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名古屋大学 1996年 理系 第4問 解説

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名古屋大学 1996年 理系 第4問 解説

方針・初手

じゃんけんの結果によって、残っている人数がどのように変化するかを追う確率の問題です。 1回のじゃんけんで3人の順位が同時に決まることはありません。必ず「3人から2人に絞られる」段階と、「残った2人の順位が決まる」段階の2つのフェーズを経ることに着目します。 まずは、3人でじゃんけんをした場合と、2人でじゃんけんをした場合の、それぞれにおける勝敗の確率を正しく求めることから始めます。

解法1

まず、各状況においてじゃんけんを1回行ったときの結果の確率を求める。

(i) 3人でじゃんけんを行う場合 手の出し方の総数は $3^3 = 27$ 通りである。 ・1人が勝つ(1位が確定し、残り2人で2位・3位を決める)確率 勝者の選び方が ${}_3\text{C}_1$ 通り、勝つ手の選び方が $3$ 通りあるから、 $$\frac{{}_3\text{C}_1 \times 3}{27} = \frac{9}{27} = \frac{1}{3}$$

・2人が勝つ(3位が確定し、勝った2人で1位・2位を決める)確率 勝者の選び方が ${}_3\text{C}_2$ 通り、勝つ手の選び方が $3$ 通りあるから、 $$\frac{{}_3\text{C}_2 \times 3}{27} = \frac{9}{27} = \frac{1}{3}$$

・あいこになる(次も3人でじゃんけんを行う)確率 余事象を考えて、 $$1 - \left( \frac{1}{3} + \frac{1}{3} \right) = \frac{1}{3}$$

よって、1回のじゃんけんで「2人でじゃんけんを行う状態」に移行する確率は $\frac{2}{3}$、「3人でじゃんけんを行う状態」のまま継続する確率は $\frac{1}{3}$ である。

(ii) 2人でじゃんけんを行う場合 手の出し方の総数は $3^2 = 9$ 通りである。 ・勝敗がつく(2人の順位が確定する)確率 勝者の選び方が ${}_2\text{C}_1$ 通り、勝つ手の選び方が $3$ 通りあるから、 $$\frac{{}_2\text{C}_1 \times 3}{9} = \frac{6}{9} = \frac{2}{3}$$

・あいこになる(次も2人でじゃんけんを行う)確率 余事象を考えて、 $$1 - \frac{2}{3} = \frac{1}{3}$$

よって、1回のじゃんけんで「順位が確定する状態」に移行する確率は $\frac{2}{3}$、「2人でじゃんけんを行う状態」のまま継続する確率は $\frac{1}{3}$ である。

(iii) $n$ 回目で順位が確定する確率 ちょうど $n$ 回目で順位が確定するためには、少なくとも2回のじゃんけんが必要であるから、$n \ge 2$ である。 ある $k$ 回目($1 \le k \le n-1$)で初めて3人から2人に絞られ、その後 $n$ 回目で初めて残った2人の勝敗がつけばよい。

そのための条件は以下の通りである。 ・$1$ 回目から $k-1$ 回目まで:3人であいこ(確率 $\frac{1}{3}$) ・$k$ 回目:3人から2人に絞られる(確率 $\frac{2}{3}$) ・$k+1$ 回目から $n-1$ 回目まで:2人であいこ(確率 $\frac{1}{3}$) ・$n$ 回目:2人の勝敗がつく(確率 $\frac{2}{3}$)

これらが続けて起こる確率は、 $$\left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} \times \frac{2}{3} \times \left(\frac{1}{3}\right)^{(n-1)-k} \times \frac{2}{3} = \frac{4}{9} \times \left(\frac{1}{3}\right)^{n-2} = \frac{4}{3^n}$$

この確率は $k$ の値によらず一定である。 $k$ は $1$ から $n-1$ までの $n-1$ 通りの値をとり、これらは互いに排反であるから、求める確率 $P(n)$ は、 $$P(n) = \sum_{k=1}^{n-1} \frac{4}{3^n} = \frac{4(n-1)}{3^n}$$

$n=1$ のとき、上式に代入すると $P(1) = 0$ となり、1回目で順位が確定しないことと矛盾しない。 したがって、すべての自然数 $n$ についてこの式が成り立つ。

解説

状態推移を考える確率の典型問題です。 「3人→3人」「3人→2人」「2人→2人」「2人→確定」という状態の推移確率を正確に計算し、目的の状態(順位確定)に到達するまでのプロセスを数式化できるかが問われています。 途中で状態が変化するタイミング(本解における $k$ 回目)を文字で置き、最後にその $k$ について総和をとる手法は、マルコフ連鎖的な確率問題において非常に有効なアプローチです。また、途中の計算において $k$ が消去され、確率が定数になる点もこのような問題によく見られる美しい構造です。

答え

$$P(n) = \frac{4(n-1)}{3^n}$$

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