名古屋大学 1999年 文系 第3問 解説

方針・初手
任意のベクトル $\vec{p}$ に対して条件が成り立つことから、$\vec{p} = (x, y)$ とおいて成分で表し、$x, y$ についての恒等式として扱います。係数比較によって $a_1, a_2, b_1, b_2$ が満たすべき関係式を導出し、そこから $a_1, a_2$ の満たす条件と $\vec{b}$ の成分を決定します。
解法1
(1)
任意のベクトル $\vec{p}$ を $\vec{p} = (x, y)$ とおく。
与えられた条件式 $(\vec{a} \cdot \vec{p})^2 + (\vec{b} \cdot \vec{p})^2 = |\vec{p}|^2$ を成分で表すと、
$$ (a_1 x + a_2 y)^2 + (b_1 x + b_2 y)^2 = x^2 + y^2 $$
左辺を展開して $x, y$ について整理すると、
$$ (a_1^2 + b_1^2)x^2 + 2(a_1 a_2 + b_1 b_2)xy + (a_2^2 + b_2^2)y^2 = x^2 + y^2 $$
これが任意の実数 $x, y$ に対して成り立つための必要十分条件は、両辺の係数が等しいことである。よって、以下の3つの式が成り立つ。
$$ \begin{cases} a_1^2 + b_1^2 = 1 & \cdots \text{①} \\ a_1 a_2 + b_1 b_2 = 0 & \cdots \text{②} \\ a_2^2 + b_2^2 = 1 & \cdots \text{③} \end{cases} $$
これらの式を満たす実数 $b_1, b_2$ が存在するような $a_1, a_2$ の条件を求める。
①より $b_1^2 = 1 - a_1^2$、③より $b_2^2 = 1 - a_2^2$ であり、これらを②を変形した $(b_1 b_2)^2 = (-a_1 a_2)^2$ に代入する。
$$ (1 - a_1^2)(1 - a_2^2) = a_1^2 a_2^2 $$
$$ 1 - a_1^2 - a_2^2 + a_1^2 a_2^2 = a_1^2 a_2^2 $$
$$ a_1^2 + a_2^2 = 1 \quad \cdots \text{④} $$
逆に④が成り立つとき、①と③を満たす実数 $b_1, b_2$ が存在するかを確認する。④より $1 - a_1^2 = a_2^2 \ge 0$、$1 - a_2^2 = a_1^2 \ge 0$ であるため、$b_1^2 \ge 0$ かつ $b_2^2 \ge 0$ となり、実数 $b_1, b_2$ は存在する(例えば $b_1 = -a_2, b_2 = a_1$ とすれば①〜③をすべて満たす)。
したがって、求める点 $(a_1, a_2)$ の存在範囲は $a_1^2 + a_2^2 = 1$ であり、これは原点 $(0, 0)$ を中心とする半径 $1$ の円周である。
(2)
(1)で求めたように、$a_1^2 + a_2^2 = 1$ のもとで①〜③を満たす $b_1, b_2$ を求める。
①より $b_1^2 = 1 - a_1^2 = a_2^2$ であるから、
$$ b_1 = \pm a_2 $$
③より $b_2^2 = 1 - a_2^2 = a_1^2$ であるから、
$$ b_2 = \pm a_1 $$
これらを②の $a_1 a_2 + b_1 b_2 = 0$ に代入し、適する組み合わせを調べる。
(i) $b_1 = a_2$ のとき
②に代入すると、
$$ a_1 a_2 + a_2 b_2 = 0 $$
$$ a_2 (a_1 + b_2) = 0 $$
$a_2 \neq 0$ のときは $b_2 = -a_1$ となる。これは $b_2 = \pm a_1$ に適する。 $a_2 = 0$ のときは、$a_1^2 = 1$ より $a_1 = \pm 1$ となる。このとき $b_1 = 0$ であり、$b_2 = \pm a_1 = \pm 1$ となるが、$(b_1, b_2) = (0, -a_1)$ はこれに含まれる。 よって、$(b_1, b_2) = (a_2, -a_1)$ は常に条件を満たす。
(ii) $b_1 = -a_2$ のとき
②に代入すると、
$$ a_1 a_2 - a_2 b_2 = 0 $$
$$ a_2 (a_1 - b_2) = 0 $$
(i) と同様に考えると、$a_2 \neq 0$ のとき $b_2 = a_1$ となり、$a_2 = 0$ のときも適する。 よって、$(b_1, b_2) = (-a_2, a_1)$ は常に条件を満たす。
以上より、求めるベクトル $\vec{b}$ は $\vec{b} = (a_2, -a_1)$ または $\vec{b} = (-a_2, a_1)$ である。
解説
「任意のベクトル $\vec{p}$ に対して」という条件を、$\vec{p}$ の成分 $x, y$ に関する恒等式と見なすことが最大のポイントです。これにより、ベクトル方程式を連立方程式に帰着させることができます。
図形的な意味を考えると、(1)で求めた $a_1^2 + a_2^2 = 1$ は $|\vec{a}| = 1$ を意味します。また、(2)の解答である $\vec{b} = (\pm a_2, \mp a_1)$ は、ベクトル $\vec{a}$ を原点周りに $90^\circ$ または $-90^\circ$ 回転させたベクトルです。すなわち、$\vec{a}$ と $\vec{b}$ は互いに直交する単位ベクトルとなります。任意のベクトル $\vec{p}$ は、この互いに直交する単位ベクトル $\vec{a}, \vec{b}$ を基底として正射影分解できるため、その大きさの2乗はピタゴラスの定理により $|\vec{p}|^2 = (\vec{a} \cdot \vec{p})^2 + (\vec{b} \cdot \vec{p})^2$ となり、与えられた等式と完全に一致します。
答え
(1) 点 $(a_1, a_2)$ の存在範囲は、原点を中心とする半径 $1$ の円周上。(図はこれを座標平面上に描いたもの)
(2) $\vec{b} = (a_2, -a_1), \ (-a_2, a_1)$
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