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名古屋大学 1998年 理系 第4問 解説

数学C/複素数平面数学2/三角関数テーマ/場合分け
名古屋大学 1998年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) は等比数列の和の公式を利用する。その際、公比である $z$ が $1$ かどうかで場合分けが必要になることに注意する。

(2) はド・モアブルの定理 $z^k = \cos k\theta + i\sin k\theta$ を用い、(1) で求めた $S_1$ の実部として $S_2$ を捉える。

(3) はそのままでは等比数列にならないため、半角の公式(倍角の公式)を用いて次数を下げ、$\cos 2k\theta$ の和に帰着させる。

解法1

(1)

$S_1 = 1 + z + z^2 + \cdots + z^{N-1}$ は、初項 $1$、公比 $z$、項数 $N$ の等比数列の和である。

(i) $z=1$ のとき

各項はすべて $1$ となるため、

$$ S_1 = \underbrace{1 + 1 + \cdots + 1}_{N個} = N $$

(ii) $z \neq 1$ のとき

等比数列の和の公式を用いる。条件より $z^N=1$ であるから、

$$ S_1 = \frac{1 - z^N}{1 - z} = \frac{1 - 1}{1 - z} = 0 $$

(2)

ド・モアブルの定理より、整数 $k$ に対して $z^k = (\cos\theta + i\sin\theta)^k = \cos k\theta + i\sin k\theta$ が成り立つ。 したがって、$S_1$ を実部と虚部に分けると、

$$ \begin{aligned} S_1 &= \sum_{k=0}^{N-1} z^k \\ &= \sum_{k=0}^{N-1} (\cos k\theta + i\sin k\theta) \\ &= \sum_{k=0}^{N-1} \cos k\theta + i \sum_{k=0}^{N-1} \sin k\theta \end{aligned} $$

となる。ここで、$\sum_{k=0}^{N-1} \cos k\theta = 1 + \cos\theta + \cdots + \cos(N-1)\theta = S_2$ である。 すなわち、$S_2$ は $S_1$ の実部である。 (1) の結果を用いると、以下のようになる。

(i) $z=1$ のとき

$S_1 = N$ (実数) であるから、$S_2 = N$

(ii) $z \neq 1$ のとき

$S_1 = 0$ であるから、$S_2 = 0$

(3)

半角の公式 $\cos^2 x = \frac{1 + \cos 2x}{2}$ を用いて $S_3$ を変形する。

$$ \begin{aligned} S_3 &= \sum_{k=0}^{N-1} \cos^2 k\theta \\ &= \sum_{k=0}^{N-1} \frac{1 + \cos 2k\theta}{2} \\ &= \frac{N}{2} + \frac{1}{2} \sum_{k=0}^{N-1} \cos 2k\theta \end{aligned} $$

ここで、$T = \sum_{k=0}^{N-1} \cos 2k\theta$ とおく。 $w = z^2 = \cos 2\theta + i\sin 2\theta$ とおくと、ド・モアブルの定理より $w^k = \cos 2k\theta + i\sin 2k\theta$ である。 したがって、$T$ は $\sum_{k=0}^{N-1} w^k = 1 + w + w^2 + \cdots + w^{N-1}$ の実部として考えられる。 また、$w^N = z^{2N} = (z^N)^2 = 1^2 = 1$ である。 公比 $w$ が $1$ かどうかで場合分けする。

(i) $w = 1$ のとき

$w = z^2 = 1$ より、$z = 1$ または $z = -1$ である。 このとき、$\sum_{k=0}^{N-1} w^k = N$ であり、これは実数であるから $T = N$ となる。 よって、

$$ S_3 = \frac{N}{2} + \frac{1}{2} \cdot N = N $$

(ii) $w \neq 1$ のとき

$w = z^2 \neq 1$ より、$z \neq \pm 1$ である。 このとき、等比数列の和の公式と $w^N=1$ より、

$$ \sum_{k=0}^{N-1} w^k = \frac{1 - w^N}{1 - w} = \frac{1 - 1}{1 - w} = 0 $$

したがって $T = 0$ となる。 よって、

$$ S_3 = \frac{N}{2} + \frac{1}{2} \cdot 0 = \frac{N}{2} $$

解説

複素数平面におけるド・モアブルの定理と等比数列の和の公式を組み合わせることで、三角関数の級数の和を容易に求めることができる頻出問題である。 ポイントは、求めたい三角関数の和を「複素数の和の実部(または虚部)」として捉え直すことである。 また、等比数列の和の公式を用いる際には、必ず「公比が1になるかどうか」を意識し、場合分けを行うことが求められる。本問の (3) のように、公比が $z^2$ となることで場合分けの条件が $z=1$ だけではなく $z=-1$ にも及ぶ点に注意したい。

答え

(1) $z=1$ のとき $S_1 = N$、 $z \neq 1$ のとき $S_1 = 0$

(2) $z=1$ のとき $S_2 = N$、 $z \neq 1$ のとき $S_2 = 0$

(3) $z = \pm 1$ のとき $S_3 = N$、 $z \neq \pm 1$ のとき $S_3 = \frac{N}{2}$

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