トップ 九州大学 2019年 理系 第5問

九州大学 2019年 理系 第5問 解説

数学C/複素数平面数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域
九州大学 2019年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた条件 (ア) に $z=i, -i$ を代入し、$a, b, c$ の関係式を導きます。次に、点 $z$ が虚軸全体を動くという条件を $z=yi$ ($y$ は実数)または $z+\bar{z}=0$ として扱い、条件 (イ) の $|w|=1$ を用いて $c$ の絶対値を決定します。最後に、条件 (ウ) から $c$ の値を一つに絞り込み、軌跡 $C$ の全容を求めます。

解法1

条件 (ア) より、$z=i$ のとき $w=i$ となるから、

$$ i = \frac{ai+b}{ci+1} $$

両辺に $ci+1$ を掛けて整理すると、

$$ -c+i = ai+b $$

$$ b + ai + c - i = 0 \quad \cdots \text{①} $$

同様に、$z=-i$ のとき $w=-i$ となるから、

$$ -i = \frac{-ai+b}{-ci+1} $$

$$ -c-i = -ai+b $$

$$ b - ai + c + i = 0 \quad \cdots \text{②} $$

①と②を辺々足すと、

$$ 2b + 2c = 0 \quad \text{すなわち} \quad b = -c $$

①から②を辺々引くと、

$$ 2ai - 2i = 0 \quad \text{すなわち} \quad a = 1 $$

これらを $w$ の式に代入すると、

$$ w = \frac{z-c}{cz+1} \quad \cdots \text{③} $$

次に、条件 (イ) を考えます。点 $z$ は虚軸全体を動くため、$z=yi$ ($y$ は実数)とおくことができます。 $C$ は単位円の周に含まれるため、任意の実数 $y$ に対して $|w| = 1$ すなわち $|w|^2 = 1$ が成り立ちます。 ③より、

$$ |yi-c|^2 = |cyi+1|^2 $$

ここで、$c = p+qi$ ($p, q$ は実数)とおきます。

$$ |-p + (y-q)i|^2 = |(p+qi)yi + 1|^2 $$

$$ |-p + (y-q)i|^2 = |(1-qy) + pyi|^2 $$

両辺の絶対値の2乗を計算すると、

$$ p^2 + (y-q)^2 = (1-qy)^2 + (py)^2 $$

展開して整理します。

$$ p^2 + y^2 - 2qy + q^2 = 1 - 2qy + q^2y^2 + p^2y^2 $$

$$ p^2 + q^2 + y^2 = 1 + (p^2+q^2)y^2 $$

$p^2+q^2 = |c|^2$ であるため、

$$ |c|^2 + y^2 = 1 + |c|^2 y^2 $$

$$ (|c|^2 - 1)y^2 - (|c|^2 - 1) = 0 $$

$$ (|c|^2 - 1)(y^2 - 1) = 0 $$

これが任意の実数 $y$ に対して成り立つためには、

$$ |c|^2 - 1 = 0 \quad \text{すなわち} \quad |c| = 1 $$

続いて、条件 (ウ) を考えます。点 $-1$ は $C$ に属さないので、$w = -1$ となるような虚軸上の点 $z$ は存在しません。 ③において $w = -1$ とすると、

$$ -1 = \frac{z-c}{cz+1} $$

$$ -cz - 1 = z - c $$

$$ (c+1)z = c - 1 $$

ここで、$c \neq -1$ と仮定します。すると、

$$ z = \frac{c-1}{c+1} $$

この $z$ が虚軸上の点であるか(すなわち $z+\bar{z}=0$ を満たすか)を確認します。

$$ z + \bar{z} = \frac{c-1}{c+1} + \frac{\bar{c}-1}{\bar{c}+1} $$

$$ z + \bar{z} = \frac{(c-1)(\bar{c}+1) + (c+1)(\bar{c}-1)}{|c+1|^2} $$

分子を展開すると、

$$ c\bar{c} + c - \bar{c} - 1 + c\bar{c} - c + \bar{c} - 1 = 2|c|^2 - 2 $$

$|c|=1$ を用いると、分子は $2(1) - 2 = 0$ となります。 したがって、$c \neq -1$ のとき、$w=-1$ を与える $z$ は純虚数となり、点 $-1$ が軌跡 $C$ に含まれてしまいます。これは条件 (ウ) に矛盾します。 ゆえに、$c = -1$ でなければなりません。これは「$c$ は純虚数でない」という問題の条件も満たします。

$b = -c$ より、$b = 1$ です。 以上より、$a = 1, b = 1, c = -1$ と求まります。

最後に軌跡 $C$ を求めます。$a, b, c$ の値を代入すると、

$$ w = \frac{z+1}{-z+1} $$

$z$ について解くと、

$$ w(-z+1) = z+1 $$

$$ z(w+1) = w-1 $$

条件 (ウ) より $w \neq -1$ であるため、

$$ z = \frac{w-1}{w+1} $$

$z$ は虚軸上の点なので $z+\bar{z}=0$ を満たします。

$$ \frac{w-1}{w+1} + \frac{\bar{w}-1}{\bar{w}+1} = 0 $$

両辺に $|w+1|^2$ を掛けると、

$$ (w-1)(\bar{w}+1) + (\bar{w}-1)(w+1) = 0 $$

$$ |w|^2 + w - \bar{w} - 1 + |w|^2 - w + \bar{w} - 1 = 0 $$

$$ 2|w|^2 - 2 = 0 $$

$$ |w|^2 = 1 $$

したがって、$|w|=1$ かつ $w \neq -1$ となります。 軌跡 $C$ は原点を中心とする半径 $1$ の円から、点 $-1$ を除いた図形です。

解説

複素数平面における一次分数変換(メビウス変換)の標準的な問題です。 特定の点における写像の条件から係数を決定し、元の図形(ここでは虚軸)の方程式 $z+\bar{z}=0$ を用いて変換後の図形の方程式を導くという、定石通りの処理で解くことができます。 条件 (ウ) については、「$w=-1$ となる $z$ が存在しない」と捉えるか、「存在するならばそれは虚軸上の点になってしまう」と背理法的に示すかのアプローチが必要になり、ここで論理の厳密さが問われます。

答え

$a = 1, b = 1, c = -1$

軌跡 $C$ は、原点を中心とする半径 $1$ の円。ただし、点 $-1$ を除く。 (図示においては、複素数平面上に原点を中心とした半径 $1$ の円を実線で描き、点 $-1$ の位置に白丸を打つ。)

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。