名古屋大学 1969年 文系 第5問 解説

方針・初手
(イ) は、整数を4で割った余りに着目する。$m$ が偶数であることから $a^m$ は何らかの整数の平方(2乗)の形になる。奇数の平方は4で割ると1余る性質を利用する。 (ロ) は、$m$ が奇数であるときの $x^m+y^m$ 型の因数分解公式を利用し、現れた因数が「奇数」かつ「1より大きい」ことをそれぞれ証明する。
解法1
(イ)
$m$ は偶数であるから、$m=2n$($n$ は自然数)とおける。 このとき、$a^m$ は次のように変形できる。
$$ a^m = a^{2n} = (a^n)^2 $$
$a$ は奇数であるから、その累乗である $a^n$ も奇数である。 奇数 $a^n$ を $2k+1$($k$ は整数)とおくと、
$$ (a^n)^2 = (2k+1)^2 = 4k^2+4k+1 = 4k(k+1)+1 $$
となる。$k(k+1)$ は整数であるため、$a^m$ は4で割ると1余る整数であることがわかる。 したがって、$a^m+1$ は4で割ると $1+1=2$ 余るため、4で割り切れない。
(ロ)
$m$ は $m>1$ を満たす奇数であるから、$m \geqq 3$ である。 $a^m+1$ を因数分解すると、次のようになる。
$$ a^m+1 = (a+1)(a^{m-1} - a^{m-2} + a^{m-3} - \cdots - a + 1) $$
ここで、右辺の2つ目の因数を $S$ とおく。
$$ S = a^{m-1} - a^{m-2} + a^{m-3} - \cdots - a + 1 $$
$a^m+1 = (a+1)S$ であるため、$S$ が「1より大きな奇数」であることを示せばよい。
まず、$S$ の偶奇について考える。 $S$ は $m$ 個の項の和と差からなる式である。$a$ は奇数であるから、各項 $a^k$($k=0, 1, \dots, m-1$)はすべて奇数である。 奇数を $m$ 個(奇数個)足し引きした結果は奇数になるため、$S$ は奇数である。
次に、$S$ の大きさについて考える。 $m$ は奇数なので、$m-1$ は偶数である。$S$ の項を高い次数から2つずつペアにしてくくると、次のように変形できる。
$$ S = a^{m-2}(a-1) + a^{m-4}(a-1) + \cdots + a(a-1) + 1 $$
$a>1$ であるから $a-1 > 0$ であり、$a^k > 0$ であるため、各項について以下が成り立つ。
$$ a^{m-2}(a-1) > 0, \quad a^{m-4}(a-1) > 0, \quad \dots, \quad a(a-1) > 0 $$
これらをすべて足し合わせた正の値に1を加えているので、
$$ S > 1 $$
が成り立つ。
以上より、$S$ は1より大きな奇数であり、$a^m+1$ は1より大きな奇数 $S$ を因数にもつため、題意は示された。
解説
(イ) は、「奇数の平方は4で割ると1余る(さらに言えば8で割っても1余る)」という整数の基本的な性質を利用する問題である。合同式を用いて $a \equiv \pm 1 \pmod 4$ より $a^2 \equiv 1 \pmod 4$ と処理してもよい。
(ロ) は、$n$ が奇数のときの $x^n+y^n = (x+y)(x^{n-1}-x^{n-2}y+\cdots+y^{n-1})$ の因数分解を正しく適用できるかが問われている。 抽出した因数 $S$ が条件を満たすことを示す際、奇数であることは項数に着目すればよい。「1より大きい」ことを示すために、隣り合う項の差 $a^k - a^{k-1} = a^{k-1}(a-1) > 0$ を作って評価する手法は、多項式の値の評価において頻出である。
答え
(イ)、(ロ) ともに、上記証明の通り題意は示された。
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