名古屋大学 1990年 理系 第1問 解説

方針・初手
2つの放物線の交点の $x$ 座標を文字でおき、交点における接線の直交条件を式で表します。この条件式から得られる2次方程式と、2曲線の連立方程式から得られる2次方程式が「共通の2解をもつ」ことに着目し、解と係数の関係を用いて係数 $a, b, c$ の関係を導きます。最後に求まった関係式から頂点の軌跡を計算します。
解法1
2つの放物線を $C_1: y = x^2$, $C_2: y = ax^2 + bx + c$ とする。
$C_1$ と $C_2$ が異なる2点で交わるため、これらを連立した方程式 $$x^2 = ax^2 + bx + c \iff (a-1)x^2 + bx + c = 0 \cdots \text{①}$$ は異なる2つの実数解をもつ。 ゆえに $a-1 \neq 0$ すなわち $a \neq 1$ であり、①の判別式を $D_1$ とすると $$D_1 = b^2 - 4(a-1)c > 0 \cdots \text{②}$$ が成り立つ。
①の2つの実数解を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とする。 $C_1, C_2$ をそれぞれ微分すると $y' = 2x, y' = 2ax + b$ であるから、$x = \alpha$ における $C_1, C_2$ の接線の傾きはそれぞれ $2\alpha, 2a\alpha + b$ となる。
これらの接線が直交することから $$2\alpha (2a\alpha + b) = -1 \iff 4a\alpha^2 + 2b\alpha + 1 = 0$$
同様に、$x = \beta$ における接線も直交することから $$4a\beta^2 + 2b\beta + 1 = 0$$
これらは、$\alpha, \beta$ が $x$ についての方程式 $$4ax^2 + 2bx + 1 = 0 \cdots \text{③}$$ の解であることを示している。 ここで $a = 0$ と仮定すると、③は $2bx + 1 = 0$ となり高々1つの解しかもたないため、$\alpha \neq \beta$ に矛盾する。 したがって $a \neq 0$ であり、③は2次方程式である。 ③が異なる2つの実数解をもつ条件として、判別式を $D_2$ とすると $$\frac{D_2}{4} = b^2 - 4a > 0 \cdots \text{④}$$ が成り立つ。
①と③はともに同じ解 $\alpha, \beta$ をもつ2次方程式であるから、解と係数の関係より $$\begin{cases} \alpha + \beta = -\frac{b}{a-1} = -\frac{2b}{4a} \\ \alpha\beta = \frac{c}{a-1} = \frac{1}{4a} \end{cases}$$
これらを整理すると $$\begin{cases} 4ab = 2b(a-1) \\ 4ac = a-1 \end{cases} \iff \begin{cases} 2b(a+1) = 0 \cdots \text{⑤} \\ 4ac = a-1 \cdots \text{⑥} \end{cases}$$
⑤より、$a = -1$ または $b = 0$ である。以下、場合分けを行う。
(i) $a = -1$ のとき
⑥に代入して $-4c = -2$ より $c = \frac{1}{2}$ となる。 このとき、④は $b^2 + 4 > 0$ となり、すべての実数 $b$ に対して成り立つ。 また、②についても $b^2 - 4(-2)\cdot\frac{1}{2} = b^2 + 4 > 0$ となり満たされる。
したがって、$C_2$ の方程式は $$y = -x^2 + bx + \frac{1}{2} = -\left(x - \frac{b}{2}\right)^2 + \frac{b^2}{4} + \frac{1}{2}$$ となる。頂点の座標を $(X, Y)$ とおくと $$\begin{cases} X = \frac{b}{2} \\ Y = \frac{b^2}{4} + \frac{1}{2} \end{cases}$$
$b$ はすべての実数値をとりうるため、$b = 2X$ を $Y$ の式に代入して $$Y = X^2 + \frac{1}{2}$$ を得る。
(ii) $b = 0$ のとき
⑥より $c = \frac{a-1}{4a}$ となる。 このとき、④に代入して $-4a > 0$ すなわち $a < 0$ を得る。 $a < 0$ であれば $a \neq 1$ を満たし、②についても $0 - 4(a-1)\frac{a-1}{4a} = -\frac{(a-1)^2}{a} > 0$ となり満たされる。
したがって、$C_2$ の方程式は $$y = ax^2 + \frac{a-1}{4a}$$ となる。頂点の座標 $(X, Y)$ は $$\begin{cases} X = 0 \\ Y = \frac{a-1}{4a} \end{cases}$$
$a$ は $a < 0$ の範囲を動くため、$Y = \frac{1}{4} - \frac{1}{4a}$ において $-\frac{1}{4a} > 0$ であることから $$Y > \frac{1}{4}$$ を得る。
(i), (ii) より、求める頂点の全体は、放物線 $y = x^2 + \frac{1}{2}$ の全体と、直線 $x = 0$ の $y > \frac{1}{4}$ の部分を合わせた集合となる。
解説
2つの曲線における直交条件から方程式を作り、「同じ解をもつ2次方程式」として係数比較に持ち込む定石問題です。係数比較の際、単に各次数の係数の比が等しい($\frac{a-1}{4a} = \frac{b}{2b} = \frac{c}{1}$)としてしまうと、$b=0$ の場合を見落とす危険性があります。本解のように「解と係数の関係」を経由することで、ゼロ割りのリスクを回避し、論理的な漏れなく $b=0$ のケースを拾うことができます。 また、必要条件から求めた $a, b, c$ が、元の「異なる2点で交わる」という条件(判別式)を満たすかどうかの十分性の確認も不可欠です。
答え
求める集合は、放物線 $y = x^2 + \frac{1}{2}$ と、半直線 $x = 0 \ (y > \frac{1}{4})$ の和集合である。 (図示については、放物線 $y = x^2 + \frac{1}{2}$ の全体を描き、$y$ 軸上の点 $\left(0, \frac{1}{4}\right)$ を白丸として上方へ向かう半直線を描き入れた図となる。)
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