名古屋大学 1972年 文系 第1問 解説

方針・初手
与えられたベクトルの等式を、特定の点(頂点の1つや任意の原点など)を始点とするベクトルに書き換えることで、4点 $A, B, C, D$ の図形的な位置関係を明らかにする。
解法1
始点を点 $A$ に統一して与式を変形する。
$$ \overrightarrow{CP} = \overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AC} $$
$$ \overrightarrow{BP} = \overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AB} $$
$$ \overrightarrow{DP} = \overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AD} $$
これらを与えられた等式 $\overrightarrow{AP} + \overrightarrow{CP} = \overrightarrow{BP} + \overrightarrow{DP}$ に代入すると、
$$ \overrightarrow{AP} + (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AC}) = (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AB}) + (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AD}) $$
両辺を整理して、
$$ 2\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AC} = 2\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AB} - \overrightarrow{AD} $$
$$ -\overrightarrow{AC} = -\overrightarrow{AB} - \overrightarrow{AD} $$
$$ \overrightarrow{AC} = \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{AD} $$
この等式は、点 $C$ が点 $A$ を基準として、ベクトル $\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{AD}$ の和の位置にあることを示している。 すなわち、線分 $AB$ と $AD$ を隣り合う2辺とする平行四辺形の第4の頂点が $C$ である。
したがって、4辺形 $ABCD$ は平行四辺形である。
解法2
任意の点 $O$ を基準とする位置ベクトルを考える。 各点 $A, B, C, D, P$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}, \vec{d}, \vec{p}$ とおく。
与えられた等式を位置ベクトルで表すと、
$$ (\vec{p} - \vec{a}) + (\vec{p} - \vec{c}) = (\vec{p} - \vec{b}) + (\vec{p} - \vec{d}) $$
両辺を展開して整理すると、
$$ 2\vec{p} - \vec{a} - \vec{c} = 2\vec{p} - \vec{b} - \vec{d} $$
$$ -\vec{a} - \vec{c} = -\vec{b} - \vec{d} $$
$$ \vec{a} + \vec{c} = \vec{b} + \vec{d} $$
両辺を $2$ で割ると、
$$ \frac{\vec{a} + \vec{c}}{2} = \frac{\vec{b} + \vec{d}}{2} $$
左辺は線分 $AC$ の中点の位置ベクトルを表し、右辺は線分 $BD$ の中点の位置ベクトルを表している。 この等式より、対角線 $AC$ の中点と対角線 $BD$ の中点が一致することがわかる。
対角線がそれぞれの中点で交わる4辺形は平行四辺形であるから、4辺形 $ABCD$ は平行四辺形である。
解説
ベクトルの等式から図形の性質(形状)を決定する典型的な問題である。 どのようなベクトルの図形問題でも、「始点を統一する」ことが最も基本かつ強力な方針となる。 解法1のように頂点の1つ(ここでは $A$)を始点とするか、解法2のように任意の原点 $O$ からの位置ベクトルで考えるかの2通りのアプローチが考えられる。 特に解法2において現れる「対角線の中点が一致する」という条件は、四角形が平行四辺形になるための図形的な必要十分条件として頻出であるため、式から図形的意味をすぐに連想できるようにしておきたい。
答え
平行四辺形
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











