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名古屋大学 1984年 理系 第6問 解説

数学A/確率数学B/確率分布・統計的推測テーマ/場合分け
名古屋大学 1984年 理系 第6問 解説

方針・初手

さいころを $n$ 回投げて $6$ の目が出る回数 $r$ は、二項分布に従う確率変数として扱える。 二項分布の期待値と分散の公式、および分散 $V[X]$ と期待値 $E[X], E[X^2]$ の関係式 $V[X] = E[X^2] - (E[X])^2$ を用いて、$E[r]$ と $E[r^2]$ を求める。 その後、期待値の線形性を用いて金額の期待値 $m = E[ar^2 + br + c]$ を計算し、与えられた式と差をとって大小を比較する。

解法1

さいころを $1$ 回投げて $6$ の目が出る確率は $\frac{1}{6}$ である。 したがって、$n$ 回投げて $6$ の目が出る回数 $r$ は、二項分布 $B\left(n, \frac{1}{6}\right)$ に従う。

このとき、$r$ の期待値 $E[r]$ と分散 $V[r]$ は公式より、

$$E[r] = n \cdot \frac{1}{6} = \frac{n}{6}$$

$$V[r] = n \cdot \frac{1}{6} \cdot \left(1 - \frac{1}{6}\right) = \frac{5n}{36}$$

となる。

分散の公式 $V[r] = E[r^2] - (E[r])^2$ を変形すると $E[r^2] = V[r] + (E[r])^2$ となるので、$r^2$ の期待値 $E[r^2]$ は、

$$E[r^2] = \frac{5n}{36} + \left(\frac{n}{6}\right)^2 = \frac{n^2 + 5n}{36}$$

と求められる。

得られる金額の期待値 $m$ は、$ar^2 + br + c$ の期待値である。期待値の線形性から、

$$m = E[ar^2 + br + c] = aE[r^2] + bE[r] + c$$

となる。ここで求めた $E[r^2]$ と $E[r]$ を代入して整理すると、

$$m = a \left( \frac{n^2 + 5n}{36} \right) + b \left( \frac{n}{6} \right) + c = \frac{an^2}{36} + \frac{5an}{36} + \frac{bn}{6} + c$$

となる。

ここで、問題で比較する対象の式を $M = \frac{an^2}{36} + \frac{bn}{6} + c$ とおき、$m$ と $M$ の差をとると、

$$m - M = \left( \frac{an^2}{36} + \frac{5an}{36} + \frac{bn}{6} + c \right) - \left( \frac{an^2}{36} + \frac{bn}{6} + c \right) = \frac{5an}{36}$$

となる。

条件より $a > 0$ であり、またさいころを投げる回数 $n$ は自然数($n \geqq 1$)であるから、

$$\frac{5an}{36} > 0$$

が成り立つ。

したがって、$m - M > 0$ すなわち $m > M$ となる。

解説

確率変数 $X$ について、$X^2$ の期待値 $E[X^2]$ を求める際に、定義通りに和を計算するのは困難なことが多い。このような場合は、分散 $V[X] = E[X^2] - (E[X])^2$ を利用して $E[X^2] = V[X] + (E[X])^2$ と変形して求めるのが典型的な手法である。 本問は、回数 $r$ が二項分布に従うことに気づき、二項分布の期待値と分散の公式を正確に適用できるかを問う基本問題である。差をとって大小比較をする際、定数 $a$ の符号の条件と、$n$ が自然数であることに注意して符号を判定する。

答え

$m$ の方が大きい。

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