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名古屋大学 1966年 理系 第4問 解説

数学B/数列数学3/微分法テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
名古屋大学 1966年 理系 第4問 解説

方針・初手

無限等比級数が収束するための条件から、初項 $a$ と公比 $r$ の関係式および $r$ のとりうる値の範囲を求めます。 その後、第 $n$ 項 $a_n$ を $r$ の関数として表し、微分を用いてその関数の値域を調べます。$n$ の値(特に $1$ かどうか、および $n \ge 2$ における偶奇)によって関数の挙動が変わるため、場合分けを行います。

解法1

無限等比級数の初項を $a$、公比を $r$、第 $n$ 項を $a_n$ とする。 この無限等比級数が収束して和が $1$ になるため、$a=0$ とすると和は $0$ となり不適である。したがって、初項 $a \neq 0$ であり、収束条件は $-1 < r < 1$ である。 このとき、和の公式より

$$\frac{a}{1-r} = 1$$

よって、$a = 1-r$ と表せる。

第 $n$ 項 $a_n$ は、

$$a_n = ar^{n-1} = (1-r)r^{n-1}$$

となる。$-1 < r < 1$ における $a_n$ のとりうる値の範囲を、$n$ で場合分けして求める。

(i) $n=1$ のとき

$$a_1 = 1-r$$

$-1 < r < 1$ であるから、各辺に $-1$ を掛けて $1$ を加えると、

$$0 < 1-r < 2$$

よって、$0 < a_1 < 2$ である。

(ii) $n \ge 2$ のとき

$f(r) = (1-r)r^{n-1} = r^{n-1} - r^n$ とおいて、区間 $-1 < r < 1$ における $f(r)$ の値域を調べる。 $f(r)$ を $r$ で微分すると、

$$\begin{aligned} f'(r) &= (n-1)r^{n-2} - nr^{n-1} \\ &= r^{n-2} \{ (n-1) - nr \} \\ &= -n r^{n-2} \left( r - \frac{n-1}{n} \right) \end{aligned}$$

$f'(r) = 0$ となるのは、$r = 0, \frac{n-1}{n}$ のときである。($r=0$ は $n \ge 3$ のときのみ現れる) ここで、$0 < \frac{n-1}{n} < 1$ である。 $r=0$ における $f'(r)$ の符号の変化は $n-2$ の偶奇、すなわち $n$ の偶奇によって異なるため、さらに場合分けを行う。

(ア) $n$ が偶数のとき

$n-2$ も偶数であるから、$r \neq 0$ のとき $r^{n-2} > 0$ となる。 したがって、$f'(r)$ の符号は $r - \frac{n-1}{n}$ の符号の逆となり、$r = \frac{n-1}{n}$ の前後でのみ符号が正から負へ変化する。 ($r=0$ では $f'(0)=0$ となるが、その前後で $f'(r)$ の符号は正のままで変わらない。) $-1 < r < 1$ における $f(r)$ の増減表は次のようになる。

$r$ $(-1)$ $\cdots$ $\frac{n-1}{n}$ $\cdots$ $(1)$
$f'(r)$ $+$ $0$ $-$
$f(r)$ $(-2)$ $\nearrow$ 極大かつ最大 $\searrow$ $(0)$

また、区間の両端における極限は、

$$\lim_{r \to -1+0} f(r) = 2 \cdot (-1)^{n-1} = -2 \quad (\text{$n-1$は奇数})$$

$$\lim_{r \to 1-0} f(r) = 0$$

最大値は、

$$f\left(\frac{n-1}{n}\right) = \left( 1 - \frac{n-1}{n} \right) \left( \frac{n-1}{n} \right)^{n-1} = \frac{1}{n} \cdot \frac{(n-1)^{n-1}}{n^{n-1}} = \frac{(n-1)^{n-1}}{n^n}$$

以上より、$n$ が偶数のときの $a_n$ のとりうる値の範囲は

$$-2 < a_n \le \frac{(n-1)^{n-1}}{n^n}$$

(イ) $n$ が奇数のとき

$n$ は $3$ 以上の奇数となる。$n-2$ は奇数であるから、$r^{n-2}$ は $r$ と同符号になる。 したがって、$f'(r)$ は $r=0$ と $r = \frac{n-1}{n}$ の両方の前後で符号が変化する。 $-1 < r < 1$ における $f(r)$ の増減表は次のようになる。

$r$ $(-1)$ $\cdots$ $0$ $\cdots$ $\frac{n-1}{n}$ $\cdots$ $(1)$
$f'(r)$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$
$f(r)$ $(2)$ $\searrow$ $0$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ $(0)$

区間の両端における極限は、

$$\lim_{r \to -1+0} f(r) = 2 \cdot (-1)^{n-1} = 2 \quad (\text{$n-1$は偶数})$$

$$\lim_{r \to 1-0} f(r) = 0$$

極大値 $f\left(\frac{n-1}{n}\right)$ について、

$$f\left(\frac{n-1}{n}\right) = \frac{(n-1)^{n-1}}{n^n} = \frac{1}{n} \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{n-1}$$

ここで $n \ge 3$ より $\frac{1}{n} < 1$ かつ $\left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{n-1} < 1$ であるから、極大値は $1$ より小さく、当然 $2$ よりも小さい。 したがって、最大値は存在せず、上限は $2$ となる。 最小値は $f(0) = 0$ である。 以上より、$n$ が奇数($n \ge 3$)のときの $a_n$ のとりうる値の範囲は

$$0 \le a_n < 2$$

解説

無限等比級数の収束条件を用いて公比 $r$ の範囲と初項 $a$ を特定し、第 $n$ 項を $r$ の関数として捉える典型問題です。 関数 $f(r) = (1-r)r^{n-1}$ の増減を調べる際、$r=0$ における微係数の符号変化が $n$ の偶奇に依存することを見抜けるかがポイントとなります。増減表を作成する際は、両端点での極限値をしっかり求めて上限と下限を比較することが重要です。

答え

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