大阪大学 1991年 文系 第3問 解説

方針・初手
与えられた3次方程式の実数解の個数を考えるため、左辺を関数として設定し、導関数を用いてグラフの概形を調べる。実数解がただ1つとなるようなパラメータ $m$ の範囲を絞り込み、その後、その実数解が整数になるかを個別に検証する。
解法1
方程式の左辺を $f(x)$ とおき、
$$ f(x) = x^3 - 3m^2x + 18m $$
とする。関数 $f(x)$ を $x$ について微分すると、
$$ f'(x) = 3x^2 - 3m^2 = 3(x-m)(x+m) $$
となる。$m$ は負でない整数であるから、$m=0$ と $m>0$ の場合で分けて考える。
(i)
$m=0$ のとき
方程式は $x^3 = 0$ となり、実数解は $x=0$ のただ1つである。これは整数解であるから、条件を満たす。
(ii)
$m>0$ のとき
$f'(x) = 0$ とすると $x = -m, m$ であり、$m>0$ よりこれらは異なる2つの実数である。 したがって、$f(x)$ は $x = -m$ で極大値、$x = m$ で極小値をとる。
3次方程式 $f(x) = 0$ がただ1つの実数解をもつための条件は、極大値と極小値が同符号になることである。
極大値 $f(-m)$ を計算すると、
$$ f(-m) = (-m)^3 - 3m^2(-m) + 18m = 2m^3 + 18m = 2m(m^2+9) $$
$m>0$ であるから、$f(-m) > 0$ である。 したがって、極小値も正であればよく、条件は $f(m) > 0$ となる。
極小値 $f(m)$ は、
$$ f(m) = m^3 - 3m^2 \cdot m + 18m = -2m^3 + 18m = -2m(m^2-9) $$
よって、
$$ -2m(m^2-9) > 0 $$
$m>0$ より、両辺を $-2m$ で割って不等号の向きを反転させると、
$$ m^2 - 9 < 0 $$
これを解いて、
$$ -3 < m < 3 $$
$m$ は正の整数であるから、$m = 1, 2$ に絞られる。 これらについて、唯一の実数解が整数となるかを調べる。
ア $m=1$ のとき
方程式は $x^3 - 3x + 18 = 0$ となる。 左辺を因数分解すると、
$$ (x+3)(x^2-3x+6) = 0 $$
$x^2-3x+6 = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D = (-3)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 6 = -15 < 0$ であるため、この2次方程式は実数解をもたない。 よって、実数解は $x = -3$ のただ1つであり、これは整数であるから条件を満たす。
イ $m=2$ のとき
方程式は $x^3 - 12x + 36 = 0$ となる。この左辺を $g(x)$ とおく。 有理根定理より、$g(x) = 0$ が整数解をもつとすれば、それは定数項 $36$ の約数である。 極大値が正、極小値が正という条件から、唯一の実数解は負である。 $x = -4$ のとき、$g(-4) = (-4)^3 - 12(-4) + 36 = -64 + 48 + 36 = 20 > 0$ $x = -5$ のとき、$g(-5) = (-5)^3 - 12(-5) + 36 = -125 + 60 + 36 = -29 < 0$ $g(x)$ は連続関数であるから、中間値の定理より区間 $-5 < x < -4$ に実数解をもつ。 したがって、唯一の実数解は整数ではないため不適である。
以上より、求める $m$ の値は $m=0, 1$ である。
解説
3次方程式の実数解の個数を考える典型的な問題である。定数を分離してグラフの交点を調べる手法もあるが、本問は定数 $m$ が $m^2, m$ と異なる次数で混在しており分離が困難であるため、そのまま関数 $f(x)$ とおいて極値の符号を調べる方針が自然である。 $x^3$ の係数が正であることから、極大値が正であることが確定すれば、「極小値 $> 0$」が実数解をただ1つもつための必要十分条件となる。必要条件からパラメータの候補を絞り込み、最後に十分性を確認する(実際に解が整数になるか確かめる)という論理の流れを正確に記述することが重要である。
答え
$$ m = 0, 1 $$
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