東京工業大学 2019年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) 与えられた関数 $f(x)$ を微分し、導関数の符号を調べる。一回の微分で符号が確定しない場合は、さらに微分するか極限を調べるのが定石である。
(2) 正の項からなる数列 $\{b_k\}$ の最大値を求めるため、隣接する2項の比 $\frac{b_{k+1}}{b_k}$ と $1$ の大小関係を調べる。(1)の結果が利用できるように、比の対数をとって式変形を行う。
解法1
(1)
与えられた関数は以下のように表せる。
$$ f(x) = (x+1)\log\left(1+\frac{1}{x}\right) = (x+1)\{\log(x+1) - \log x\} $$
両辺を $x$ で微分すると、積の微分法と合成関数の微分法より以下のようになる。
$$ f'(x) = 1 \cdot \log\left(1+\frac{1}{x}\right) + (x+1) \cdot \frac{1}{1+\frac{1}{x}} \cdot \left(-\frac{1}{x^2}\right) $$
式を整理する。
$$ f'(x) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x} $$
ここで、$g(x) = f'(x) = \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x}$ とおく。
$g(x)$ を $x$ で微分する。
$$ g'(x) = \frac{1}{1+\frac{1}{x}} \cdot \left(-\frac{1}{x^2}\right) - \left(-\frac{1}{x^2}\right) = -\frac{1}{x(x+1)} + \frac{1}{x^2} $$
通分して整理する。
$$ g'(x) = \frac{-x + (x+1)}{x^2(x+1)} = \frac{1}{x^2(x+1)} $$
$x>0$ において、$x^2(x+1) > 0$ であるから $g'(x) > 0$ となる。
したがって、$g(x)$ は $x>0$ において単調に増加する。
また、$x \to \infty$ のときの $g(x)$ の極限を調べる。
$$ \lim_{x \to \infty} g(x) = \lim_{x \to \infty} \left\{ \log\left(1+\frac{1}{x}\right) - \frac{1}{x} \right\} = \log 1 - 0 = 0 $$
これと $g(x)$ が単調増加であることから、$x>0$ において $g(x) < 0$ が成り立つ。
すなわち $f'(x) < 0$ であるから、関数 $f(x)$ は $x>0$ で減少する。(証明終)
(2)
$a>0$ よりすべての $k$ に対して $b_k > 0$ であるから、数列 $\{b_k\}$ の隣接2項の比 $\frac{b_{k+1}}{b_k}$ を考える。
$$ \frac{b_{k+1}}{b_k} = \frac{(k+2)^{k+2}}{a^{k+1}(k+1)!} \cdot \frac{a^k k!}{(k+1)^{k+1}} $$
約分して整理する。
$$ \frac{b_{k+1}}{b_k} = \frac{1}{a} \cdot \frac{1}{k+1} \cdot \frac{(k+2)^{k+2}}{(k+1)^{k+1}} = \frac{1}{a} \cdot \frac{(k+2)^{k+2}}{(k+1)^{k+2}} $$
指数をまとめる。
$$ \frac{b_{k+1}}{b_k} = \frac{1}{a} \left(\frac{k+2}{k+1}\right)^{k+2} = \frac{1}{a} \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+2} $$
ここで、$\frac{b_{k+1}}{b_k}$ と $1$ の大小関係は、両辺の自然対数をとった $\log\frac{b_{k+1}}{b_k}$ と $0$ の大小関係と一致する。
$$ \log\frac{b_{k+1}}{b_k} = \log\left\{ \frac{1}{a} \left(1+\frac{1}{k+1}\right)^{k+2} \right\} = (k+2)\log\left(1+\frac{1}{k+1}\right) - \log a $$
(1)の $f(x)$ を用いると、次のように表せる。
$$ \log\frac{b_{k+1}}{b_k} = f(k+1) - \log a $$
一方、$a$ の値について調べる。
$$ a = \frac{2^8}{3^4} = \left(\frac{4}{3}\right)^4 = \left(1+\frac{1}{3}\right)^4 $$
これより、$\log a$ は次のように表せる。
$$ \log a = \log\left(1+\frac{1}{3}\right)^4 = 4\log\left(1+\frac{1}{3}\right) = f(3) $$
したがって、対数をとった比は次のように書き換えられる。
$$ \log\frac{b_{k+1}}{b_k} = f(k+1) - f(3) $$
(1)より $f(x)$ は $x>0$ で減少する関数であるから、以下の大小関係が成り立つ。
$k+1 < 3$ すなわち $k=1$ のとき、$f(k+1) > f(3)$ より $\log\frac{b_{k+1}}{b_k} > 0$ すなわち $b_{k+1} > b_k$
$k+1 = 3$ すなわち $k=2$ のとき、$f(k+1) = f(3)$ より $\log\frac{b_{k+1}}{b_k} = 0$ すなわち $b_{k+1} = b_k$
$k+1 > 3$ すなわち $k \ge 3$ のとき、$f(k+1) < f(3)$ より $\log\frac{b_{k+1}}{b_k} < 0$ すなわち $b_{k+1} < b_k$
よって、数列 $\{b_k\}$ の各項の大小関係は以下のようになる。
$$ b_1 < b_2 = b_3 > b_4 > b_5 > \cdots $$
ゆえに、数列 $\{b_k\}$ は $k=2$ および $k=3$ のとき最大値をとる。
その最大値 $M$ は $b_2$ の値として計算できる。
$$ M = b_2 = \frac{(2+1)^{2+1}}{a^2 \cdot 2!} = \frac{3^3}{\left(\frac{2^8}{3^4}\right)^2 \cdot 2} $$
分母分子を整理する。
$$ M = \frac{27}{\frac{2^{16}}{3^8} \cdot 2} = \frac{27 \cdot 3^8}{2 \cdot 2^{16}} = \frac{3^{11}}{2^{17}} $$
ここで、$3^{11} = 177147$、$2^{17} = 131072$ であり、これらは互いに素であるため既約分数である。
$$ M = \frac{177147}{131072} $$
解説
数列の最大値を求めるにあたり、隣接2項の比 $\frac{b_{k+1}}{b_k}$ と $1$ の大小を比較する定石を用いる問題である。(1)で与えられた関数 $f(x)$ が、(2)で比の対数を取った形にそのまま現れる構造に気づくことが重要である。また、定数 $a$ の値が $\log a = f(3)$ を満たすようにうまく設定されているため、自然な流れで関数の単調減少性を利用し、最大となる項の番号を特定することができる。
答え
(1)
関数 $f(x)$ は $x>0$ で減少する。
(2)
$$ M = \frac{177147}{131072} $$
最大値をとるのは
$$ k = 2, 3 $$
のときである。
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