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名古屋大学 1975年 理系 第6問 解説

数学2/積分法数学2/微分法テーマ/不等式の証明
名古屋大学 1975年 理系 第6問 解説

方針・初手

証明すべき不等式の右辺にある積分 $\int_0^1 f(x) dx$ を、区間 $[0, a]$ と $[a, 1]$ に分割して整理する。これにより、示すべき不等式を $[0, a]$ における積分と $[a, 1]$ における積分の比較に帰着させることができる。その後、増加関数であるという条件から、$x=a$ における関数の値 $f(a)$ を基準としてそれぞれの区間で $f(x)$ を評価し、不等式を導く。

解法1

示すべき不等式は以下の通りである。

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_0^1 f(x) dx $$

この右辺の積分区間を $x=a$ で分割すると、次のように変形できる。

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq a \left( \int_0^a f(x) dx + \int_a^1 f(x) dx \right) $$

展開して移項すると、以下のようになる。

$$ (1-a) \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_a^1 f(x) dx $$

したがって、この不等式が成り立つことを示せばよい。

区間 $0 \leqq x \leqq a$ において、$f(x)$ は増加関数であるから、つねに $f(x) \leqq f(a)$ が成り立つ。この両辺を $0$ から $a$ まで積分すると、以下のようになる。

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq \int_0^a f(a) dx $$

右辺の定積分を計算すると $f(a) \cdot a$ となるため、

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq a f(a) \quad \cdots \text{①} $$

を得る。

同様に、区間 $a \leqq x \leqq 1$ において、$f(x)$ は増加関数であるから、つねに $f(a) \leqq f(x)$ が成り立つ。この両辺を $a$ から $1$ まで積分すると、以下のようになる。

$$ \int_a^1 f(a) dx \leqq \int_a^1 f(x) dx $$

左辺の定積分を計算すると $f(a) \cdot (1-a)$ となるため、

$$ (1-a) f(a) \leqq \int_a^1 f(x) dx \quad \cdots \text{②} $$

を得る。

条件より $0 < a < 1$ であるため、$a > 0$ かつ $1-a > 0$ である。 不等式①の両辺に正の値 $1-a$ を掛けると、

$$ (1-a) \int_0^a f(x) dx \leqq a(1-a) f(a) \quad \cdots \text{③} $$

となる。また、不等式②の両辺に正の値 $a$ を掛けると、

$$ a(1-a) f(a) \leqq a \int_a^1 f(x) dx \quad \cdots \text{④} $$

となる。

不等式③と④から、以下の不等式が成り立つ。

$$ (1-a) \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_a^1 f(x) dx $$

これを展開して整理すると、

$$ \int_0^a f(x) dx - a \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_a^1 f(x) dx $$

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq a \left( \int_0^a f(x) dx + \int_a^1 f(x) dx \right) $$

積分区間の性質から右辺の括弧内は $\int_0^1 f(x) dx$ に等しいため、

$$ \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_0^1 f(x) dx $$

となり、題意の不等式が成り立つことが示された。

解説

関数の単調性を利用して定積分の不等式を証明する典型問題である。与えられた不等式をそのまま扱うのではなく、積分区間を $[0, a]$ と $[a, 1]$ に分割し、式を $(1-a) \int_0^a f(x) dx \leqq a \int_a^1 f(x) dx$ の形に同値変形できるかが最大のポイントとなる。

このように変形した式の両辺を正の値 $a(1-a)$ で割ると、以下の式が得られる。

$$ \frac{1}{a} \int_0^a f(x) dx \leqq \frac{1}{1-a} \int_a^1 f(x) dx $$

この式の左辺は区間 $[0, a]$ における関数 $f(x)$ の平均値を表し、右辺は区間 $[a, 1]$ における平均値を表している。関数が増加関数であるならば、後半の区間における平均値の方が大きくなるという、直感的に自然な事実の証明に帰着されていることがわかる。証明の際は、境界となる $x=a$ における関数の値 $f(a)$ を用いて各区間の積分値を評価すればよい。

答え

題意の不等式が成り立つことが示された。(証明は解法1の通り)

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