名古屋大学 1999年 文系 第2問 解説

方針・初手
$A$ の持ち点に着目して状態の推移を考える。ゲームのたびに持ち点は $+1$ または $-1$ されるため、偶数回のゲーム終了時には持ち点は偶数(0, 2, 4のいずれか)になる。ゲームが継続する条件は、偶数回終了時にどちらの持ち点も0でない、すなわち $A$ の持ち点が2であることである。これを利用し、2回のゲームを1セットとして確率を計算する。
解法1
$A$ の持ち点を $k$ とする。初期状態は $k=2$ であり、$k=0$ または $k=4$ となった時点でゲームは終了する。 ゲームを1回行うごとに $k$ は1増減するため、偶数回目のゲーム終了時にゲームが続いている場合、$k$ は必ず2である。
2回のゲームを行って $k=2$ から $k=2$ に戻る確率は、$A$ が1勝1敗となる確率なので、
$$ {}_2\mathrm{C}_{1} p(1-p) = 2p(1-p) $$
である。 また、2回のゲームを行って $k=2$ から $k=0$ になる確率は $A$ が2連敗する確率なので $(1-p)^2$ 、$k=4$ になる確率は $A$ が2連勝する確率なので $p^2$ である。
(1)
ちょうど4回目のゲームでどちらか一方の持ち点が0になる(ゲームが終了する)のは、2回目終了時点では持ち点が2のままであり、その後の2回で持ち点が0または4になる場合である。
2回目終了時に持ち点が2である確率は $2p(1-p)$ である。 その後、3回目および4回目のゲームで持ち点が0になる確率は $(1-p)^2$ 、持ち点が4になる確率は $p^2$ である。 これらは排反であるから、求める確率は
$$ 2p(1-p) \{ p^2 + (1-p)^2 \} = 2p(1-p)(2p^2 - 2p + 1) $$
となる。
(2)
$2n$ 回目までのゲームで $A$ の持ち点が0になって終了するのは、ある自然数 $m \ (1 \le m \le n)$ について、ちょうど $2m$ 回目で $A$ の持ち点が0になる場合である。
ちょうど $2m$ 回目で $A$ の持ち点が0になるためには、 $2(m-1)$ 回目までは常に持ち点が2に戻り続け、その後の2回で持ち点が0になればよい。 その確率は
$$ \{ 2p(1-p) \}^{m-1} (1-p)^2 $$
である。 各 $m$ についての事象は互いに排反であるから、求める確率は
$$ \sum_{m=1}^{n} \{ 2p(1-p) \}^{m-1} (1-p)^2 $$
となる。 ここで、等比数列の公比となる $2p(1-p)$ について、
$$ 2p(1-p) = -2\left(p-\frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{2} $$
であり、確率の性質から $0 \le p \le 1$ であるため $0 \le 2p(1-p) \le \frac{1}{2}$ となり、公比は1ではない。 したがって、等比数列の和の公式より、求める確率は
$$ \frac{(1-p)^2 \left[ 1 - \{ 2p(1-p) \}^n \right]}{1 - 2p(1-p)} = \frac{(1-p)^2 \{ 1 - (2p - 2p^2)^n \}}{2p^2 - 2p + 1} $$
となる。
解説
いわゆる「破産の確率」の基本問題である。持ち点の和が一定(本問では4)であるため、一方の持ち点にのみ着目すればよい。1回のゲームでの変化が $\pm 1$ であることから、初期状態のパリティ(偶奇)とゲーム回数のパリティにより、とりうる状態が限定されることがポイントである。偶数回目には持ち点が偶数(本問では0, 2, 4)にしかならないことに気づけば、2回を1セットとして状態遷移を容易に定式化でき、等比数列の和に帰着させることができる。
答え
(1) $2p(1-p)(2p^2 - 2p + 1)$
(2) $\frac{(1-p)^2 \{ 1 - (2p - 2p^2)^n \}}{2p^2 - 2p + 1}$
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