名古屋大学 1991年 理系 第4問 解説

方針・初手
- 試行はA, B, A, B, ... と交互に行われる。
- 勝敗が決するのは、誰かが「2回目の当たり」を引いた瞬間である。
- 「AとBの試行があわせて $2n$ 回に達するまでに」とは、Aが $n$ 回、Bが $n$ 回引くまでの間(合計 $2n$ 回の試行)で勝負がつくことを意味する。
- したがって、Aが勝つのは、自分が引く回(全体の奇数回目)で2回目の当たりを引いたときである。
- 途中で勝負がつく確率を計算する際は、「最後の試行で当たりが出る」ことと、「それ以前のすべての試行で当たりがちょうど1回出ている」ことの積として立式する。
解法1
(1)
$P_2(A)$ は、全体で4回の試行(Aが2回、Bが2回)が終わるまでにAが勝つ確率である。
Aが勝つ可能性があるのは、Aが引く全体の1回目または3回目である。しかし、1回目の試行では2回目の当たりは出ないため、Aが勝つのは全体の3回目(Aにとっての2回目)のみである。
全体の3回目でAが勝つ条件は、「1回目(A)と2回目(B)の試行でちょうど1回当たりが出て、かつ3回目(A)で当たりが出る」ことである。 1回目と2回目でちょうど1回当たりが出る事象は、
- 1回目にAが当たり、2回目にBが外れる(確率 $p(1-q)$)
- 1回目にAが外れ、2回目にBが当たる(確率 $(1-p)q$)
のいずれかであり、これらは排反である。 よって、3回目でAが勝つ確率は、
$$ P_2(A) = \{ p(1-q) + (1-p)q \} \times p = p(p+q-2pq) $$
次に、$P_2(B)$ は、全体で4回の試行が終わるまでにBが勝つ確率である。 Bが勝つ可能性があるのは、Bが引く全体の2回目または4回目である。
(i) 全体の2回目でBが勝つ場合
1回目(A)で当たり、2回目(B)でも当たりが出る場合であり、その確率は $pq$ である。
(ii) 全体の4回目でBが勝つ場合
全体の1回目から3回目(Aが2回、Bが1回引く)でちょうど1回当たりが出て、かつ4回目(B)で当たりが出る場合である。 1回目から3回目でちょうど1回当たりが出る事象は、
- Aが2回のうち1回当たり、Bが1回中0回当たる(確率 ${}_2C_1 p(1-p) \times (1-q)$)
- Aが2回とも外れ、Bが1回中1回当たる(確率 $(1-p)^2 \times q$)
のいずれかであり、これらは排反である。 よって、4回目でBが勝つ確率は、
$$ \{ 2p(1-p)(1-q) + q(1-p)^2 \} \times q = 2pq(1-p)(1-q) + q^2(1-p)^2 $$
(i) と (ii) は排反であるから、
$$ \begin{aligned} P_2(B) &= pq + 2pq(1-p)(1-q) + q^2(1-p)^2 \\ &= q \{ p + 2p(1-p)(1-q) + q(1-p)^2 \} \end{aligned} $$
(2)
「AとBの試行があわせて $2n$ 回に達するまでにAが勝つ」という事象は、各 $k=2, 3, \dots, n$ に対して「全体の $2k-1$ 回目の試行(Aの $k$ 回目の試行)でAが勝つ」という事象の和事象であり、これらは互いに排反である。 (※ $k=1$ のときは、全体の1回目で2回目の当たりを引くことは不可能であるため確率は0である)
全体の $2k-1$ 回目でAが勝つ確率を $A_k$ とする。 これが起こる条件は、「最初の $2k-2$ 回の試行(Aが $k-1$ 回、Bが $k-1$ 回引く)において当たりがちょうど1回出て、かつ $2k-1$ 回目でAが当たりを引く」ことである。
最初の $2k-2$ 回の試行で当たりがちょうど1回出る事象は、
- Aが $k-1$ 回中1回当たり、Bが $k-1$ 回中0回当たる(確率 ${}_{k-1}C_1 p(1-p)^{k-2} \times (1-q)^{k-1}$)
- Aが $k-1$ 回中0回当たり、Bが $k-1$ 回中1回当たる(確率 $(1-p)^{k-1} \times {}_{k-1}C_1 q(1-q)^{k-2}$)
