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名古屋大学 1977年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学2/指数対数テーマ/場合分けテーマ/速度・距離
名古屋大学 1977年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 与えられた式は $\frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n})$ の $n \to \infty$ における極限である。対数の性質を用いて式を変形し、$a^n$ と $a^{2n}$ のうち $n \to \infty$ で支配的となる項をくくり出すことが定石である。$a$ の値の範囲によって極限の振る舞いが変わるため、場合分けを行う。

(2) さいころを投げる試行は独立であり、奇数と偶数が出る確率はともに $\frac{1}{2}$ である。8回投げて奇数が出た回数を変数として設定し、点 P の座標とその原点からの距離を表す。距離が $6$ 以下となるような奇数の出る回数の条件を求め、反復試行の確率の公式を用いて計算する。

解法1

(1)

求める極限は $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n})$ である。

底 $a$ の値によって場合分けを行う。

(i) $0 < a < 1$ のとき

$a^n > a^{2n}$ であるから、対数の中身を $a^n$ でくくり出す。

$$ \frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n}) = \frac{1}{n} \log \left\{ a^n (1 + a^n) \right\} = \frac{1}{n} \left\{ \log a^n + \log (1 + a^n) \right\} = \log a + \frac{1}{n} \log (1 + a^n) $$

$n \to \infty$ のとき $a^n \to 0$ であるから、$\frac{1}{n} \log (1 + a^n) \to 0 \cdot \log 1 = 0$ となる。

したがって、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n}) = \log a $$

(ii) $a = 1$ のとき

$$ \frac{1}{n} \log(1^n + 1^{2n}) = \frac{1}{n} \log 2 $$

$n \to \infty$ のとき、この極限は $0$ となる。

これは、(i) の結果において $a = 1$ としたときの値 $\log 1 = 0$ と一致する。

(iii) $a > 1$ のとき

$a^{2n} > a^n$ であるから、対数の中身を $a^{2n}$ でくくり出す。

$$ \frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n}) = \frac{1}{n} \log \left\{ a^{2n} (a^{-n} + 1) \right\} = \frac{1}{n} \left\{ \log a^{2n} + \log (1 + a^{-n}) \right\} = 2 \log a + \frac{1}{n} \log (1 + a^{-n}) $$

$n \to \infty$ のとき $a^{-n} \to 0$ であるから、$\frac{1}{n} \log (1 + a^{-n}) \to 0 \cdot \log 1 = 0$ となる。

したがって、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \log(a^n + a^{2n}) = 2 \log a $$

以上より、求める極限は、$0 < a \leqq 1$ のとき $\log a$、$a > 1$ のとき $2 \log a$ である。

(2)

さいころを1回投げて奇数が出る確率は $\frac{1}{2}$、偶数が出る確率は $\frac{1}{2}$ である。

8回投げて奇数が出る回数を $k$ 回($k = 0, 1, 2, \dots, 8$)とすると、偶数が出る回数は $8 - k$ 回となる。

このとき、動点 P は $x$ 軸の正の方向へ $k$、$y$ 軸の正の方向へ $8 - k$ だけ進むため、点 P の座標は $(k, 8 - k)$ となる。

原点から P までの距離の2乗を $d^2$ とすると、

$$ d^2 = k^2 + (8 - k)^2 = 2k^2 - 16k + 64 $$

距離が $6$ 以下となる条件は $d \leqq 6$ であり、両辺は正であるから $d^2 \leqq 36$ と同値である。

$$ 2k^2 - 16k + 64 \leqq 36 $$

整理すると、

$$ k^2 - 8k + 14 \leqq 0 $$

2次方程式 $k^2 - 8k + 14 = 0$ の解は $k = 4 \pm \sqrt{2}$ であるから、不等式の解は

$$ 4 - \sqrt{2} \leqq k \leqq 4 + \sqrt{2} $$

$1 < \sqrt{2} < 2$ より、$2 < 4 - \sqrt{2} < 3$ かつ $5 < 4 + \sqrt{2} < 6$ と評価できる。

$k$ は整数であるから、この不等式を満たす $k$ の値は $k = 3, 4, 5$ である。

反復試行の確率より、奇数が $k$ 回出る確率は

$$ {}_8 \mathrm{C}_{k} \left( \frac{1}{2} \right)^k \left( \frac{1}{2} \right)^{8 - k} = \frac{{}_8 \mathrm{C}_{k}}{2^8} = \frac{{}_8 \mathrm{C}_{k}}{256} $$

したがって、求める確率は $k = 3, 4, 5$ の確率の和であり、

$$ \frac{{}_8 \mathrm{C}_{3} + {}_8 \mathrm{C}_{4} + {}_8 \mathrm{C}_{5}}{256} = \frac{56 + 70 + 56}{256} = \frac{182}{256} = \frac{91}{128} $$

解説

(1) は極限の基本問題である。$A^n + B^n$ の形の極限は、底の絶対値が最大の項で全体をくくり出すのが定石である。本問では $a^n$ と $a^{2n}$ の大小関係が $a$ の値によって逆転するため、$a=1$ を境にした場合分けが必要不可欠である。はさみうちの原理を用いて厳密に極限を示すことも可能だが、上記の解答のように対数関数の性質を用いて中身を変形して直接極限をとる方法でも十分である。

(2) は反復試行の確率と図形上の点の移動を組み合わせた標準的な問題である。点 P の座標を文字でおき、距離の条件を数式に翻訳して解く。不等式から整数解を絞り込む手順を丁寧に行えば、計算ミスを防ぐことができる。距離の条件が与えられた際は、根号を外して2乗の形で比較すると計算が容易になる。

答え

(1) $0 < a \leqq 1$ のとき $\log a$、$a > 1$ のとき $2 \log a$

(2) $\frac{91}{128}$

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