トップ 名古屋大学 1978年 理系 第4問

名古屋大学 1978年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学B/数列数学3/極限テーマ/漸化式テーマ/確率漸化式
名古屋大学 1978年 理系 第4問 解説

方針・初手

$n$ 回目と $n+1$ 回目の状態(どちらがさいころを投げるか)に注目し、確率の推移を漸化式で表す。状態は「Aが投げる」か「Bが投げる」の2通りしかなく、それぞれの確率は $p_n$ と $1-p_n$ で表されることに着目する。

解法1

(1)

$n+1$ 回目に A が投げるのは、次の2つの場合であり、これらは互いに排反である。

(i) $n$ 回目に A が投げ、1の目が出る場合 その確率は、

$$ p_n \times \frac{1}{6} $$

(ii) $n$ 回目に B が投げ、1以外の目が出る場合 $n$ 回目に B が投げる確率は $1-p_n$ であるから、その確率は、

$$ (1 - p_n) \times \frac{5}{6} $$

したがって、$p_{n+1}$ はこれら2つの確率の和で表される。

$$ \begin{aligned} p_{n+1} &= \frac{1}{6}p_n + \frac{5}{6}(1 - p_n) \\ &= \frac{1}{6}p_n + \frac{5}{6} - \frac{5}{6}p_n \\ &= -\frac{2}{3}p_n + \frac{5}{6} \end{aligned} $$

(2)

(1) で求めた漸化式 $p_{n+1} = -\frac{2}{3}p_n + \frac{5}{6}$ は、次のように変形できる。

$$ p_{n+1} - \frac{1}{2} = -\frac{2}{3} \left( p_n - \frac{1}{2} \right) $$

これにより、数列 $\left\{ p_n - \frac{1}{2} \right\}$ は公比 $-\frac{2}{3}$ の等比数列であることがわかる。

ここで、第1回目は A が投げるので $p_1 = 1$ である。よって数列の初項は、

$$ p_1 - \frac{1}{2} = 1 - \frac{1}{2} = \frac{1}{2} $$

したがって、数列の一般項は次のように求められる。

$$ p_n - \frac{1}{2} = \frac{1}{2} \left( -\frac{2}{3} \right)^{n-1} $$

$$ p_n = \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \left( -\frac{2}{3} \right)^{n-1} $$

ここで $n \to \infty$ の極限を考えると、$\left| -\frac{2}{3} \right| < 1$ であるから $\lim_{n \to \infty} \left( -\frac{2}{3} \right)^{n-1} = 0$ となる。

ゆえに、求める極限は、

$$ \lim_{n \to \infty} p_n = \frac{1}{2} + 0 = \frac{1}{2} $$

解説

2つの状態間を推移する典型的な確率漸化式(マルコフ連鎖)の問題である。(1) で排反な事象をもれなく拾い上げ、正しく漸化式を立てられるかがすべての鍵となる。

この試行は、1の目が出れば「同じ人」、1以外の目が出れば「別の人」に交代する規則であるが、AからBへの交代確率とBからAへの交代確率が等しいため、十分な回数を繰り返すとどちらが投げるかは等確率($\frac{1}{2}$)に収束していく。これは直感的な理解とも一致する。

答え

(1) $$ p_{n+1} = -\frac{2}{3}p_n + \frac{5}{6} $$

(2) $$ \lim_{n \to \infty} p_n = \frac{1}{2} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。