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名古屋大学 1968年 理系 第3問 解説

数学C/平面ベクトル数学1/命題と集合テーマ/図形総合テーマ/存在証明
名古屋大学 1968年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) はベクトルの始点をどちらかの定点(例えば $A$)にそろえ、位置ベクトル $\overrightarrow{AP}$ が $\overrightarrow{AB}$ の実数倍で表されることを示します。その際、係数のとり得る値の範囲から、点 $P$ が直線 $AB$ 上のどの部分を動くかを判定します。

(2) は (1) の拡張です。係数の和が $1$ であることを利用して変数を減らすか、部分的な和でくくって次元を下げて考えます。3点についての同様の式が三角形の周および内部を表すことを踏まえ、点 $P$ の存在範囲を特定します。4点の位置関係によって図形の形状が変わることに注意が必要です。

解法1

(1)

与えられた式 $\overrightarrow{OP} = t\overrightarrow{OA} + (1 - t)\overrightarrow{OB}$ について、始点を $A$ に変更して整理する。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{AP} &= \overrightarrow{OP} - \overrightarrow{OA} \\ &= t\overrightarrow{OA} + (1 - t)\overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA} \\ &= (t - 1)\overrightarrow{OA} + (1 - t)\overrightarrow{OB} \\ &= (1 - t)(\overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA}) \\ &= (1 - t)\overrightarrow{AB} \end{aligned} $$

ここで、$0 \leqq t \leqq 1$ であるから、各辺に $-1$ を掛けて $1$ を加えると、

$$ 0 \leqq 1 - t \leqq 1 $$

が成り立つ。 $s = 1 - t$ とおくと、$0 \leqq s \leqq 1$ であり、

$$ \overrightarrow{AP} = s\overrightarrow{AB} $$

と表せる。 これは、点 $P$ が点 $A$ を始点とし、点 $B$ の方向へ線分 $AB$ の長さの $s$ 倍だけ進んだ位置にあることを示している。$s$ が $0$ から $1$ まで変化するため、点 $P$ は点 $A$ から点 $B$ までを両端を含んで連続的に動く。 したがって、点 $P$ は線分 $AB$ 上を動くことが証明された。

(2)

与えられた式は以下の通りである。

$$ \overrightarrow{OP} = t_1\overrightarrow{OA_1} + t_2\overrightarrow{OA_2} + t_3\overrightarrow{OA_3} + t_4\overrightarrow{OA_4} $$

条件は $t_1, t_2, t_3, t_4 \geqq 0$ かつ $t_1 + t_2 + t_3 + t_4 = 1$ である。

$t_4 = 1$ のとき、条件より $t_1 = t_2 = t_3 = 0$ となり、$\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA_4}$ すなわち点 $P$ は点 $A_4$ に一致する。

$t_4 \neq 1$ のとき、$0 \leqq t_4 < 1$ であり、$t_1 + t_2 + t_3 = 1 - t_4 > 0$ である。 $\overrightarrow{OP}$ の式を次のように変形する。

$$ \overrightarrow{OP} = (1 - t_4) \frac{t_1\overrightarrow{OA_1} + t_2\overrightarrow{OA_2} + t_3\overrightarrow{OA_3}}{1 - t_4} + t_4\overrightarrow{OA_4} $$

ここで、新しい係数 $s_1, s_2, s_3$ を次のように定める。

$$ s_1 = \frac{t_1}{1 - t_4}, \quad s_2 = \frac{t_2}{1 - t_4}, \quad s_3 = \frac{t_3}{1 - t_4} $$

このとき、$t_1, t_2, t_3 \geqq 0$ より $s_1, s_2, s_3 \geqq 0$ であり、

$$ s_1 + s_2 + s_3 = \frac{t_1 + t_2 + t_3}{1 - t_4} = \frac{1 - t_4}{1 - t_4} = 1 $$

が成り立つ。 ここで、点 $Q$ を

$$ \overrightarrow{OQ} = s_1\overrightarrow{OA_1} + s_2\overrightarrow{OA_2} + s_3\overrightarrow{OA_3} $$

を満たす点とする。点 $Q$ は、3点 $A_1, A_2, A_3$ に対して重心座標の条件(係数が非負で和が $1$)を満たすため、点 $Q$ の存在範囲は、3点 $A_1, A_2, A_3$ を頂点とする三角形の周および内部である(ただし、3点が同一直線上にある場合は線分となる)。

この点 $Q$ を用いると、点 $P$ の位置ベクトルは次のように表される。

$$ \overrightarrow{OP} = (1 - t_4)\overrightarrow{OQ} + t_4\overrightarrow{OA_4} $$

$0 \leqq t_4 < 1$ であるため、(1) の結果から、点 $P$ は線分 $QA_4$ 上にあることがわかる($t_4 = 1$ のときの $P = A_4$ も線分 $QA_4$ の端点として含まれる)。

点 $Q$ が $\triangle A_1 A_2 A_3$ の周および内部のすべての点を動くとき、線分 $QA_4$ の通過領域は、4点 $A_1, A_2, A_3, A_4$ をすべて含む最小の凸多角形の周および内部となる。 具体的には、4点の位置関係によって以下の図形になる。

(i) 4点 $A_1, A_2, A_3, A_4$ が凸四角形の頂点をなすとき 点 $P$ はその凸四角形 $A_1 A_2 A_3 A_4$ の周および内部にある。

(ii) 4点のうち3点が三角形を作り、残りの1点がその三角形の内部または周上にあるとき 点 $P$ はその三角形の周および内部にある。

(iii) 4点がすべて同一直線上にあるとき 点 $P$ は4点のうち、最も離れた2点を両端とする線分上にある。

解説

複数の点の位置ベクトルに対して、係数がすべて $0$ 以上であり、かつその総和が $1$ であるような一次結合を「凸結合(とつけつごう)」と呼びます。与えられた点集合のすべての凸結合からなる集合は、それらの点を含む最小の凸図形となり、これを「凸包(とつほう)」と呼びます。

本問の (2) は「どのような図形上にあるか」と問われているため、「4点を頂点とする四角形の周および内部」とだけ答えると、4点が凹四角形になる場合や三角形になる場合(1点が他の3点で作る三角形の内部にある場合)などを考慮できておらず、不十分な解答となる恐れがあります。そのため、解答例のように位置関係による場合分けを行うか、「4点を含む最小の凸多角形(凸包)」という表現を用いて網羅的に記述することが重要です。

答え

(1) 解説内の証明の通り。

(2) 4点 $A_1, A_2, A_3, A_4$ の位置関係に応じて、以下の図形上にある。 ・4点が凸四角形をなすとき、その凸四角形の周および内部 ・3点が三角形をなし、残り1点がその内部または周上にあるとき、その三角形の周および内部 ・4点が同一直線上にあるとき、その4点のうち最も離れた2点を両端とする線分 (これらを総称して、4点 $A_1, A_2, A_3, A_4$ を含む最小の凸多角形の周および内部とも言える)

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