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名古屋大学 2005年 理系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学2/複素数と方程式数学A/整数問題テーマ/整式の証明
名古屋大学 2005年 理系 第2問 解説

方針・初手

解法1

(1)

与えられた方程式を $$ z^5 + 2z^4 + 4z^3 + 8z^2 + 16z + 32 = 0 $$ とする。$z = 2$ を代入すると左辺は $2^5 \times 6 \neq 0$ となるため、$z = 2$ は解ではない。

両辺に $z - 2$ を掛けると、左辺は展開されて以下のようになる。 $$ (z - 2)(z^5 + 2z^4 + 4z^3 + 8z^2 + 16z + 32) = 0 $$

$$ z^6 - 64 = 0 $$

$$ z^6 = 64 $$

$z$ を極形式で $z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($r > 0, 0 \leqq \theta < 2\pi$) とおく。ド・モアブルの定理より $$ r^6(\cos6\theta + i\sin6\theta) = 64(\cos0 + i\sin0) $$

両辺の絶対値と偏角を比較して $$ r^6 = 64 \quad \text{かつ} \quad 6\theta = 2k\pi \quad (k = 0, 1, 2, 3, 4, 5) $$

$r > 0$ より $r = 2$ であり、$\theta = \frac{k\pi}{3}$ となる。

したがって、求める解は $$ z = 1 \pm \sqrt{3}i, -1 \pm \sqrt{3}i, -2 $$

(2)

(1) の解について、$z = p + qi$ ($p, q$ は実数) として条件の3次方程式 $$ x^3 + \sqrt{3}qx + q^2 - p = 0 $$ に代入し、整数解をもつかどうかを調べる。

(i) $z = 1 + \sqrt{3}i$ すなわち $(p, q) = (1, \sqrt{3})$ のとき 方程式は $x^3 + 3x + 2 = 0$ となる。 $f(x) = x^3 + 3x + 2$ とおくと $f'(x) = 3x^2 + 3 > 0$ より $f(x)$ は単調増加である。 $f(-1) = -2 < 0, f(0) = 2 > 0$ であるため、実数解は区間 $(-1, 0)$ にただ $1$ つ存在する。よって、整数解をもたない。

(ii) $z = 1 - \sqrt{3}i$ すなわち $(p, q) = (1, -\sqrt{3})$ のとき 方程式は $x^3 - 3x + 2 = 0$ となる。 左辺を因数分解すると $(x-1)^2(x+2) = 0$ となり、解は $x = 1, -2$ (ともに整数) である。よって、整数解をもつ。

(iii) $z = -1 + \sqrt{3}i$ すなわち $(p, q) = (-1, \sqrt{3})$ のとき 方程式は $x^3 + 3x + 4 = 0$ となる。 $x = -1$ を代入すると $(-1)^3 + 3(-1) + 4 = 0$ となるため、$x = -1$ という整数解をもつ。

(iv) $z = -1 - \sqrt{3}i$ すなわち $(p, q) = (-1, -\sqrt{3})$ のとき 方程式は $x^3 - 3x + 4 = 0$ となる。 この方程式が整数解 $\alpha$ をもつと仮定すると、$\alpha(\alpha^2 - 3) = -4$ より $\alpha$ は $4$ の約数、すなわち $\pm 1, \pm 2, \pm 4$ に限られる。 それぞれ代入して確認する。

よって、整数解をもたない。

(v) $z = -2$ すなわち $(p, q) = (-2, 0)$ のとき 方程式は $x^3 + 2 = 0$ となる。 実数解は $x = \sqrt[3]{-2}$ だけであり、これは整数ではない。よって、整数解をもたない。

以上 (i)(v) より、条件をみたす $z$ は $1 - \sqrt{3}i$ と $-1 + \sqrt{3}i$ である。

解法2

(1)

与えられた方程式の左辺を、前から2項ずつ組にして因数分解する。 $$ (z^5 + 2z^4) + (4z^3 + 8z^2) + (16z + 32) = 0 $$

$$ z^4(z + 2) + 4z^2(z + 2) + 16(z + 2) = 0 $$

$$ (z + 2)(z^4 + 4z^2 + 16) = 0 $$

ここで、$z^4 + 4z^2 + 16$ は複2次式であるため、平方の差の形を作って因数分解する。 $$ z^4 + 4z^2 + 16 = (z^2 + 4)^2 - 4z^2 $$

$$ = (z^2 + 2z + 4)(z^2 - 2z + 4) $$

したがって、方程式は $$ (z + 2)(z^2 + 2z + 4)(z^2 - 2z + 4) = 0 $$ となる。

これを解くと、 $z+2=0$ より $z = -2$

$z^2+2z+4=0$ より $z = \frac{-2 \pm \sqrt{4 - 16}}{2} = -1 \pm \sqrt{3}i$

$z^2-2z+4=0$ より $z = \frac{2 \pm \sqrt{4 - 16}}{2} = 1 \pm \sqrt{3}i$

よって、求める解は $$ z = 1 \pm \sqrt{3}i, -1 \pm \sqrt{3}i, -2 $$ となる。

※ (2) 以降の議論は解法1と同様である。

解説

(1) は等比数列の和の形を見抜いて両辺に $z - 2$ を掛けるか、または項をうまくグループ化して因数分解できるかが鍵となる。どちらの方針をとっても簡潔に解を求めることができる。

(2) は (1) で求めた解の数が $5$ 個と限定されているため、すべての場合について方程式を立てて一つずつ調べるのが確実である。最高次係数が $1$ で定数項が整数である多項式において、「有理数解が存在するならそれは定数項の約数である(整数解になる)」という性質(有理根定理の系)を意識すると、整数解の有無の判定が素早く行える。また、単調増加などの関数の性質を用いて解の存在範囲を絞り込む手法も有効である。

答え

(1) $$ z = 1 \pm \sqrt{3}i, -1 \pm \sqrt{3}i, -2 $$

(2) $$ z = 1 - \sqrt{3}i, -1 + \sqrt{3}i $$

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