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名古屋大学 1969年 文系 第4問 解説

数学2/微分法数学2/積分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
名古屋大学 1969年 文系 第4問 解説

方針・初手

(1) 求める面積 $S(t)$ は、与えられた関数を区間 $[t, 2t]$ で定積分することで計算できる。

(2) (1) で求めた $S(t)$ の最大値を求める。分子が $t$ の1次式、分母が $t$ の2次式となるため、分子と分母を $t$ で割ることで相加平均と相乗平均の大小関係を利用できる形に帰着させるか、あるいは微分法を用いて増減を調べる。

解法1

(1)

曲線 $y = \frac{1}{(x+1)^2}$ は $x > 0$ において常に $y > 0$ である。 したがって、求める面積 $S(t)$ は次のように定積分で表される。

$$ S(t) = \int_{t}^{2t} \frac{1}{(x+1)^2} dx $$

この定積分を計算する。

$$ \begin{aligned} S(t) &= \left[ -\frac{1}{x+1} \right]_{t}^{2t} \\ &= -\frac{1}{2t+1} - \left( -\frac{1}{t+1} \right) \\ &= \frac{1}{t+1} - \frac{1}{2t+1} \\ &= \frac{2t+1 - (t+1)}{(t+1)(2t+1)} \\ &= \frac{t}{2t^2+3t+1} \end{aligned} $$

(2)

(1) の結果より、$S(t)$ は以下のように表される。

$$ S(t) = \frac{t}{2t^2+3t+1} $$

$t > 0$ であるから、右辺の分子と分母を $t$ で割ると、次のように変形できる。

$$ S(t) = \frac{1}{2t + 3 + \frac{1}{t}} $$

ここで、分母の $2t + \frac{1}{t}$ について考える。 $t > 0$ より $2t > 0$ かつ $\frac{1}{t} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、以下の不等式が成り立つ。

$$ 2t + \frac{1}{t} \geqq 2\sqrt{2t \cdot \frac{1}{t}} = 2\sqrt{2} $$

等号が成立するのは、$2t = \frac{1}{t}$ すなわち $t^2 = \frac{1}{2}$ のときである。 $t > 0$ より、$t = \frac{1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ のときに等号が成立する。

このとき、分母 $2t + 3 + \frac{1}{t}$ は最小値 $3 + 2\sqrt{2}$ をとるため、$S(t)$ の値は最大となる。 その最大値は、

$$ \begin{aligned} S\left(\frac{\sqrt{2}}{2}\right) &= \frac{1}{3 + 2\sqrt{2}} \\ &= \frac{3 - 2\sqrt{2}}{(3 + 2\sqrt{2})(3 - 2\sqrt{2})} \\ &= \frac{3 - 2\sqrt{2}}{9 - 8} \\ &= 3 - 2\sqrt{2} \end{aligned} $$

解法2

(1)

解法1と同様に、

$$ S(t) = \frac{t}{2t^2+3t+1} $$

(2)

商の微分法を用いて、$S(t)$ の増減を調べる。

$$ \begin{aligned} S'(t) &= \frac{1 \cdot (2t^2+3t+1) - t \cdot (4t+3)}{(2t^2+3t+1)^2} \\ &= \frac{2t^2 + 3t + 1 - 4t^2 - 3t}{(2t^2+3t+1)^2} \\ &= \frac{1 - 2t^2}{(2t^2+3t+1)^2} \end{aligned} $$

$S'(t) = 0$ とすると、$1 - 2t^2 = 0$ である。 $t > 0$ であるから、$t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ となる。

$t > 0$ における $S(t)$ の増減表は次のようになる。

$t$ $(0)$ $\cdots$ $\frac{1}{\sqrt{2}}$ $\cdots$
$S'(t)$ $+$ $0$ $-$
$S(t)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

増減表より、$S(t)$ は $t = \frac{1}{\sqrt{2}}$ のとき極大かつ最大となる。 その最大値は、

$$ \begin{aligned} S\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{2\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + 3\left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right) + 1} \\ &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{1 + \frac{3}{\sqrt{2}} + 1} \\ &= \frac{\frac{1}{\sqrt{2}}}{2 + \frac{3}{\sqrt{2}}} \\ &= \frac{1}{2\sqrt{2} + 3} \\ &= \frac{3 - 2\sqrt{2}}{(3 + 2\sqrt{2})(3 - 2\sqrt{2})} \\ &= 3 - 2\sqrt{2} \end{aligned} $$

解説

(1) は基本的な定積分の計算問題である。積分変数が $x$ であることに注意し、区間の両端に $t$ を代入して整理する。

(2) は分数関数の最大値を求める典型問題である。解法1のように、分子の次数が分母の次数よりも低い(または等しい)場合、分子分母を適切に割り算することで、相加平均と相乗平均の大小関係が利用できる形に持ち込む手法が非常に有効である。この方法は微分を行うよりも計算量が少なく、計算ミスを防ぎやすい。 解法2のように商の微分法を用いてもよいが、分母の2乗の展開などは行わず、分子の符号のみに着目して増減を調べるのが定石である。

答え

(1)

$$ S(t) = \frac{t}{2t^2+3t+1} $$

(2)

$$ 3 - 2\sqrt{2} $$

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