名古屋大学 1975年 理系 第5問 解説

方針・初手
さいころの目の積が $4$ になるためには、出た目が $1$、$2$、$4$ のいずれかのみで構成され、かつ「$4$ が $1$ 回、残りはすべて $1$」または「$2$ が $2$ 回、残りはすべて $1$」となる必要がある。(1)では $k$ 回目にはじめて積が $4$ になるための目の出方を具体的に考え、その確率を求める。(2)では、(1)で求めた確率 $p$ を $k=1$ から $n$ まで足し合わせることで、「$n$ 回目までのどこかで $4$ となる確率」を求める。等差数列と等比数列の積の和の計算となる。
解法1
(1)
$k$ 回目にはじめて目の数の積が $4$ となるのは、以下のいずれかの場合である。
(i) $k$ 回目に $4$ の目が出て、それ以前の $k-1$ 回はすべて $1$ の目が出る場合。 この確率は、
$$ \left( \frac{1}{6} \right)^{k-1} \times \frac{1}{6} = \left( \frac{1}{6} \right)^k $$
(これは $k=1$ のときも、$1$ 回目に $4$ が出る確率 $\frac{1}{6}$ として成り立つ)
(ii) $k$ 回目に $2$ の目が出て、それ以前の $k-1$ 回のうち $1$ 回だけ $2$ の目が出て、残りの $k-2$ 回はすべて $1$ の目が出る場合。 この場合、$k \geqq 2$ である必要がある。$k-1$ 回のうち $2$ の目が出る $1$ 回の選び方は $k-1$ 通りあるので、その確率は、
$$ (k-1) \times \frac{1}{6} \times \left( \frac{1}{6} \right)^{k-2} \times \frac{1}{6} = (k-1) \left( \frac{1}{6} \right)^k $$
(これは $k=1$ のとき、確率は $0$ となり不適であるが、式自体は $0 \times \left( \frac{1}{6} \right)^1 = 0$ となり矛盾しない)
(i) と (ii) は互いに排反であるから、求める確率 $p$ は、これらの和となる。
$$ p = \left( \frac{1}{6} \right)^k + (k-1) \left( \frac{1}{6} \right)^k = k \left( \frac{1}{6} \right)^k $$
(2)
「目の数の積が $n$ 回目までのどこかで $4$ となる」という事象は、「$1$ 回目にはじめて積が $4$ となる」、「$2$ 回目にはじめて積が $4$ となる」、……、「$n$ 回目にはじめて積が $4$ となる」という $n$ 個の互いに排反な事象の和事象である。
したがって、求める確率は、(1)で求めた確率 $p$ を $k=1$ から $n$ まで足し合わせたものになる。これを $S_n$ とおくと、
$$ S_n = \sum_{k=1}^n k \left( \frac{1}{6} \right)^k $$
である。和を書き下すと、
$$ S_n = 1 \cdot \frac{1}{6} + 2 \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^2 + 3 \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^3 + \cdots + n \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^n $$
この両辺に $\frac{1}{6}$ を掛けると、
$$ \frac{1}{6} S_n = 1 \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^2 + 2 \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^3 + \cdots + (n-1) \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^n + n \cdot \left( \frac{1}{6} \right)^{n+1} $$
上の式から下の式を辺々引くと、
$$ \frac{5}{6} S_n = \frac{1}{6} + \left( \frac{1}{6} \right)^2 + \left( \frac{1}{6} \right)^3 + \cdots + \left( \frac{1}{6} \right)^n - n \left( \frac{1}{6} \right)^{n+1} $$
右辺の第 $1$ 項から第 $n$ 項までは、初項 $\frac{1}{6}$、公比 $\frac{1}{6}$、項数 $n$ の等比数列の和であるから、
$$ \frac{5}{6} S_n = \frac{\frac{1}{6} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{6} \right)^n \right\}}{1 - \frac{1}{6}} - n \left( \frac{1}{6} \right)^{n+1} $$
$$ \frac{5}{6} S_n = \frac{1}{5} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{6} \right)^n \right\} - \frac{n}{6} \left( \frac{1}{6} \right)^n $$
両辺に $\frac{6}{5}$ を掛けて整理する。
$$ \begin{aligned} S_n &= \frac{6}{25} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{6} \right)^n \right\} - \frac{n}{5} \left( \frac{1}{6} \right)^n \\ &= \frac{6}{25} - \left( \frac{6}{25} + \frac{n}{5} \right) \left( \frac{1}{6} \right)^n \\ &= \frac{6 - (5n + 6) \left( \frac{1}{6} \right)^n}{25} \end{aligned} $$
解説
(1)は事象を正しく把握し、抜け漏れなく場合分けする力が問われる。積が $4$ になるためには素因数として $2$ がちょうど $2$ 個必要であり、$3$ や $5$ は含まれてはいけない。したがって、出てもよい目は $1$、$2$、$4$ のみである。
(2)は(1)が誘導となっており、「はじめて条件を満たす確率」を足し合わせることで「どこかで条件を満たす確率」を求める典型的な手法である。計算においては「(等差数列)×(等比数列)」の和の公式の導出過程(公比を掛けてずらして引く)を用いる基本事項の確認となっている。
答え
(1) $p = k \left( \frac{1}{6} \right)^k$
(2) $\frac{6 - (5n + 6) \left( \frac{1}{6} \right)^n}{25}$
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