, 3)$ ($1$ 通り) $b = 4$ のとき、$ac = 16$ より $(a, c) = (4, 4)$ ($1$ 通り) $b = 5$ のとき、$ac = 25$ より $(a, c) = (5, 5)$ ($1$ 通り) $b = 6$ のとき、$ac = 36$ より $(a, c) = (6, 6)$ ($1$ 通り) 合計 $8$ 通りとなる。

(i), (ii) より、条件を満たす組 $(a, b, c)$ は全部で $6 + 8 = 14$ 通りである。 したがって、求める確率は

$$ \frac{14}{216} = \frac{7}{108} $$

である。

解説

2次方程式の解の配置と複素数平面を絡めた確率の典型問題である。 (1) は実数解(重解)となる条件、すなわち判別式を調べる基本的な問題である。 (2) は係数が実数であることから、解が「実数」になるか「互いに共役な複素数」になるかで場合分けして考える必要がある。特に、実数解の場合に重解となるケースを漏らさないことがポイントとなる。 (3) では、実係数の方程式の虚数解は実軸対称に現れるという性質を活かすと、2つの直線が原点となす角は実軸を基準にして考えられるため、偏角や傾きに持ち込んで処理する方針が有効である。

答え

(1) $\displaystyle \frac{5}{216}$

(2) $\displaystyle \frac{5}{36}$

(3) $\displaystyle \frac{7}{108}$

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