名古屋大学 1998年 理系 第3問 解説

方針・初手
- (1) 微分を用いて放物線上の点における接線の傾きを求め、そこから直交条件を用いて法線の方程式を立てる。接線の傾きが $0$ になる場合(法線が $y$ 軸と平行になる場合)に注意して場合分けを行う。
- (2) 「異なる $3$ 本の法線が点 $P$ を通る」という幾何学的な条件を、「(1) で求めた $a$ についての方程式が異なる $3$ つの実数解をもつ」という代数的な条件に言い換える。定数分離された $3$ 次方程式の実数解の個数の問題として処理する。
解法1
(1)
$y = x^2$ について、$y' = 2x$ である。 放物線上の点 $(a, a^2)$ における接線の傾きは $2a$ となる。
(i) $a \neq 0$ のとき
接線の傾きは $0$ ではないため、法線の傾きを $m$ とすると $2a \cdot m = -1$ より $m = -\frac{1}{2a}$ である。 よって、法線の方程式は
$$ y - a^2 = -\frac{1}{2a}(x - a) $$
となる。 この法線と直線 $l : y = k$ との交点 $P$ の $x$ 座標が $b$ であるから、$x = b, y = k$ を代入して
$$ k - a^2 = -\frac{1}{2a}(b - a) $$
$$ -2a(k - a^2) = b - a $$
$$ b = 2a^3 - 2ak + a = 2a^3 + (1-2k)a $$
(ii) $a = 0$ のとき
点 $(0, 0)$ における接線の傾きは $0$ であり、接線は $x$ 軸となる。 したがって、法線は $y$ 軸、すなわち直線 $x = 0$ である。 この法線と直線 $l : y = k$ の交点の $x$ 座標は $0$ なので、$b = 0$ である。 一方、(i) で得られた式 $b = 2a^3 + (1-2k)a$ に $a = 0$ を代入すると $b = 0$ となり、この場合も式を満たす。
以上より、すべての $a$ について求める $b$ は
$$ b = 2a^3 + (1 - 2k)a $$
(2)
点 $P(b, k)$ を異なる $3$ 本の法線が通るための条件は、(1) で求めた $a$ の方程式
$$ 2a^3 + (1 - 2k)a = b $$
が $a$ について異なる $3$ つの実数解をもつことである。 $f(a) = 2a^3 + (1 - 2k)a$ とおくと、方程式 $f(a) = b$ の実数解の個数は、曲線 $y = f(a)$ と直線 $y = b$ の共有点の個数に等しい。
$$ f'(a) = 6a^2 + 1 - 2k $$
曲線 $y = f(a)$ と直線 $y = b$ が異なる $3$ つの共有点をもつためには、$f(a)$ が極大値と極小値をもち、かつ $b$ の値が極小値と極大値の間にあることが必要十分である。 $f(a)$ が極値をもつ条件は、$f'(a) = 0$ が異なる $2$ つの実数解をもつことであるから
$$ 1 - 2k < 0 $$
$$ k > \frac{1}{2} $$
このとき、$f'(a) = 0$ の解は $a = \pm \sqrt{\frac{2k-1}{6}}$ である。 $\alpha = \sqrt{\frac{2k-1}{6}}$ とおく($\alpha > 0$)。 $f(a)$ の $3$ 次の係数は正であるため、$f(a)$ は $a = -\alpha$ で極大値、$a = \alpha$ で極小値をとる。 また、$6\alpha^2 = 2k - 1$ より $1 - 2k = -6\alpha^2$ であることを用いて極値を計算する。
$$ f(a) = a(2a^2 + 1 - 2k) $$
であるから、
$$ f(\pm \alpha) = \pm \alpha (2\alpha^2 - 6\alpha^2) = \pm \alpha (-4\alpha^2) = \mp 4\alpha^3 $$
(複号同順)となる。 したがって、極大値は $4\alpha^3$、極小値は $-4\alpha^3$ である。 方程式が異なる $3$ つの実数解をもつための条件は
$$ -4\alpha^3 < b < 4\alpha^3 $$
である。ここで、
$$ 4\alpha^3 = 4 \left( \sqrt{\frac{2k-1}{6}} \right)^3 = 4 \cdot \frac{(2k-1)\sqrt{2k-1}}{6\sqrt{6}} = \frac{2(2k-1)\sqrt{2k-1}}{3\sqrt{6}} = \frac{(2k-1)\sqrt{6(2k-1)}}{9} $$
よって、求める $b$ の範囲は、$k > \frac{1}{2}$ のとき
$$ -\frac{(2k-1)\sqrt{6(2k-1)}}{9} < b < \frac{(2k-1)\sqrt{6(2k-1)}}{9} $$
となる。($k \leqq \frac{1}{2}$ のときは条件を満たす $b$ は存在しない)
解説
- 法線の方程式を求める際、$x$ 座標が定数の場合(傾きが定義できない場合)を考慮し、丁寧に場合分けを行うことが重要である。
- (2) では「法線の本数=接点の個数」という対応関係を利用している。一般に、放物線の場合は接点と法線が $1$ 対 $1$ に対応するため、接点の $x$ 座標である $a$ の個数を調べればよい。
- 極値の計算では、$f'(a) = 0$ の関係式である $1-2k = -6a^2$ を利用して次数を下げる(代入する項を減らす)工夫をすると、計算ミスを防ぐことができる。
答え
(1)
$$ b = 2a^3 + (1-2k)a $$
(2)
$k > \frac{1}{2}$ のとき
$$ -\frac{(2k-1)\sqrt{6(2k-1)}}{9} < b < \frac{(2k-1)\sqrt{6(2k-1)}}{9} $$
($k \leqq \frac{1}{2}$ のときは存在しない)
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