トップ 九州大学 2023年 理系 第1問

九州大学 2023年 理系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式テーマ/図形総合
九州大学 2023年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) は係数が左右対称に配置されている相反方程式です。この形の方程式は、両辺を $x^2$ で割り、$t = x + \frac{1}{x}$ と置換して解き進めるのが定石です。

(2) は複素数平面における三角形の形状を決定する問題です。3点 $\alpha, \beta, \gamma$ の関係を調べるため、どれか1点を基準にし、2つの辺のなす角と長さの比を表す複素数(たとえば $z = \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta}$)を求めます。与えられた関係式をこの $z$ の方程式に書き換えると、(1) の方程式を利用できる形に帰着します。

解法1

(1)

与えられた4次方程式 $x^4 - 2x^3 + 3x^2 - 2x + 1 = 0$ において、$x=0$ とすると左辺は $1$ となり成り立たないため、$x \neq 0$ である。 両辺を $x^2$ で割ると、

$$x^2 - 2x + 3 - \frac{2}{x} + \frac{1}{x^2} = 0$$

項を並べ替えて、

$$\left(x^2 + \frac{1}{x^2}\right) - 2\left(x + \frac{1}{x}\right) + 3 = 0$$

ここで $t = x + \frac{1}{x}$ とおくと、両辺を2乗して $t^2 = x^2 + 2 + \frac{1}{x^2}$ より $x^2 + \frac{1}{x^2} = t^2 - 2$ であるから、

$$(t^2 - 2) - 2t + 3 = 0$$

$$t^2 - 2t + 1 = 0$$

$$(t - 1)^2 = 0$$

これより $t = 1$ を得る。 $t$ を元に戻すと、

$$x + \frac{1}{x} = 1$$

両辺に $x$ を掛けて整理すると、

$$x^2 - x + 1 = 0$$

解の公式を用いてこれを解くと、

$$x = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4}}{2} = \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}$$

(以降の問題で複素数平面を扱うため、虚数単位 $i$ を用いて表した)

(2)

$\triangle ABC$ が存在するため、3点 $\alpha, \beta, \gamma$ は互いに異なる複素数である。 特に $\gamma \neq \beta$ であるから、$\gamma - \beta \neq 0$ である。

与えられた条件式は以下の通りである。

$$(\alpha - \beta)^4 + (\beta - \gamma)^4 + (\gamma - \alpha)^4 = 0$$

この両辺を $(\gamma - \beta)^4$ で割ると、

$$\frac{(\alpha - \beta)^4}{(\gamma - \beta)^4} + \frac{(\beta - \gamma)^4}{(\gamma - \beta)^4} + \frac{(\gamma - \alpha)^4}{(\gamma - \beta)^4} = 0$$

$$\left( \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta} \right)^4 + (-1)^4 + \left( \frac{\gamma - \alpha}{\gamma - \beta} \right)^4 = 0$$

ここで、$z = \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta}$ とおく。 第3項の中身は次のように変形できる。

$$\frac{\gamma - \alpha}{\gamma - \beta} = \frac{(\gamma - \beta) - (\alpha - \beta)}{\gamma - \beta} = 1 - \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta} = 1 - z$$

したがって、方程式は次のように表される。

$$z^4 + 1 + (1 - z)^4 = 0$$

これを展開して整理する。

$$z^4 + 1 + (1 - 4z + 6z^2 - 4z^3 + z^4) = 0$$

$$2z^4 - 4z^3 + 6z^2 - 4z + 2 = 0$$

両辺を2で割ると、

$$z^4 - 2z^3 + 3z^2 - 2z + 1 = 0$$

この方程式は (1) で解いたものと全く同じである。 (1) の結果より、

$$z = \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}$$

これを極形式で表すと、

$$z = \cos \left( \pm \frac{\pi}{3} \right) + i \sin \left( \pm \frac{\pi}{3} \right)$$

$z = \frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta}$ であったから、

$$\alpha - \beta = \left\{ \cos \left( \pm \frac{\pi}{3} \right) + i \sin \left( \pm \frac{\pi}{3} \right) \right\} (\gamma - \beta)$$

これが意味することは、点 $\alpha$ は、点 $\gamma$ を点 $\beta$ を中心として $\pm \frac{\pi}{3}$ だけ回転させた点であるということである。 したがって、$|\alpha - \beta| = |\gamma - \beta|$ かつ $\angle ABC = \frac{\pi}{3}$ が成り立つ。

以上のことから、$\triangle ABC$ は正三角形である。

解法2

(1)の別解

与えられた方程式の左辺を、平方の形ができるように式変形する。

$$x^4 - 2x^3 + 3x^2 - 2x + 1 = 0$$

$$x^4 - 2x^3 + x^2 + 2x^2 - 2x + 1 = 0$$

前3項と後ろ3項に分けて整理する。

$$x^2(x^2 - 2x + 1) + 2(x^2 - x) + 1 = 0$$

$$(x^2 - x)^2 + 2(x^2 - x) + 1 = 0$$

ここで $x^2 - x$ を1つのまとまりと見ると、左辺は完全平方式となる。

$$\{(x^2 - x) + 1\}^2 = 0$$

$$(x^2 - x + 1)^2 = 0$$

したがって、$x^2 - x + 1 = 0$ が成り立つ。 解の公式を用いてこれを解くと、

$$x = \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}$$

解説

(1) は係数が対称になっている「相反方程式」であり、両辺を $x^2$ で割って $x + \frac{1}{x} = t$ と置く解法が最も標準的です。しかし、解法2のように式を巧みに分割して完全平方式を見つけることができれば、より素早く解を導くことも可能です。

(2) は複素数平面上の三角形の形状を問う典型問題です。解答のコツは、対象となる3点間の関係を「2つの差の商(この問題では $\frac{\alpha - \beta}{\gamma - \beta}$)」という1つの複素数に帰着させることです。これによって全体を1変数の代数方程式に変換でき、今回はうまく (1) の誘導に乗ることができます。計算過程で $(1 - z)^4$ などの展開を正確に行うことがポイントとなります。

答え

(1) $x = \frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}$

(2) 正三角形

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。