名古屋大学 1989年 理系 第4問 解説

方針・初手
「表が連続して出ない」確率を求めるため、最初の硬貨の出方によって場合分けをし、隣接する項の間の漸化式を立てる。1回目に表が出た場合、条件を満たすためには2回目が必ず裏でなければならないことに着目する。
解法1
(1)
硬貨を $n$ 回投げるとき、表が連続して出ない確率 $p_n$ について、1回目の硬貨の出方で場合分けをして考える。
(i) 1回目が裏である場合
1回目が裏となる確率は $\frac{1}{2}$ である。このとき、残り $n-1$ 回の試行で表が連続して出なければよい。この確率は $p_{n-1}$ であるため、この場合の確率は以下のようになる。
$$ \frac{1}{2} p_{n-1} $$
(ii) 1回目が表である場合
1回目が表となるとき、表が連続しないためには、2回目は必ず裏が出なければならない。1回目が表、2回目が裏となる確率は $\frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}$ である。このとき、残り $n-2$ 回の試行で表が連続して出なければよい。この確率は $p_{n-2}$ であるため、この場合の確率は以下のようになる。
$$ \frac{1}{4} p_{n-2} $$
(i) と (ii) の事象は互いに排反であるから、これらを足し合わせて以下の漸化式を得る。
$$ p_n = \frac{1}{2} p_{n-1} + \frac{1}{4} p_{n-2} \quad (n \geqq 3) $$
(2)
硬貨を1回投げるとき、表が連続することはあり得ないため、$p_1 = 1$ である。
硬貨を2回投げるとき、表が連続するのは (表, 表) の1通りのみである。よって、$p_2$ は以下のようになる。
$$ p_2 = 1 - \frac{1}{4} = \frac{3}{4} $$
(1) で求めた漸化式 $p_n = \frac{1}{2} p_{n-1} + \frac{1}{4} p_{n-2}$ を用いて、$p_3$ から $p_{10}$ まで順次求めていく。計算を簡単にするため、分母を $2^n$ の形に揃えて計算する。
$$ p_1 = \frac{2}{2} $$
$$ p_2 = \frac{3}{4} $$
$$ p_3 = \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{4} + \frac{1}{4} \cdot \frac{2}{2} = \frac{3}{8} + \frac{2}{8} = \frac{5}{8} $$
$$ p_4 = \frac{1}{2} \cdot \frac{5}{8} + \frac{1}{4} \cdot \frac{3}{4} = \frac{5}{16} + \frac{3}{16} = \frac{8}{16} $$
$$ p_5 = \frac{1}{2} \cdot \frac{8}{16} + \frac{1}{4} \cdot \frac{5}{8} = \frac{8}{32} + \frac{5}{32} = \frac{13}{32} $$
$$ p_6 = \frac{1}{2} \cdot \frac{13}{32} + \frac{1}{4} \cdot \frac{8}{16} = \frac{13}{64} + \frac{8}{64} = \frac{21}{64} $$
$$ p_7 = \frac{1}{2} \cdot \frac{21}{64} + \frac{1}{4} \cdot \frac{13}{32} = \frac{21}{128} + \frac{13}{128} = \frac{34}{128} $$
$$ p_8 = \frac{1}{2} \cdot \frac{34}{128} + \frac{1}{4} \cdot \frac{21}{64} = \frac{34}{256} + \frac{21}{256} = \frac{55}{256} $$
$$ p_9 = \frac{1}{2} \cdot \frac{55}{256} + \frac{1}{4} \cdot \frac{34}{128} = \frac{55}{512} + \frac{34}{512} = \frac{89}{512} $$
$$ p_{10} = \frac{1}{2} \cdot \frac{89}{512} + \frac{1}{4} \cdot \frac{55}{256} = \frac{89}{1024} + \frac{55}{1024} = \frac{144}{1024} $$
これを約分して、以下の値を得る。
$$ p_{10} = \frac{9}{64} $$
解法2
(1)
硬貨を $n$ 回投げるとき、表が連続して出ないような出方の場合の数を $a_n$ 通りとする。すべての出方の総数は $2^n$ 通りであるから、確率 $p_n$ は以下のように表せる。
$$ p_n = \frac{a_n}{2^n} $$
ここで、表が連続しない出方について、1回目の出方で場合分けをして $a_n$ の漸化式を立てる。
(i) 1回目が裏である場合
残り $n-1$ 回の出方が、表が連続しない条件を満たせばよいので、その場合の数は $a_{n-1}$ 通りである。
(ii) 1回目が表である場合
2回目は必ず裏でなければならない。残り $n-2$ 回の出方が、表が連続しない条件を満たせばよいので、その場合の数は $a_{n-2}$ 通りである。
したがって、$a_n$ は以下の漸化式を満たす。
$$ a_n = a_{n-1} + a_{n-2} \quad (n \geqq 3) $$
この式の両辺を $2^n$ で割る。
$$ \frac{a_n}{2^n} = \frac{a_{n-1}}{2^n} + \frac{a_{n-2}}{2^n} $$
$$ \frac{a_n}{2^n} = \frac{1}{2} \cdot \frac{a_{n-1}}{2^{n-1}} + \frac{1}{4} \cdot \frac{a_{n-2}}{2^{n-2}} $$
$p_n = \frac{a_n}{2^n}$ であるから、以下の漸化式を得る。
$$ p_n = \frac{1}{2} p_{n-1} + \frac{1}{4} p_{n-2} \quad (n \geqq 3) $$
(2)
$n=1, 2$ のときの場合の数 $a_1, a_2$ を求める。
1回投げるとき、表が連続することはないため、表と裏の $a_1 = 2$ 通りである。
2回投げるとき、表が連続するのは (表, 表) のみであるから、全4通りからこれを除いて $a_2 = 3$ 通りである。
漸化式 $a_n = a_{n-1} + a_{n-2}$ を用いて $a_{10}$ まで順次計算する。(これはフィボナッチ数列である)
$$ a_3 = 3 + 2 = 5 $$
$$ a_4 = 5 + 3 = 8 $$
$$ a_5 = 8 + 5 = 13 $$
$$ a_6 = 13 + 8 = 21 $$
$$ a_7 = 21 + 13 = 34 $$
$$ a_8 = 34 + 21 = 55 $$
$$ a_9 = 55 + 34 = 89 $$
$$ a_{10} = 89 + 55 = 144 $$
したがって、求める確率 $p_{10}$ は以下のようになる。
$$ p_{10} = \frac{a_{10}}{2^{10}} = \frac{144}{1024} = \frac{9}{64} $$
解説
「特定の並びが含まれない」確率や場合の数を求める問題では、初回の試行結果による場合分けから隣接3項間漸化式を導くのが典型的な手法である。
特性方程式を解いて一般項 $p_n$ を $n$ の式で表すことも可能だが、無理数が現れるため計算が煩雑になる。本問のように $n=10$ 程度であれば、(2) で示したように漸化式を順次適用して具体的な値を求めていく方が早く、計算ミスも少ない。特に解法2のように場合の数(フィボナッチ数列)に帰着させる手法は、分数の計算を回避できるため実戦的である。
答え
(1) $p_n = \frac{1}{2} p_{n-1} + \frac{1}{4} p_{n-2}$
(2) $p_{10} = \frac{9}{64}$
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