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名古屋大学 1972年 理系 第1問 解説

数学C/平面ベクトル数学1/方程式不等式テーマ/不等式の証明テーマ/図形総合
名古屋大学 1972年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) はベクトルの始点をいずれかの1点に統一し、関係式を整理する。図形的な意味が明確になるように式を変形することがポイントである。

(2) は不等式の両辺に現れる分数式 $\frac{x}{1+x}$ の形に着目する。これを $1 - \frac{1}{1+x}$ と変形することで、全体を評価しやすい和の形に帰着させる。

解法1

(1)

与えられた等式 $$\overrightarrow{AP} + \overrightarrow{CP} = \overrightarrow{BP} + \overrightarrow{DP}$$ について、すべてのベクトルの始点を $A$ に統一する。

$$\overrightarrow{AP} + (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AC}) = (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AB}) + (\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AD})$$

これを整理すると

$$2\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AC} = 2\overrightarrow{AP} - \overrightarrow{AB} - \overrightarrow{AD}$$

$$-\overrightarrow{AC} = -\overrightarrow{AB} - \overrightarrow{AD}$$

$$\overrightarrow{AC} = \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{AD}$$

四角形 $ABCD$ において、この等式が成り立つことは、点 $B$ と点 $D$ を頂点とし、線分 $AB, AD$ を隣り合う2辺とする平行四辺形の第4の頂点が $C$ であることを意味する。

したがって、この4辺形 $ABCD$ は平行四辺形である。

(2)

$S = x_1 + x_2 + \dots + x_n$ とおく。不等式の左辺は次のように変形できる。

$$\frac{S}{1+S} = 1 - \frac{1}{1+S}$$

また、右辺も同様に変形すると

$$\frac{1}{n} \left( \frac{x_1}{1+x_1} + \frac{x_2}{1+x_2} + \dots + \frac{x_n}{1+x_n} \right) = \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{x_k}{1+x_k}$$

$$= \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left( 1 - \frac{1}{1+x_k} \right) = 1 - \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{1}{1+x_k}$$

となる。ここで、$x_k \geqq 0$ ($k = 1, 2, \dots, n$) であるから、任意の $k$ に対して

$$x_k \leqq x_1 + x_2 + \dots + x_n = S$$

が成り立つ。両辺に $1$ を加えると

$$1 + x_k \leqq 1 + S$$

両辺は正であるから、逆数をとって大小関係を反転させると

$$\frac{1}{1+x_k} \geqq \frac{1}{1+S}$$

この不等式について、$k=1, 2, \dots, n$ での辺々の和をとると

$$\sum_{k=1}^n \frac{1}{1+x_k} \geqq \sum_{k=1}^n \frac{1}{1+S} = \frac{n}{1+S}$$

両辺を $n$ で割ると

$$\frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{1}{1+x_k} \geqq \frac{1}{1+S}$$

さらに、両辺に $-1$ を掛けて大小関係を反転させ、$1$ を加えると

$$1 - \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{1}{1+x_k} \leqq 1 - \frac{1}{1+S}$$

先の変形より、これは与えられた不等式

$$\frac{1}{n} \left( \frac{x_1}{1+x_1} + \dots + \frac{x_n}{1+x_n} \right) \leqq \frac{x_1 + x_2 + \dots + x_n}{1 + x_1 + x_2 + \dots + x_n}$$

を示している。したがって、題意は示された。

解説

(1) はベクトルの和と差の分解を用いる基本問題である。始点を1つに統一する定石に従えば、容易に解答にたどり着ける。

(2) は見かけによらず、各項の分子の次数を下げて $1 - \frac{1}{1+x}$ と変形することで、自明な不等式 $1+x_k \leqq 1+S$ に帰着できるかが鍵となる。関数 $f(x) = \frac{x}{1+x}$ の上に凸な性質を利用する「イェンセンの不等式」を背景に持つ問題だが、本問のように式の形を整えることで、高校数学の範囲内で初等的に証明することが可能である。

答え

(1) 平行四辺形

(2) (証明終)

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