名古屋大学 1998年 文系 第3問 解説

注意
画像が途中で切れており、問題文で言及されている $S_3$ の定義が含まれていません。以下は、画像から読み取れる (1) $S_1$ と (2) $S_2$ のみを対象とした解答解説です。
方針・初手
(1) は等比数列の和です。公比 $z$ が $1$ であるかどうかによって場合分けを行います。問題の条件 $z^N = 1$ を活用します。
(2) は (1) の複素数の和の実部に着目します。ド・モアブルの定理により、$z^k = \cos k\theta + i\sin k\theta$ となることを利用して、$S_1$ と $S_2$ の関係を見出します。
解法1
(1)
$S_1 = 1 + z + z^2 + \cdots + z^{N-1}$ は、初項 $1$、公比 $z$、項数 $N$ の等比数列の和である。
等比数列の和の公式を用いるため、公比 $z$ が $1$ かどうかで場合分けをする。
$z = \cos\theta + i\sin\theta$ であるから、$z=1$ となるのは $\theta = 2k\pi$($k$ は整数)のときである。
(i) $z = 1$(すなわち $\theta = 2k\pi$、$k$ は整数)のとき
各項はすべて $1$ になるので、
$$ S_1 = \underbrace{1 + 1 + \cdots + 1}_{N\text{個}} = N $$
となる。
(ii) $z \neq 1$(すなわち $\theta \neq 2k\pi$、$k$ は整数)のとき
等比数列の和の公式より、
$$ S_1 = \frac{1 - z^N}{1 - z} $$
となる。
ここで、問題の条件より $z^N = 1$ であるから、
$$ S_1 = \frac{1 - 1}{1 - z} = 0 $$
となる。
以上より、$z = 1$ のとき $S_1 = N$、$z \neq 1$ のとき $S_1 = 0$ である。
(2)
ド・モアブルの定理により、$k$ を整数として、
$$ z^k = (\cos\theta + i\sin\theta)^k = \cos k\theta + i\sin k\theta $$
が成り立つ。
(1) の $S_1$ を実部と虚部に分けて書くと、
$$ \begin{aligned} S_1 &= 1 + z + z^2 + \cdots + z^{N-1} \\ &= 1 + (\cos\theta + i\sin\theta) + (\cos 2\theta + i\sin 2\theta) + \cdots + \{\cos(N-1)\theta + i\sin(N-1)\theta\} \\ &= \{1 + \cos\theta + \cos 2\theta + \cdots + \cos(N-1)\theta\} + i\{\sin\theta + \sin 2\theta + \cdots + \sin(N-1)\theta\} \end{aligned} $$
となる。
ここで、実部を比較すると、
$$ \operatorname{Re}(S_1) = 1 + \cos\theta + \cos 2\theta + \cdots + \cos(N-1)\theta = S_2 $$
であることがわかる。
したがって、$S_2$ は $S_1$ の実部である。
(1) の結果を利用して場合分けをする。
(i) $z = 1$(すなわち $\theta = 2k\pi$、$k$ は整数)のとき
$S_1 = N$ であるから、その実部は $N$ である。
よって、
$$ S_2 = N $$
(ii) $z \neq 1$(すなわち $\theta \neq 2k\pi$、$k$ は整数)のとき
$S_1 = 0$ であるから、その実部は $0$ である。
よって、
$$ S_2 = 0 $$
以上より、$z = 1$ のとき $S_2 = N$、$z \neq 1$ のとき $S_2 = 0$ である。
解説
複素数平面における累乗の和を扱う典型問題です。
等比数列の和を計算する際、公比が $1$ の場合とそうでない場合で場合分けを忘れないことが最大のポイントです。本問では $z=1$ かどうか、すなわち $\theta$ が $2\pi$ の整数倍かどうかが分岐点になります。
また、三角関数の級数和($\cos$ の和や $\sin$ の和)を求めるときに、複素数の等比数列の和を利用して、その実部や虚部を比較するという手法は極めて強力で、大学入試において頻出のテクニックです。ド・モアブルの定理と組み合わせて自然に導出できるようにしておきましょう。
答え
(1) $z = 1$($\theta = 2k\pi$、$k$ は整数)のとき $S_1 = N$、$z \neq 1$($\theta \neq 2k\pi$、$k$ は整数)のとき $S_1 = 0$
(2) $z = 1$($\theta = 2k\pi$、$k$ は整数)のとき $S_2 = N$、$z \neq 1$($\theta \neq 2k\pi$、$k$ は整数)のとき $S_2 = 0$
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