のいずれかであり、これらは排反である。 したがって、$A_k$ は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} A_k &= \left\{ (k-1)p(1-p)^{k-2}(1-q)^{k-1} + (k-1)q(1-p)^{k-1}(1-q)^{k-2} \right\} \times p \\ &= p(k-1)(1-p)^{k-2}(1-q)^{k-2} \{ p(1-q) + q(1-p) \} \\ &= p(p+q-2pq) (k-1) \{ (1-p)(1-q) \}^{k-2} \end{aligned} $$
ここで、$C = p(p+q-2pq)$、$R = (1-p)(1-q)$ とおくと、$0 < p < 1$ かつ $0 < q < 1$ より $0 < R < 1$ であり、
$$ A_k = C (k-1) R^{k-2} $$
と表される。 求める確率 $P_n(A)$ は、$A_k$ を $k=2$ から $n$ まで足し合わせたものである。
$$ P_n(A) = \sum_{k=2}^n A_k = C \sum_{k=2}^n (k-1) R^{k-2} = C \sum_{j=1}^{n-1} j R^{j-1} $$
この和を $S_{n-1} = \sum_{j=1}^{n-1} j R^{j-1}$ とおく。
$$ \begin{aligned} S_{n-1} &= 1 + 2R + 3R^2 + \dots + (n-1)R^{n-2} \\ R S_{n-1} &= \phantom{1 + \text{}} R + 2R^2 + \dots + (n-2)R^{n-2} + (n-1)R^{n-1} \end{aligned} $$
辺々引くと、
$$ \begin{aligned} (1-R)S_{n-1} &= 1 + R + R^2 + \dots + R^{n-2} - (n-1)R^{n-1} \\ &= \frac{1 - R^{n-1}}{1 - R} - (n-1)R^{n-1} \\ &= \frac{1 - R^{n-1} - (n-1)R^{n-1}(1-R)}{1 - R} \\ &= \frac{1 - R^{n-1} \{ 1 + (n-1)(1-R) \} }{1 - R} \end{aligned} $$
したがって、
$$ S_{n-1} = \frac{1 - R^{n-1} \{ 1 + (n-1)(1-R) \} }{(1 - R)^2} $$
となる。
ここで、$1 - R = 1 - (1-p)(1-q) = p + q - pq$ であるから、
$$ \begin{aligned} P_n(A) &= C S_{n-1} \\ &= \frac{p(p+q-2pq)}{(p+q-pq)^2} \left[ 1 - \{ 1 + (n-1)(p+q-pq) \} (1-p)^{n-1}(1-q)^{n-1} \right] \end{aligned} $$
解説
- 反復試行の確率と、(等差数列)×(等比数列)の和の複合問題である。
- 勝敗が決まるのは「最後の1回の試行で誰かが当たりを引いた瞬間」であることを利用し、それ以前の試行結果の条件を立式する典型的な手法が求められる。
- $P_n(A)$ を求める際、Aの回とBの回をまとめて1回の「セット」と捉えると混乱を招きやすい。本解答のように「試行全体で通算何回目か」で考え、「全体の $2k-1$ 回目にAが勝つ」事象を立式するのが確実である。
- 計算過程で現れる定数部分を一時的に $R$ や $C$ のような文字に置き換えて等比数列の和の計算を進めることで、記述量や計算ミスを減らすことができる。
答え
(1) $P_2(A) = p(p+q-2pq)$ $P_2(B) = q \{ p + 2p(1-p)(1-q) + q(1-p)^2 \}$
(2) $P_n(A) = \frac{p(p+q-2pq)}{(p+q-pq)^2} \left[ 1 - \{ 1 + (n-1)(p+q-pq) \} (1-p)^{n-1}(1-q)^{n-1} \right]$
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