名古屋大学 2009年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) さいころを2回投げる全事象36通りについて、積の一の位が指定の数になる組み合わせを直接数え上げます。
(2) $n+1$ 回目の積の一の位は、$n$ 回目の積の一の位と $n+1$ 回目に出た目の積から決まることに着目し、漸化式を立てます。
(3) 積の一の位が $1, 3, 7, 9$ となるための条件を、出た目の素因数の観点から考えます。
解法1
(1) さいころを2回投げたときの目の出方は $6 \times 6 = 36$ 通りあり、これらは同様に確からしい。
目の積の一の位が $0$ になるのは、積が $10$ の倍数、すなわち目の組み合わせに $5$ と偶数が含まれる場合である。 該当する目の組み合わせは $(2, 5), (4, 5), (6, 5), (5, 2), (5, 4), (5, 6)$ の $6$ 通り。 よって、 $$p_2(0) = \frac{6}{36} = \frac{1}{6}$$
目の積の一の位が $1$ になるのは、積が奇数であり、かつ一の位が $5$ でないことから、出た目がすべて $1$ または $3$ の場合を調べればよい。 該当する目の組み合わせは $(1, 1)$ の $1$ 通りのみ。($(1, 3), (3, 1)$ は $3$、$(3, 3)$ は $9$) よって、 $$p_2(1) = \frac{1}{36}$$
目の積の一の位が $2$ になる目の組み合わせを調べる。 1つ目の目を固定して2つ目の目を探すと、以下のようになる。
- $1$ のとき、もう1つは $2$。$(1, 2), (2, 1)$
- $2$ のとき、もう1つは $1, 6$。$(2, 1), (1, 2)$ および $(2, 6), (6, 2)$
- $3$ のとき、もう1つは $4$。$(3, 4), (4, 3)$
- $4$ のとき、もう1つは $3$。$(4, 3), (3, 4)$
- $5$ のとき、積の一の位は $5$ か $0$ になるため不適。
- $6$ のとき、もう1つは $2$。$(6, 2), (2, 6)$ 以上より、重複を除いてまとめると $(1, 2), (2, 1), (2, 6), (6, 2), (3, 4), (4, 3)$ の $6$ 通り。 よって、 $$p_2(2) = \frac{6}{36} = \frac{1}{6}$$
(2) $n$ 回目の目の積の一の位を $X_n$ とし、$n+1$ 回目に出た目を $Y$ とする。 $n+1$ 回目の目の積の一の位は、積 $X_n Y$ の一の位に等しい。
$n+1$ 回目の積の一の位が $1$ となるのは、$X_n Y \equiv 1 \pmod{10}$ のときである。 $Y$ は $1$ から $6$ までの整数であるから、それぞれの場合を検証する。
- $Y=1$ のとき、$X_n \times 1 \equiv 1 \pmod{10}$ より $X_n = 1$
- $Y=2, 4, 6$ のとき、$X_n Y$ は常に偶数となり不適。
- $Y=3$ のとき、$X_n \times 3 \equiv 1 \pmod{10}$ より、$X_n$ は $0$ から $9$ の整数のうち $X_n = 7$ のみ適する。
- $Y=5$ のとき、$X_n Y$ は常に $0$ か $5$ となり不適。
したがって、$n+1$ 回目の目の積の一の位が $1$ になる事象は、
- 「$n$ 回目の積の一の位が $1$」かつ「$n+1$ 回目に $1$ の目が出る」事象
- 「$n$ 回目の積の一の位が $7$」かつ「$n+1$ 回目に $3$ の目が出る」事象 のいずれかであり、これらは互いに排反である。 よって、 $$p_{n+1}(1) = p_n(1) \times \frac{1}{6} + p_n(7) \times \frac{1}{6} = \frac{1}{6} \{ p_n(1) + p_n(7) \}$$
(3) $p_n(1) + p_n(3) + p_n(7) + p_n(9)$ は、事象が互いに排反であるため、$n$ 回投げたときの目の積の一の位が $1, 3, 7, 9$ のいずれかになる確率を表している。
積の一の位が $1, 3, 7, 9$ となるための必要十分条件は、積が奇数であり、かつ一の位が $5$ でないこと、つまり積が $10$ と互いに素(素因数に $2$ も $5$ も含まれない)であることと同値である。 さいころの目のうち、素因数に $2$ も $5$ も持たないのは $1, 3$ のみである。
したがって、目の積の一の位が $1, 3, 7, 9$ のいずれかになる事象は、$n$ 回すべてにおいて $1$ または $3$ の目が出る事象に等しい。 $1$ 回の試行で $1$ または $3$ の目が出る確率は $\frac{2}{6} = \frac{1}{3}$ である。 これを $n$ 回繰り返す確率は、独立試行の確率より、 $$\left( \frac{1}{3} \right)^n$$ よって、 $$p_n(1) + p_n(3) + p_n(7) + p_n(9) = \left( \frac{1}{3} \right)^n$$
解説
確率漸化式の問題における典型的な状態推移の考え方と、素因数分解を用いた倍数の判定を組み合わせた問題です。
(1) は具体的な数字での計算です。漏れなく数え上げることが重要になります。
(2) は一の位の計算規則に注目して漸化式を立てます。合同式を意識すると見通しが良くなります。
(3) は $1, 3, 7, 9$ という数字の並びから「10と互いに素」であることを読み取れるかが鍵となります。これに気づけば、漸化式を解くことなく直接確率を求めることができます。漸化式を用いて解こうとすると、$p_n(1), p_n(3), p_n(7), p_n(9)$ の非常に複雑な連立漸化式を立てる必要が生じ、現実的ではありません。全体を俯瞰して本質的な条件を見抜く力が問われています。
答え
(1) $p_2(0) = \frac{1}{6}, \quad p_2(1) = \frac{1}{36}, \quad p_2(2) = \frac{1}{6}$
(2) $p_{n+1}(1) = \frac{1}{6} \{ p_n(1) + p_n(7) \}$
(3) $\left( \frac{1}{3} \right)^n$
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