名古屋大学 1964年 理系 第4問 解説

方針・初手
正三角形の重心、頂点、および各円の中心の位置関係を把握し、円 $O_1, O_2, O_3$ の半径を円 $O$ の半径 $r$ および正三角形の1辺の長さ $a$ を用いて表す。その後、4つの円の面積の和を $r$ の関数として立式し、二次関数の最大・最小問題に帰着させる。円 $O$ が正三角形の内部にあるという条件から、$r$ の変域を正しく設定することが重要である。
解法1
正三角形の頂点を $A, B, C$ とし、重心を $G$ とする。 正三角形の高さを $h$ とすると、$h = \frac{\sqrt{3}}{2}a$ である。
重心 $G$ から各辺までの距離は $\frac{1}{3}h = \frac{\sqrt{3}}{6}a$ であり、重心 $G$ から各頂点までの距離は $\frac{2}{3}h = \frac{\sqrt{3}}{3}a$ である。
円 $O$ は重心 $G$ を中心とし、正三角形の内部に含まれるため、その半径 $r$ のとりうる値の範囲は内接円の半径以下となる。すなわち、
$$ 0 \le r \le \frac{\sqrt{3}}{6}a $$
である。
対称性から、円 $O_1, O_2, O_3$ の半径はすべて等しい。これを $r_1$ とおく。 頂点 $A$ の付近にあり、辺 $AB, AC$ に接し、かつ円 $O$ に外接する円を $O_1$ とし、その中心を $P$ とする。 中心 $P$ は $\angle A$ の二等分線、すなわち線分 $AG$ 上に存在する。
円 $O_1$ は辺 $AB, AC$ に接するため、中心 $P$ から辺までの距離は $r_1$ である。 $\angle A = 60^\circ$ より、頂点 $A$ から中心 $P$ までの距離 $AP$ は、
$$ AP = \frac{r_1}{\sin 30^\circ} = 2r_1 $$
となる。
また、円 $O$ と円 $O_1$ は外接するため、中心間の距離 $PG$ は両者の半径の和に等しい。
$$ PG = r + r_1 $$
図形の配置から、頂点 $A$、円 $O_1$ の中心 $P$、重心 $G$ はこの順に一直線上に並ぶため、$AG = AP + PG$ が成り立つ。これに各長さを代入すると、
$$ \frac{\sqrt{3}}{3}a = 2r_1 + (r + r_1) $$
$$ 3r_1 + r = \frac{\sqrt{3}}{3}a $$
これを $r_1$ について解くと、
$$ r_1 = \frac{\sqrt{3}a - 3r}{9} $$
を得る。
4つの円の面積の和 $S$ は、円 $O$ の面積と3つの円 $O_1, O_2, O_3$ の面積の和であるから、
$$ \begin{aligned} S &= \pi r^2 + 3\pi r_1^2 \\ &= \pi r^2 + 3\pi \left( \frac{\sqrt{3}a - 3r}{9} \right)^2 \\ &= \pi r^2 + \frac{3\pi}{81} (3a^2 - 6\sqrt{3}ar + 9r^2) \\ &= \pi r^2 + \frac{\pi}{9} (a^2 - 2\sqrt{3}ar + 3r^2) \\ &= \frac{\pi}{9} (9r^2 + 3r^2 - 2\sqrt{3}ar + a^2) \\ &= \frac{\pi}{9} (12r^2 - 2\sqrt{3}ar + a^2) \end{aligned} $$
これを $r$ について平方完成する。
$$ \begin{aligned} S &= \frac{12\pi}{9} \left( r^2 - \frac{\sqrt{3}}{6}ar \right) + \frac{\pi}{9}a^2 \\ &= \frac{4\pi}{3} \left( r - \frac{\sqrt{3}}{12}a \right)^2 - \frac{4\pi}{3} \left( \frac{\sqrt{3}}{12}a \right)^2 + \frac{\pi}{9}a^2 \\ &= \frac{4\pi}{3} \left( r - \frac{\sqrt{3}}{12}a \right)^2 - \frac{\pi}{36}a^2 + \frac{4\pi}{36}a^2 \\ &= \frac{4\pi}{3} \left( r - \frac{\sqrt{3}}{12}a \right)^2 + \frac{\pi}{12}a^2 \end{aligned} $$
ここで、$r$ の変域は $0 \le r \le \frac{\sqrt{3}}{6}a$ である。 この二次関数の軸は $r = \frac{\sqrt{3}}{12}a$ であり、これは区間 $\left[ 0, \frac{\sqrt{3}}{6}a \right]$ のちょうど中点に位置している。
したがって、面積の和 $S$ は、 $r = \frac{\sqrt{3}}{12}a$ のとき、最小値 $\frac{\pi}{12}a^2$ をとる。 $r = 0$ または $r = \frac{\sqrt{3}}{6}a$ のとき、最大値 $\frac{\pi}{9}a^2$ をとる。
解説
幾何的な配置を数式に翻訳する力が問われる問題である。 正三角形の角に接する円の中心までの距離が、半径の $\frac{1}{\sin 30^\circ} = 2$ 倍になるという性質は、図形問題において頻出かつ強力な道具となる。面積の和が $r$ についての二次関数になるため、あとは定義域を正しく設定し、平方完成を行えばよい。「円が正三角形の内部にある」という条件から、変域の上端が内接円の半径になることを見落とさないように注意が必要である。
答え
最大値 $\frac{\pi}{9}a^2$、最小値 $\frac{\pi}{12}a^2$
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