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名古屋大学 1999年 文系 第1問 解説

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名古屋大学 1999年 文系 第1問 解説

方針・初手

$x > 0$ における曲線 $C$ の方程式は、絶対値の中身の正負によって2つの放物線に分かれます。 (1) では、交点の $x$ 座標を求める方程式 $x|x-1| = kx$ について考えます。$x>0$ であることから両辺を $x$ で割り、シンプルな絶対値方程式に帰着させるのが見通しの良い方針です。 (2) では、(1) で求めた交点の $x$ 座標をもとに、曲線 $C$ と直線 $l$ の上下関係を把握します。絶対値が外れる境界である $x=1$ に注意して積分区間を適切に分割し、面積 $S(k)$ を $k$ の関数として立式したうえで、微分して最小値を求めます。

解法1

(1)

$x > 0$ において $x \neq 0$ であるから、$C: y = x|x-1|$ と $l: y = kx$ の交点の $x$ 座標は、方程式

$$x|x-1| = kx$$

の両辺を $x$ で割って得られる

$$|x-1| = k$$

の実数解である。 $C$ と $l$ が $x > 0$ で2つの交点を持つための条件は、この方程式が $x > 0$ の範囲で異なる2つの実数解を持つことである。

$k \leqq 0$ のとき、解は高々1つ($k=0$ のとき $x=1$ のみ)であるため不適である。 $k > 0$ のとき、絶対値を外すと

$$x-1 = \pm k$$

$$x = 1+k, \ 1-k$$

となり、これらがともに正であればよい。 $1+k > 0$ は $k > 0$ より常に成り立つ。 $1-k > 0$ より、$k < 1$ である。 したがって、求める $k$ の範囲は

$$0 < k < 1$$

(2)

(1)より、$0 < k < 1$ である。 $x > 0$ における $C$ と $l$ の交点の $x$ 座標は、$x = 1-k, 1+k$ であり、これに原点 $x=0$ での交点を加えた3点が共有点となる。 $0 \leqq x \leqq 1$ において、$C$ の方程式は $y = -x^2+x$ である。 $x \geqq 1$ において、$C$ の方程式は $y = x^2-x$ である。

$0 < 1-k < 1 < 1+k$ であるから、囲まれる図形の面積は、$0 \leqq x \leqq 1-k$ の部分の面積 $S_1$ と、$1-k \leqq x \leqq 1+k$ の部分の面積 $S_2$ の和となる。

$0 \leqq x \leqq 1-k$ の区間について調べる。 直線 $l$ と放物線 $y = -x^2+x$ の差を計算すると

$$(-x^2+x) - kx = -x^2 + (1-k)x = -x(x - (1-k))$$

この区間では $-x(x - (1-k)) \geqq 0$ であるから、曲線 $C$ が直線 $l$ の上側にある。 したがって、面積 $S_1$ は

$$S_1 = \int_{0}^{1-k} \{ (-x^2+x) - kx \} dx = \int_{0}^{1-k} -x(x - (1-k)) dx = \frac{1}{6}(1-k)^3$$

$1-k \leqq x \leqq 1+k$ の区間について調べる。 この区間では新たに交点を持たないため、直線 $l$ と曲線 $C$ の上下関係は入れ替わらない。$x=1$ のとき、直線 $l$ の $y$ 座標は $k$、曲線 $C$ の $y$ 座標は $0$ であり、$k > 0$ より直線 $l$ の方が上側にある。 $x=1$ を境に $C$ の方程式が変わるため、積分区間を分けて面積 $S_2$ を計算する。

$$S_2 = \int_{1-k}^{1} \{ kx - (-x^2+x) \} dx + \int_{1}^{1+k} \{ kx - (x^2-x) \} dx$$

それぞれの定積分を計算する。

$$\int_{1-k}^{1} (x^2 + (k-1)x) dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 + \frac{k-1}{2}x^2 \right]_{1-k}^{1}$$

$$= \left( \frac{1}{3} + \frac{k-1}{2} \right) - \left( \frac{1}{3}(1-k)^3 - \frac{1}{2}(1-k)^3 \right)$$

$$= \frac{3k-1}{6} + \frac{1}{6}(1-k)^3$$

$$\int_{1}^{1+k} (-x^2 + (k+1)x) dx = \left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{k+1}{2}x^2 \right]_{1}^{1+k}$$

$$= \left( -\frac{1}{3}(1+k)^3 + \frac{1}{2}(1+k)^3 \right) - \left( -\frac{1}{3} + \frac{k+1}{2} \right)$$

$$= \frac{1}{6}(1+k)^3 - \frac{3k+1}{6}$$

これらを足し合わせて $S_2$ を整理する。

$$S_2 = \frac{3k-1}{6} + \frac{1}{6}(1-k)^3 + \frac{1}{6}(1+k)^3 - \frac{3k+1}{6}$$

$$= \frac{1}{6} \{ (1-k)^3 + (1+k)^3 \} - \frac{2}{6}$$

$$= \frac{1}{6} (2 + 6k^2) - \frac{1}{3} = \frac{1}{3} + k^2 - \frac{1}{3} = k^2$$

図形全体の面積を $S(k)$ とすると、

$$S(k) = S_1 + S_2 = \frac{1}{6}(1-k)^3 + k^2$$

$$= \frac{1}{6}(1 - 3k + 3k^2 - k^3) + k^2$$

$$= -\frac{1}{6}k^3 + \frac{3}{2}k^2 - \frac{1}{2}k + \frac{1}{6}$$

面積が最小となる $k$ を求めるため、$k$ で微分する。

$$S'(k) = -\frac{1}{2}k^2 + 3k - \frac{1}{2} = -\frac{1}{2}(k^2 - 6k + 1)$$

$S'(k) = 0$ となる $k$ の値は、解の公式より

$$k = 3 \pm \sqrt{9-1} = 3 \pm 2\sqrt{2}$$

$0 < k < 1$ であるから、該当するのは $k = 3 - 2\sqrt{2}$ である。 $0 < k < 1$ における $S(k)$ の増減表は以下のようになる。

$k$ $(0)$ $\cdots$ $3-2\sqrt{2}$ $\cdots$ $(1)$
$S'(k)$ $-$ $0$ $+$
$S(k)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$

増減表より、$S(k)$ は $k = 3 - 2\sqrt{2}$ で極小かつ最小となる。

解説

絶対値を含む関数のグラフと直線の交点、およびそれらで囲まれる図形の面積を求める標準的な微積分問題です。 (1) では、グラフの概形を描いて視覚的に条件を捉えることも可能ですが、$x>0$ という条件を活かして両辺を $x$ で割ることで、簡潔な方程式 $|x-1|=k$ に帰着させるのが計算ミスを防ぐ有効な手段です。 (2) の面積計算では、絶対値の符号が変わる $x=1$ で積分区間を分割する必要があります。前半の $S_1$ の部分は $\frac{1}{6}$ 公式がそのまま使えます。後半の $S_2$ の部分は定積分の計算がやや煩雑になりますが、展開して落ち着いて計算を進めると $S_2=k^2$ という非常に綺麗な形にまとまります。微分の計算自体は容易ですが、増減表の範囲に極値が含まれるかどうかの確認を忘れないようにしましょう。

答え

(1) $0 < k < 1$

(2) $k = 3 - 2\sqrt{2}$

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