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名古屋大学 2006年 文系 第3問 解説

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名古屋大学 2006年 文系 第3問 解説

方針・初手

状態の遷移に着目し、底面が「1 または 6」である状態と、それ以外の「2, 3, 4, 5」である状態の2つのグループに分けて考える。

問題文の条件より、新しい底面となる確率は、その面に書かれた数字に比例する。底面が $X$ のとき、隣り合う4つの面の数字の和は、常に $(1+2+3+4+5+6) - (X + (7-X)) = 14$ となる。したがって、隣り合う面のうち数字が $k$ である面が選ばれる確率は $\frac{k}{14}$ であり、これは現在の底面 $X$ に依存しない一定の値となることがポイントである。

解法1

(1)

底面が $X$ であるとき、隣り合う4つの面は、すべての面から底面 $X$ と上面 $7-X$ を除いたものである。これら4つの面の数字の和は、常に $$\sum_{k=1}^6 k - \{X + (7-X)\} = 21 - 7 = 14$$ である。 したがって、底面が $X$ のとき、隣り合う面のうち数字が $k$ である面が新しい底面となる確率は $\frac{k}{14}$ となる。

$q_n$ は、$n$ 回目の試行後に底面が 1 または 6 である確率である。 初期状態では底面は 1 であるから、1回目の試行では 1 と隣り合う 2, 3, 4, 5 のいずれかが新しい底面となる。 よって、1回目の試行後に底面が 1 または 6 となる確率は 0 であるから、 $$q_1 = 0$$

底面が 2, 3, 4, 5 のいずれかであるとき、隣り合う4つの面には必ず 1 と 6 が含まれる。 したがって、次の試行で底面が 1 または 6 になる確率は、現在の底面が 2, 3, 4, 5 のいずれであっても $$\frac{1}{14} + \frac{6}{14} = \frac{7}{14} = \frac{1}{2}$$ である。 1回目の試行後、底面は確実に 2, 3, 4, 5 のいずれかである。2回目の試行で底面が 1 または 6 になる確率は、 $$q_2 = 1 \times \frac{1}{2} = \frac{1}{2}$$

(2)

$n \ge 2$ のとき、$n$ 回目の試行において底面が 1 または 6 になる確率 $q_n$ を、$n-1$ 回目の試行後の状態から求める。 $n-1$ 回目の試行後の状態は、次の2つの場合に分けられる。

(i) 底面が 1 または 6 である場合(確率 $q_{n-1}$) 隣り合う面に 1, 6 は含まれないため、$n$ 回目の試行で底面が 1 または 6 になる確率は 0 である。

(ii) 底面が 2, 3, 4, 5 のいずれかである場合(確率 $1 - q_{n-1}$) (1) で求めた通り、$n$ 回目の試行で底面が 1 または 6 になる確率は $\frac{1}{2}$ である。

これらより、次の漸化式が成り立つ。 $$q_n = q_{n-1} \times 0 + (1 - q_{n-1}) \times \frac{1}{2}$$ $$q_n = - \frac{1}{2} q_{n-1} + \frac{1}{2}$$

この式を変形すると、 $$q_n - \frac{1}{3} = - \frac{1}{2} \left( q_{n-1} - \frac{1}{3} \right)$$ 数列 $\left\{ q_n - \frac{1}{3} \right\}$ は、初項 $q_1 - \frac{1}{3} = 0 - \frac{1}{3} = - \frac{1}{3}$、公比 $- \frac{1}{2}$ の等比数列である。 したがって、 $$q_n - \frac{1}{3} = - \frac{1}{3} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1}$$ $$q_n = \frac{1}{3} - \frac{1}{3} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1}$$

(3)

$n$ 回目の試行で底面が 1 になるのは、$n-1$ 回目の試行後に底面が 2, 3, 4, 5 のいずれかであり、かつ $n$ 回目の試行で 1 の面が選ばれる場合のみである。 $n-1$ 回目の試行後に底面が 2, 3, 4, 5 のいずれかである確率は $1 - q_{n-1}$ である。 このとき、隣り合う4つの面には必ず 1 が含まれており、その面が選ばれる確率は、現在の底面にかかわらず $\frac{1}{14}$ である。

したがって、$n \ge 2$ のとき、 $$p_n(1) = \frac{1}{14} (1 - q_{n-1})$$ (2) で求めた $q_n$ の式を用いて $q_{n-1}$ を代入すると、 $$\begin{aligned} p_n(1) &= \frac{1}{14} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{3} - \frac{1}{3} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-2} \right) \right\} \\ &= \frac{1}{14} \left\{ \frac{2}{3} + \frac{1}{3} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-2} \right\} \\ &= \frac{1}{21} + \frac{1}{42} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-2} \\ &= \frac{1}{21} - \frac{1}{21} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1} \\ &= \frac{1}{21} \left\{ 1 - \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1} \right\} \end{aligned}$$

ここで、$n=1$ とすると $$p_1(1) = \frac{1}{21} (1 - 1) = 0$$ となり、$q_1 = 0$ から得られる $p_1(1) = 0$ と一致するため、$n=1$ のときも成立する。

解説

サイコロの転がりに関する確率と漸化式の典型的な問題である。「どの面が底面であっても、隣り合う4つの面の数字の和が常に一定である」という事実に気づけるかが最大の鍵となる。

この事実に気づけば、底面の数字を個別に追う必要がなくなり、「底面が 1 または 6」という状態と「それ以外」という2状態間の遷移(マルコフ連鎖)に帰着できる。確率の比が具体的な数字で与えられているため一見複雑に思えるが、対称性と一定和を利用することで計算を大幅に簡略化できる。

答え

(1) $$q_1 = 0, \quad q_2 = \frac{1}{2}$$

(2) $$q_n = - \frac{1}{2} q_{n-1} + \frac{1}{2}$$ $$q_n = \frac{1}{3} - \frac{1}{3} \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1}$$

(3) $$p_n(1) = \frac{1}{21} \left\{ 1 - \left( - \frac{1}{2} \right)^{n-1} \right\}$$

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